一昔前はギター用コンパクトエフェクターと言えばセンターマイナス9Vのアダプター、電池は9Vの角電池と相場は決まっていたように思います。(それ以前はもっと色々だった)しかし、近年はさまざまな電源を使用するコンパクトエフェクターが発売され、9V以外にも12Vや18Vを一緒に出力できるパワーサプライなども発売されています。またミニサイズで電池が入らない機種や、使用する電圧や電流が高いため電池では駆動しない設計の機種なども増えています。
ただ、そのせいか間違ったアダプターをつないで壊れてしまった、アダプターをつないだけど動作しない、電池で動かない、などの問い合わせは多くよせられます。自分がバンド活動をしていた時もさまざまなギタリスト、ベーシスト、弾き語りの人など多くの方々と出会いましたが電気のことは疎い人が多かったように思います。
という訳で、機材を扱ううえで“最低限”知っておいてほしいことを、電気が苦手な人にもなるべくわかりやすく解説したいと思います。
1. そもそもアダプターって何?
ACアダプターの役割はわかりますでしょうか?皆さんご存じの日本のコンセントはAC100Vという電気が流れるようになっています。そこからの必要な電気をDCに変換し○○ボルト(V)取り出して機器に供給するというのがアダプターの役割です。
ACとかDCとかよくわからん!!バンドかよ!!と思ってしまう人でも9Vで動作する機械に100Vを無理やり突っ込んだら壊れる、ということは理解いただけるでしょう。
小さい壁の穴に細い棒を通さなければならないのに「こまけぇことはいいんだよ!!」と言ってハンマーでドーーン!!とやったら壁が壊れてしまうようなものと言えば想像つきますかね。それぞれの機器に必要な電気をアダプターで取り出す必要があるのです。
ACアダプターというのは正確にはAC/DCアダプターであることがほとんどです。
エフェクター用のセンターマイナス9Vで代表的なアダプターと言えばBOSSのPSA-100かと思います。
クラシックプロのセンターマイナス9Vもあります。
CLASSIC PRO ( クラシックプロ ) / 電源アダプター DC9V 1A 2.1mm センターマイナス
ではACとDCは何が違うの?となるわけですが詳しいことはここでは割愛します。簡単に言うとACは交流、DCは直流です。機器を動かすには基本的にDCである必要があり、家庭用コンセントのAC100Vから変換する必要があるのです。
ちなみにAC/ACアダプターというのもあります、AC100VからACのまま○○ボルト取り出すということです。
SH ( サウンドハウス ) / AC/ACアダプター9VAC/1.0A
このようなアダプターはAC9VなのでDC9Vの製品につないでも動作しません。機械はDCで動くって言ったばっかじゃねぇか!!何に使うんだよ!!と言われそうですが機器によっては内部でDCに変換したりACで動くよう設計されていたりする機種もあるのです。機器によって適切なアダプターを選ぶことは『鉄則』です。
2. センターマイナスってなんじゃい!?
アダプターは主にDC(直流)で出力することはわかりましたか?
DC(直流)というのは電気が流れる方向が決まっています。電流という言葉のとおり、+から-に流れていきます(詳しい人から言わせると色々あるのですが割愛)。わかりやすい例でいうと、家庭用のコンセントはACなのでコンセントをどちらの向きに挿しても機械は動作しますよね?それに対して皆さんご存じの単三電池は+と-で形が違いますね。これはこの方向じゃないと電気が流れないことをわかりやすく示すため形に違いをつけています。

単三電池や単四電池を2つ、4つ使う場合などもよくありますがこれは。

赤い線で示したようにほとんどの場合は電池の+と-の片方は内部で繋がっています。そして+から出ていった電流が機器を通って-に帰ってくることで機器が動作するのです。この+と-のどちらか一方が途切れても機械は動かなくなります。電池を逆に入れて機械が動かなかった経験がある方も多いのではないでしょうか。
ここでアダプターのプラグを見てみましょう。


外側の金属の部分と穴の中にも金属があります。この2か所の金属部分は内部では絶縁(絶対に接触しないようになっている)されており、これが+と-の端子となるわけです。
ちなみにテスターで計測するとこんな感じです。

テスターのリードは黒がマイナスなので穴に入れて外側に赤を当てると9Vが計測されセンターマイナスであることがわかります。
これを逆にしてみると……

-9Vって何だよ!?と思うかもしれませんがひとまず気にしないでください。
このように中の端子が-であるアダプターをセンターマイナスといいます。
「じゃあセンタープラスもあるの??」と思った方、もちろんあります。
というかセンターマイナスが標準として使用されている機械なんてギター用エフェクターくらいじゃないかとも思います。世の中のほとんどの機械はセンタープラスです。エフェクターも機器によってはセンタープラスの物もあります。
このセンターマイナスとセンタープラス、エフェクターが必要としているものと逆のアダプターをつなぐとどうなると思いますか?
そうエフェクターは動きません
そればかりか、あなたが一生懸命汗水たらして働いてやっとの思いで買ったエフェクターは……
一瞬にしてぶっ壊れるのです!!!!!!!
「エフェクターのアダプターがなくなっちゃったからこの掃除機のアダプターをつーかおっと!」なんてことは絶対に!!!しないでください。
ちなみに修理している立場からすると+-逆のアダプターをつないで壊してしまったパターンは中を検査するとすぐわかります、この故障はどのメーカーでも保証対応はしません。
「そんなこと言ったってテスターなんて持ってないよ、どっちが+か-かなんてわかんないじゃないか!」というそこのあなた!
アダプターにはその仕様が書いてあり、センターがプラスかマイナスかを示す図が必ず書いてあります。

↑これがセンターマイナス

↑これがセンタープラス
理解して見ればすぐわかりますよね。真ん中が+か-か、が図で書いてあります。
9Vと12Vボルトの文字にも印をつけました。これに関してはまた次回解説しますが、ひとまず機器に記載されているより高い数値のアダプターを使用すると壊れるということは覚えておいてください。
次回へ続く!!