
MOOGといえばアナログシンセが思い浮かぶと思います。
その幅広いアナログシンセの中でも、特に有名なのはモジュールタイプのシンセかと思います。
モジュールタイプのシンセというと、ユーロラックやデスクトップ型シンセ、500シリーズなどがあります。
最近は様々なシンセを発売しているMOOGですが、今でも変わらずモジュラーシンセもラインナップしており、今回はその中でもガジェット好きな人に向けたおすすめのデスクトップ型シンセをご紹介します。
~ アナログシンセの予備知識 ~
それぞれの商品の紹介の前に、知っておいてほしいシンセの予備知識をご紹介します。
皆さんは音の三要素というものをご存じでしょうか。
音の三要素とは、音を人が認識するために必要なものを科学的に法則化したものです。
音色、音程、音量を指し、音色をVCO (voltage controlled oscillator)、音程をVCF(voltage controlled filter)、音量をVCA(voltage controlled amplifier)と名称され、シンセや電子楽器では活用しています。
これらの名称は科学の発信機等から由来されており、シンセやDTMはそれらの派生のようなものなのです。
そのため、シンセには必ずVCO、VCF、VCAというものがあります。
VCOは基本的には音を発信する入口として、何かしらの波形の出力であることが多いです。
代表的なのは、正弦波(sine)、三角波(square)、矩形波(triangle)、ノコギリ波(sawtooth)です。

Waveforms, CC BY-SA 3.0 (Wikipediaより引用)
ほかにも、これらを応用した波形もそれぞれ存在します。
これらの波形やホワイトノイズ、外部音源などを掛け合わせ特定の音を作ることができます。
VCFはfilterという文字通り、音のある一定の高さHz(ヘルツ)を遮断することにより、音の高さを変えることを指します。
基本的にはハイパスフィルター(低い音域から遮断するもの)やローパスフィルター(高い音域から遮断するもの)で、各音域を遮断し特定の音程を作ります。
VCAはamplifierとの名の通り、ギターアンプやスピーカーアンプ等と同様に、最終的なボリュームを決定する要素となり、基本的には調整するつまみも一つで構成されています。
ではMOOGの代表的モジュラーシンセ、セミモジュラーシンセのご紹介です。
モジュラーシンセとは、パッチベイによるパッチングを行うことで、各機構を接続し変調等の作用を思いのままに変えることができるシンセサイザーのことを指します。
セミモジュラーシンセはこれらのパッチングを行える他、アナログシンセのようにつまみなどによる直感的操作も行えるため、より簡単に扱うことができるシンセサイザーとなっています。
MOOG ( モーグ ) / MOTHER 32 アナログシンセ
まず、特徴はMOOGの代名詞的なアナログシンセの音色を作成するためのノブ多数とモジュラーシンセならではのパッチセクションです。
オシレーターセクション(VCO)には、FMタイプのノコギリ波、パルス波の2タイプの波形が搭載されています。
これらはそれぞれの選択を行えるだけでなく同時に出力することも可能で、その設定した音源にホワイトノイズや外部音声を掛け合わせることができます。
フィルターセクション(VCF)には、MOOG特有のラダーフィルターが搭載されています。
他のシリーズ機種と違いローパスフィルターだけでなく、ハイパスフィルターも備え、2タイプ以上の音程変化を可能にしています。
またVCO、VCFそれぞれにLFOとEGもアサインすることが可能なため、より色を付けたような変化を起こすことが可能です。
セミモジュラーシンセということもあり、32個のパッチポイントを装備しパッチを変えることで、通常のアナログシンセでは操作もできないような変調を加えることが可能です。
MOOG ( モーグ ) / DFAM Drummer From Another Mother
こちらは端的に言うとドラムマシンです。
ドラムマシンというとRolandのTR-808などが有名ですが、こちらは前述と同様にドラムマシンのセミモジュラーシンセとなっています。
ドラムマシンは基本的にインプットとアウトプットを備えた、ドラムのようにリズムをたたいてくれるメトロノームのようなシンセという認識が多くあるかと思います。
ですがこちらのシンセはVCOセクションで矩形波と三角波のオシレーターを2つのオシレーターで出力できるほか、MOTHER 32同様にローパス及びハイパスフィルターを搭載することで変調を行えます。
またEGはVCA、VCFの作用しアタックディケイの操作が可能なためドラムマシンなのに緩やかに入る1拍子目を作ることや、逆再生のようなニュアンスを作ることも可能です。
MOOG ( モーグ ) / SUBHARMONICON アナログシンセ
こちらはMOTHER 32とは変わり6このサウンドエンジンを搭載し複数の音を同時出力することができるシンセです。
基本的なVCOの波形は同様で矩形波とノコギリ波を扱いますが、2つのオシレーターを備えるだけでなく各オシレーターにSUBフリケンシーを搭載し1つのオシレーターから3つの音階を鳴らすことが可能になります。
このシンセはアルペジエーター又はシーケンサーにアサインしながら使うことで、伴奏のようなパートや変調し続けるメインの音を奏でることが特徴的といえます。
こちらも基本的なアナログシンセとしては上述の通りですが、パッチングを行うことでより幅広い想像もできないような使い道を得ることが可能です。
MOOG ( モーグ ) / MG MAVIS
こちらはほとんどモジュラーシンセといえるセミモジュラーシンセです。
ほとんどの機能はMOTHER 32を簡単にしたものですが特徴的なのは、自分で組み立てを行うことができるキットということです。
昔雑誌などの付録でついてきたキットを組み立てることで、アナログシンセやテルミン等をつくったことがある人達からすると”MOOGを作れるキットがあるなんて”となるかと思います。
またMOTHER 32を簡単にしたものと説明した通り通常のセミモジュラーシンセとしても申し分なくアナログシンセとしてはかなり優秀な素材といえます。
MAVISは違いますがこれらの商品はSound Studioというバンドルセットとして発売もされていて、MOOGの純正RACK STANDを活用することですべての製品をセットで設置することもできます。
卓上にモジュラーシンセをおいて暇つぶしに一人セッションをするなど、トラックメーカーやモジュール大好きな人からすると憧れの状況かと思います。
ぜひ気になった方はチェックしてみてください!!