
前編~ロンドンハマースミス地区、Goldhawk’s Road~
憧れのロックアーティストがリリースしたレコード/CDのジャケットや歌にゆかりのある土地へ、足を運びたいという衝動をお持ちの方も少なくないと思います。
しかし実際に行ってみたいと思っても、ロックマニア向けの旅行ガイド本ってあんまり見かけないですよね。
ということで、今回は私がかつて渡英した際に、現地の声を頼りになんとか辿り着いた、ロックファンのためのディープなスポットを中心にご紹介していきます。比較的迷わずに行くことができる場所を選んでいきますので、ロックファンの皆様にとって、イギリスの旅行へのご参考になれば幸いです。
記念すべき第一回目はイギリスのロック・バンド、ザ・フーのロックオペラ・アルバム「四重人格」を原作とした不朽の映画「さらば青春の光」ゆかりの地へとお連れいたします。
「さらば青春の光」のデラックス版DVDのボーナス映像ではロケ地の解説を見ることができますが、行き方までは紹介されていません。
実際にイギリスに行ってみると、ザ・フーの作品の由来やイギリスロックの背景が、空気や街の音、果ては食文化などから発見できることがあります。
LONDON:Goldhawk’s Road
ザ・フーの映画「さらば青春の光」の多くのシーンは、ロンドン地下鉄のハマースミス&シティ線のハマースミス駅のすぐお隣、ゴールドホークロード駅周辺で撮影されている様です。まず駅の改札を出て左に向かうとすぐに、大通りGOLDHAWK ROADが目の前に広がります。ザ・フーや映画のファンの方であれば、その通りに出た瞬間からテンションがあがると思います。

というのもこの通りでは、映画の中で主人公ジミーがステフという女の子をスクーターに乗せて走る印象的なシーンが撮影されています。そこに映る陸橋の下が地下鉄ゴールドホークロード駅。
ザ・フーの映画だけでなく、セックス・ピストルズのスティーヴ・ジョーンズとポール・クックが少年時代を過ごした地域としてもゆかりのある場所です。今回は、そんなゴールドホークロード駅周辺でのマニアックなディープスポットをいくつかご案内いたします。

Sheperd’s Bush Market (MAP ① )

駅を降りてすぐに目につく大きなアーケード。地下鉄の高架線沿いにアメ横のような通りがあります。これがシェパーズブッシュ・マーケットです。衣服やら飲食やら、たくさんのお店が並んでいます。ただ日本のアメ横のように声かけなどはなく、のどかな商店街でした。
映画の中では、夜中にモッズたちが敵対するロッカーズの1人を襲撃するシーンで登場する場所です。駅の入り口(MAP ③ )から、何台ものスクーターが真夜中のマーケットに向かって突進していく光景を思い浮かべながら歩いてみましょう。セックス・ピストルズのDVD「勝手にやったぜ!」には、セックス・ピストルズゆかりの地ロンドンツアーなる特典映像がありますが、その中でスティーヴ・ジョーンズとポール・クックがこの通りを思い出話とともに紹介しています。

昼間にこの通りを歩いていると、脳内再生されるのはザ・フーやセックス・ピストルズのようなロックよりも、緩やかなレゲエやスカといったムードの曲です。ザ・フーの名曲で映画のオープニングナンバーでもある「リアル・ミー」のデモ・バージョンを聴くと、レゲエスタイルになっていました。それもなるほどと頷けるような、独特のルーディな感覚は、ただ歩いていているだけで、ブリティッシュ・ロックの根をほんの少しかじっているような気分に浸れます。ロンドンにはジャマイカからの移民も多く在住している所以でしょうか。日中はそんなのどかなシェパーズブッシュ・マーケット。そのまま歩いていくと、あのハマースミス・オデオンが見えてきます。
A・Cooke's(MAP ② )

映画の中で、主人公ジミーが偶然出会った古い友人とパイを食べながらお話をするシーン。これは、かつてGold Hawk Roadの道沿いで、実際にあったアクークという飲食店で撮影されたものでした。Gold Hawk Road駅の出口近くの横断歩道を渡ってすぐ先にA・Cooke'sというカフェがあります。ジミーが注文した「Pie And Mash」という、パイとマッシュポテトをのせた皿にグリーンのソースをかけた料理をメインとしたお店です。
残念ながら現在は閉店してしまいましたが、思いを馳せながらその跡地の前にスクーターを止めるロンドンのモッズ達の姿を時々見ることができるそうです。
食べ物は、ビーフ・パイをはじめ様々なパイのメニューがあります。映画でジミーが注文したのは、後にピート・タウンゼントが設立したレーベルの名前となったイール(ウナギ)・パイ&マッシュではないかと推測されます。

「汁をたっぷりとかけてくれ」いうセリフがありますが、映画では一見茶色に見えるそのソースは、リカーと呼ばれるパセリーソースで、実際に見ると緑色でした。またこの店内のシーンで友人が注文している紅茶を試してみると、とても薄口なミルクティーが出てきました。

先程挙げたセックス・ピストルズのDVD「勝手にやったぜ!」のボーナス映像にて、スティーヴ・ジョーンズがこの店のパイ&マッシュを食べながら絶賛するシーンがあります。そのことからも分かるように、ウェストエンド界隈の住民の憩いの場として愛され続けていた老舗の飲食店であったわけですね。愛知県名古屋市にバーモンジーカフェ(BERMONDSEY CAFE)というパイ&マッシュをはじめとするイングリッシュフードや樽生のサイダー、ギネスが楽しめるディープなブリティッシュ・スタイルのカフェがあるのをご存知でしょうか。カフェで定期的に行われている「REGGAE OLDIES」はモッズやノーザン・ソウルをはじめとする、UKカウンターカルチャー好きが集まるナイトイベントとして、映画「ノーザン・ソウル」のパンフレットでも紹介されています。私も一度行ってみたいです。
旅行を楽しむためのワンポイント!
その1、オイスターカード(ここにもロックとのつながりが!)

ロンドンに着いたら、地下鉄やバスで使用できるオイスターカードを入手しましょう!
日本でいうスイカのようなものでチャージができるICカードです。地下鉄の駅の自動販売機でも購入できます。ロンドンは、切符売り場が非常に混み合っており、毎回切符を買うとなると、時間がかかってしまいます。限られた時間でのロンドン旅行では必携品です!出発前にチェックしておいてください。
余談ですが、例のセックス・ピストルズのDVDの中でスティーヴ・ジョーンズがGold Hawk Road駅の改札で思い出話をしているときに駅員が「撮影許可とってますか?撮影許可書を見せてください!」と注意されているシーンがあります。するとスティーヴが「ほらこれだ、ロンドン交通局の許可書だ」とオイスターカードの案内チラシを見せて駅員をからかっているシーンがあります。

その2、事前に英語を予習しておくと、もっとルーディな旅行が楽しめるかも!
さて、今回ご紹介したマイ観光スポットを歩いていて、私の英語力の乏しさを痛感しました。次回行くときにはもっとディープに楽しむべく、英語力をアップしてから行きたいと考えた次第です。しかし、いきなり英語教材を片手に文章を読もうとしてもかなり身が重いです。と思っていたらユニークな英会話学校を発見。それもカタカナで読みながらより流暢な発音を学ぶという方式で、様々なメディアにも注目されています。

テキストの英文の上に大中小のカタカナを記載。カタカナの大きさに合わせて発音することで、より正確な英会話ができるということです。生徒の中には80歳以上の女性がいて、英国にホームステイまでしてしまったという話は新聞にも取り上げられていました。
授業は録音も可能との事なので、行く時はコンパクトで高品質レコーダーを持っていきたいものです。次回学校の先生に話を聞いてみることにしましょう。
その3、英語のレッスンや、旅行先にハンディレコーダーを持っておきましょう!
TASCAM (タスカム) / DR-05 VER2-JJ リニアPCMレコーダー
幅広い用途に活用できる24bit/96kHz対応のハンディレコーダー。このコンパクトさで、無指向性ステレオコンデンサーマイクも搭載。しかも簡単操作!高音質録音が可能なので音楽、自然環境音、インタビュー(会話)の録音でも活躍します。
携帯で動画を撮るのもいいですが、音だけで残す思い出も、実は熱く残るものです。またロンドンに限らず、旅先においては、マップサイトでは分かりづらい道もあり、通行人に聞いたりするときがあるかと思います。何度も聞き返したりし辛い時、このハンディレコーダーは重宝すると思います。
MAP: Goldhawk’s Road

次回は、ロンドンからブライトンへとお連れいたします。
ザ・フーの「5:15」を聴きながら、楽しみにお待ちいただけたら幸いです。
