
入手困難なビンテージ・シンセサイザーのサウンドをシミュレートするギター/ベース用シンセサイザー・マシンSYNTH9 Synthesizer Machine。
ELECTRO-HARMONIX / SYNTH9 Synthesizer Machine
いつものギターサウンドを、シンセ創世記から発展期に登場した名機のサウンドへと変換させることができるエフェクターです。右上の音色切り替えスイッチと、4つのコントロールノブを駆使して、様々なファンタジアを堪能できる逸品!
今回は、このペダルを駆使して、ポール・マッカートニーの様々な楽曲でみられるシンセ・パートをギターでトライしてみたいと思います。
ポールというと、ベーシスト、ギタリストとして、評価の高い演奏家という印象が強いですよね。
しかし、特に70年代後半~80年代においては、実験的かつ斬新なシンセサイザーの使い方をする楽曲も多くあります。そういった異色作のいくつかは、90年代以降になるとクラブ・シーンをはじめとする様々な場において、カルトな注目を集めてきました。ポールが90年代半ば頃から、クラブ・ユース向けの12インチ・シングルやアルバムを匿名でリリースしてきたのも、そういった背景あってのことと思われます。
今回はポール・マッカートニーの来日を記念し、ギター片手にSYNTH9 Synthesizer Machineの魅力と、ポールの楽曲におけるシンセサイザーのアレンジ・センスに触れてみることにします。選曲に関しては、独断と偏見によるものですが、どの曲もCDやYouTubeで聴ける曲ばかりです。
今回のブログが、ポール・ファンのみならず、モダン・ポップ、ニューウェーブ、クラウト・ロックファンなど、様々なジャンルの方にとって、SYNTH9 Synthesizer Machineの楽しみ方のご参考になれば幸いです。
■Paul McCartney / Secret Friend (1980)

1980年にリリースされた12インチ・シングル「Temporary Secretary 」のB面曲。ポール・ファン(ビートルズ・ファン)の間では、名曲とされる楽曲ではないですが、ことクラブ・シーンにおいては、使える定番ナンバーとして、人気の一曲です。この曲を聴いて楽しめる方は、SYNTH9 Synthesizer Machineをかなりディープに楽しめる方だと思います。
まずは、エレピのリフレインがミニマルミュージックのように少し鳴り響いた後に、緩やかに入っていくシンセ・メロディーを弾いてみました。今回はOBXモードでトライしてみました。ファットなサウンドが特徴のシンセOberheim OB-Xを元ネタにしたサウンドモードです。
正直どのモードの音色で弾いても楽しめると思います。このエフェクターの可能性を広げてくれるトランシーな一曲です。
■Paul McCartney & Michael Jackson / Say Say Say
12INCH VERSION (1983)

1980年代の大ヒット曲の一つ。また、 現在ではディスコ・リバイバル・イベントの定番ナンバーでもあります。今回はシンセがさらに活躍する12インチ・シングルのリミックス・バージョンで楽しんでみました。
アナログシンセProphet-5をベースにしたサウンドのPROFIT Vモードにして、ベース部分のみをひたすら弾いたり、歌い出しから入るふんわりとしたシンセ・メロディーを弾いたりしてみました。
このペダルを2台用意して、ギター2人によるデュエットも楽しめそうです。先ほどのSecret Friend 同様に、特に速弾きする必要もないため、マイケルになりきって踊り弾きも楽しいかもしれません。
■Wings / Backwards Traveller - Cuff Link (1978)

次は、ウイングス時代のアルバム「LONDON TOWN」に収録されたメドレーの後半から始まるインストに挑戦。ニッチな香り漂うフュージョンテイストの一曲です。
ハーモニクスとビブラートを合わせたシンセサウンドのVIBE SYNTHモードにし、コントロールをいじって少しピョンピョン跳ねるような音色にして弾いてみました。これはペダルのノブ位置をもっと試行錯誤して、音色を追求したいところです。
■Paul McCartney / Save Us (2013)

1980年代の快活なポップを聴かせていたポール・マッカートニーが戻ってきたような、2013年の快作アルバム「NEW」のオープニング・ナンバー。ここ最近の来日公演でもお馴染みのレパートリーです。
Mini Moogなどを元ネタにしたMOOD BASSモードで、イントロを弾いてみました。ひたすらロック・ドライブするこの曲を、CDやレコードの音に合わせてイントロを弾くことの心地良さは、実に快感です。ギターによっては、ディストーションやファズとの組み合わせでも楽しめると思います。
バックバンドのギタリストはライブではどうやってこの音を出しているのか気になるところです。
■Paul McCartney / Wonderful Christmas Time(1978)

第1回目のラストは、この曲のためにSYNTH9 Synthesizer Machineがある、といっても過言ではないこの曲です。毎年クリスマスシーズンになると、デパートや商店街で流れる定番のクリスマスソング。
トナカイの鈴が奏でるリズムを表現したと思しき、イントロのシンセ音をディレイやトレモロと組み合わせ、トライしてみました。しかしCDやレコードなどで合わせて弾いてみると実に難しかったので、ギターの音だけで楽しみました。ギター初心者の私には難易度が高かったです…。
クリスマスパーティにそなえてこのエフェクターで練習してみてはいかがでしょうか。
SYNTH9 Synthesizer Machineで弾いてみたいポール・マッカートニーの名曲を、定番から少しニッチな曲まで5曲ご紹介しました。
まだまだ、ポールのシンセサイザー・アレンジメントの奥深さを楽しめる名曲がたくさんあります。次回も有名、無名問わず、シンセ心と多幸感溢れる曲をご紹介したいと思っています。
ポール・ファンのギタリストの方が、来日前後にSYNTH9 Synthesizer Machineで楽しんでいただけるきっかけになれば幸いです。
それではまた次回♪Hear Me …Lover♪
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