
機材選びで知っておきたいこと
Warm Audioの創設者Bryce Youngが、コンポーネント(部品)に並々ならぬこだわりを持っていることは、よく知られています。かつてガレージで回路をいじっていた頃、Bryceは、回路内で特定の機能を果たすために、適切な音響特性を持つ適切なコンポーネントを見つけることが、最終的な結果に「非常に大きな」違いをもたらすことに気づきました。
「それは小さな違いではありません。コンポーネント次第で、機材を通したオーディオの品質が良くも悪くもなります。」
この記事では、製品仕様で頻繁にその優秀さがうたわれ、フォーラムでも盛んに議論されているいくつかのコンポーネントについて取り上げます。これらのコンポーネントは、音楽機材の回路内で、増幅、スイッチング、絶縁、信号の変化といった重要な機能を担っています。場合によっては、複数の機能を同時に果たします。
どのコンポーネントが重要で、それらは実際にあなたのサウンドを良くするために何をしているのでしょうか? 見ていきましょう!
1. トランス

何をするものなのか:
トランスは、ハイエンドなプロフェッショナル・オーディオ機器の「秘密兵器」と言えるかもしれません。コンソールの黎明期から、マイクプリアンプでは各チャンネルにカスタム仕様の入力/出力トランスが使用され、私たちがそうしたコンソールに結び付けて考える伝説的なサウンドを生み出してきました。入力/出力トランスは、オーディオ・チェーンの他の部分とのガルバニック絶縁を行い、ハムやRF(無線周波数)干渉の影響を受けにくくするとともに、インピーダンス・マッチングも担います。実際の使用に即して言えば、内部回路や外部からの干渉によるノイズを低減し、プリアンプがさまざまなマイクや入力ソースをより適切に扱えるようにしてくれるということです。トランスが使われるのは、プリアンプやコンプレッサー、EQなどのアウトボード機器だけではありません。マイク、ギターアンプ、DIボックスなど、さまざまな機器に使用されています。

サウンドにどのような影響を与えるのか:
トランスは回路に応じて、特定の量のクリーンなゲイン、あるいは倍音を伴うゲインを得られるようカスタム設計することができます。明瞭度の高いクリーンな信号を実現するよう設計することもできれば、より多くの倍音歪みを加え、温かみや色付けを与えるよう設計することもできます。
何に注目すべきか:
すべてのトランスが同じように作られているわけではありません。CineMag(米国)、Carnhill(英国)、Lundahl(スウェーデン)をはじめとする高く評価されているトランス・メーカーの多くは、50年以上にわたって高品質な金属のラミネーション加工を行っており、私たちが愛するコンソールやシグナル・プロセッサーの歴史的なサウンドの大きな部分を形成してきました。トランス製造で知られるメーカーは現在でも高く評価されており、Neve、API、Universal Audio、Focusriteをはじめとする主要ブランドでも引き続き採用されています。同じトランスが、WA73シリーズのプリアンプ、WA12プリアンプ、WA76-AおよびWA76-Dシリーズのコンプレッサー、そしてWA-1Bなどにも使用されています。これらはほんの一例です。高品質な材料の調達を含むトランス製造の技術と科学は、簡単に再現できるものではありません。
シグナル・トランスについて結局のところ何が重要なのか?
トランス・バランス方式のアナログ・オーディオ機器は、ノイズフロアを低減しながら、より大きなヘッドルームを実現し、さらに、人工的で薄い音を抑えた、より滑らかなオーディオという形で音色を加えます。トランスは、邪魔なノイズを抑えながら、録音しようとしている音をより明瞭かつ忠実に表現します。
2. 真空管

真空管(「バルブ」とも呼ばれます)は、現代の電子技術が主流になる以前から使われてきた、音を形作り、増幅するための元祖とも言える方法のひとつです。特定の機材の音が「ウォーム」あるいは「ヴィンテージ」と表現される大きな理由のひとつが、この真空管です。

基本的に、真空管は信号を大きくするために使用されます。マイクに向かって歌ったりギターを弾いたりしたとき、その信号は最初は非常に小さなものです。高く評価されている6072A / 12AY7などの真空管は、シグナル・チェーンの初期段階で使用され、その信号を使用可能なレベルまで穏やかに増幅します。12AY7および6072Aタイプの真空管は、WA-CX12やWA-251を含むWarm Audioのマイクのほか、特に高く評価されているヴィンテージのELA MやC12マイクにも使用されています。EL34や6V6などの別の種類の真空管は、その増幅された信号を受け取り、スピーカーを駆動できるほど強力な信号へと増幅します。これはギターアンプ内部で行われていることです。
真空管が特別であり、今なお多くの人々に愛されている理由は、大きな音を扱ったときの振る舞いにあります。完全にクリーンな状態を維持するのではなく、真空管は信号を滑らかで音楽的な形で曲げ、変化させ始めます。これによって微妙な歪みと、いわゆる「ナチュラル・コンプレッション」が生まれます。つまり、大きな音はわずかに抑えられ、小さな音は少し持ち上げられます。その結果、非常にクリーンなデジタル機器やソリッドステート機器と比較して、より生き生きとして、表現力があり、扱いやすく感じられるサウンドになります。
もうひとつ興味深い点は、まったく同じ真空管は2本と存在しないということです。同じ仕様で製造された真空管であっても、わずかに音が異なる場合があります。そのため、古い「NOS(New Old Stock/未使用の旧在庫品)」真空管の一部は非常に人気が高く、価格も高価になっています。そうしたわずかな不完全さが、私たちの耳に心地よく感じられるキャラクターを加えているのです。
真空管は、マイク、マイクプリアンプ、ギターアンプ、コンプレッサーなど、サウンドに少し個性を加えたいさまざまな機器に使われています。そして、もし機材の真空管を交換する場合には、自分が何をしているのかをきちんと理解したうえで行ってください。真空管は高電圧で動作するため、慎重に扱う必要があります。
3. その他いろいろ:コンデンサー、抵抗、オペアンプなど!

プロオーディオやギターの世界で高く評価されている回路を動かしている、より小さなコンポーネントについて駆け足で見ていきましょう!知っておくべきことは次のとおりです。これらの小さなコンポーネントは、単に機材を動作させるだけでなく、機材がどのような音になるのかを形作る基本要素です。
- コンデンサー: 音色を形作り、聞こえる周波数をコントロールするのに役立ちます。たとえば、低域を引き締めたり、高域を滑らかにしたりします。
- 抵抗: レベルや信号をどの程度強くドライブするかを制御するのに役立ち、それによって明瞭度や感触に影響を与えます。
- ICオペアンプ: 信号にあまりキャラクターを加えることなく増幅する、クリーンで現代的なアンプです。
- FET: 滑らかで自然なサウンドのゲインを得るためによく使用され、より「音楽的」、あるいはレスポンスが良いと感じられることがあります。
- トランジスター: 多くの回路の基礎となるもので、さまざまな方法で信号を増幅したり制御したりするために使用されます。
- ダイオード: 信号がどのようにクリップしたり歪んだりするかを形作り、荒々しさ、サチュレーション、ダイナミクスに直接影響します。
なぜこれを気にする必要があるのか:
これらすべての部品が、その機材の音がクリーンなのか、ウォームなのか、パンチがあるのか、滑らかなのか、アグレッシブなのか、それとも無機質なのかに影響します。ブランドが使用しているコンポーネントを具体的にアピールしている場合、それは単に仕様を並べているだけではありません。その機材がどのように作られたかについて、細部まで配慮されていることを示すサインでもあります。それは、その機材の感触、レスポンス、そして最終的なサウンドの背後にあるクラフトマンシップのレベルを反映しています。
以下は、プロオーディオ機器の回路で一般的に使用されるその他の重要なコンポーネントと、それらの信頼できるメーカーをまとめた早見表です。
これらのコンポーネントは、ヴィンテージFETラージダイアフラムコンデンサーマイク、ヴィンテージ・コンソールのプリアンプ、FETコンプレッサー、オーバードライブペダルなど、さまざまな機器に使用されています。
以下のようなものに注目してみてください。

4. 特殊なコンポーネント

一部のコンポーネントは、ごく限られた製品だけに使用される特殊なものです。
オプティカル・セル(略して「オプトセル」)は、光に応じて動作する制御素子で、ゲインを変化させるために使用されます。一般的にはコンプレッサー、ノイズゲート、一部のアナログ・エフェクトなどに使われています。
非常によく知られたプロオーディオ用コンプレッサーでもオプトセルが利用されているほか、1970年代のヴィンテージ・エレクトロ・オプティカル・フェイザーのようなユニークなペダルにも使用されています。
コンプレッサーなどのオーディオ機器に使用されるオプティカル・セルは、光を利用して信号のダイナミクスを制御します。一般的には、光源(LED)と光に反応する部品(フォトレジスター/光抵抗器)で構成されています。オーディオ信号のレベルが上昇するとLEDが明るくなり、それによってフォトレジスターの抵抗値が変化します。この変化がコンプレッション効果に影響し、信号レベルを穏やかに低減します。オプティカル・コンプレッサーは、滑らかで自然なレスポンスが評価されており、FETやVCAなどの方式と比較して、より音楽的で攻撃的すぎないコンプレッションになることが多いとされています。
すべてのコンポーネントと同様に、オプトセルも大まかに定められたOEM仕様を満たすよう大量生産することができます。しかし、オプトセル製造の専門メーカーが実現する品質基準は、品質の劣る部品と比較すれば容易に違いを判別できるレベルに達しています。Kenetek T4Bは、プロオーディオ機器に使用されるオプトセル・ユニットにおける、細部まで徹底した製造工程と品質管理の最良の例です。WA-2Aコンプレッサーに使用されているものと同じT4Bユニットは、現在販売されている最もオリジナルに忠実な(そして高価な!)モデルにも使用されており、オリジナルの2Aサウンドを再現できる唯一のドロップイン交換品です。
5. 高品質なコンポーネントが受け継ぐもの
ほかの多くのものと同じように、人々は常に「昔と同じように作られた」ものを求めます。それは多くの場合、かつての時代の製造品質や基準を求めているということでもあります。音楽制作のための機材への投資を考えるとき、コンポーネントの選択は重要です。最も信頼されているメーカーによる、ヴィンテージ機器に忠実なコンポーネントを使用した機材を選ぶことで、あなたの信号は単に回路を通過するだけではなく、私たちが今なお追い求めているサウンドを形作ったのと同じような配慮をもって扱われることになります。
検討している機材に高品質なコンポーネントが使用されていることを確認したいのであれば、コンポーネントのメーカー名を明記し、それを見せ、積極的にアピールしている製品を探すことは、とても良い出発点です。もちろん、コンポーネントだけでオーディオの音が自動的に良くなるわけではありません。そして当然ながら、コンポーネントだけで素晴らしい録音ができるわけでもありません。あなたの耳、あなたの演奏、そして機材をどのように使うかが、常に最も重要です。しかし、高品質なコンポーネントを使って作られた機材から始めることで、確かな土台に立つことができます。そしてそれは、そもそもあなたが音楽を作りたいと思ったきっかけとなった、あのサウンドを生み出せるだけの力を持った基盤を与えてくれるのです。





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