今回はSENNHEISERとしては珍しい、サイドアドレス方式を採用したMK4について紹介します。
早速このマイクの魅力を語っていきたいと思います。
MK4について
MK4 は、スタジオ録音用大型ダイアフラム・トゥルーコンデンサーマイクロホンです。
スタジオ録音で、「大型ダイヤフラム・トゥルーコンデンサーマイクロホン」が使われる事が多いのは、3つの重要な要素が含まれているからです。

(1) コンデンサーマイクロフォン
コンデンサーマイクロフォンは収音する音域が広く、ボーカルの録音やナレーションなどの「声」をきれいに収音するために、利用されています。
(2) トゥルーコンデンサー型
コンデンサーマイクロフォンには、いくつかの方式があります。ダイヤフラムに高電圧をかけ、ダイヤフラムに加わる音を電気信号に変換する方式が、最初に開発された方法のため「トゥルーコンデンサー型」と呼ばれています。優れた特性を得られる反面、回路や部品が複雑なため、他の方式に比べて高額になる傾向があります。
(3) 大型ダイヤフラム
マイクロフォンの心臓部であるダイヤフラムを大型にすると、音のニュアンスをより鮮明に表現することができます。ただ、その設計や製造には卓越したノウハウが必要とされ、新しいモデルの開発よりも、既に実績のあるモデルに近い傾向を追い求める商品が多いです。
開発背景

ゼンハイザーではMK4を商品化するまで、サイドアドレス(横向き)方式の大型ダイヤフラム・コンデンサーマイクを製品化してきませんでした。主な理由は二つ。一つは、小型ダイヤフラムのコンデンサーマイクロフォンで大きな成功を収めていたこと。もう一つは、ゼンハイザーグループに、大型ダイヤフラム・コンデンサーマイクで最も有名なブランド「ノイマン」があること。それぞれの分野を守るべきだと考えてきたためです。
しかし、ゼンハイザーは、マイクロフォンの物理的な特性を追い求める事が、最高のサウンドに結び付くというノイマンとは異なる考え方を持っています。この発想のもと、ゼンハイザーは新たな技術改革を行い、最高のパフォーマンスを発揮するラージダイヤフラム・マイクMK4を仕上げました。
MK4はこれまでの商品とは異なり、より多くのユーザーが使いこなせることをコンセプトとして開発されました。パーソナルレコーディングが普及し、多くのユーザーが優れたマイクロフォンを必要としているという状況の中、高級なレコーディングマイクロフォンを所有していても、ほとんどが「単一指向性」しか利用していない事が広範囲な調査の結果わかりました。ユーザーの多くは、ボーカルやナレーションを収録する事を目的としており「単一指向性」のみで十分なのです。加えて、「ローカット」や「PAD」などの機能も、必ずしも必要とされていないという事実がわかりました。
この事実を踏まえ、ゼンハイザーはMK4をこれまでのカテゴリーに無いマイクロフォンとすることにしました。
MK4は、「指向性切替」、「ローカット」、「PAD」の機能の無いトゥルーコンデンサー型マイクロフォンとなりました。搭載しないことにより、MK4は同じレベルのスタジオコンデンサーマイクロフォンよりも格段にリーズナブルな価格を実現することができたのです。
製品特徴

ボーカルの収録では、そのワイドな特性により、男性・女性を選ばずにストレートなサウンドに仕上げてくれます。そのリアルな音色はあまりにディティールを再現するので、マイクロフォンとの距離の取り方により最適なポイントを見つけると良いと思います。ナレーションに関して、シビランスが目立つ際には、イコライザーでHi成分を抑えれば、聴きやすいサウンドに仕上げられるでしょう。
注意点とアクセサリー
低域特性が20Hz付近まで伸びている場合、セッティングする際サスペンションホルダーを利用すると不要な振動がマイクロフォンに伝わりません。

MKS 4

MKS 4を装着したMK4
ポップガード、またはウィンドスクリーンのMKW 4を利用すると、ボーカルやナレーション収録の際に発生する「ポッ・ポッ」というノイズを軽減することができます。

MZP 40

MKW 4
最大音圧が140dBという点も、見逃せない要素です。この性能のお陰で、バスドラムの収音に使う事も出来ます。また、ベースアンプなどの低音楽器の収音にも実力を発揮します。

概要
- 大型ダイアフラムカプセル(1インチ)
- トゥルーコンデンサー設計
- 24金メッキダイアフラム
- メタルハウジング
- 固体伝搬ノイズを最小限に抑えるショックマウント機構を内蔵したカプセル
- プロジェクトスタジオやステージでの使用を想定した設計
- 固有自己雑音が低く、最大SPLが高い
- ドイツ製
仕様
寸法 | 160 x 57 mm(L x D) | 最小終端インピーダンス | 1000Ω | 電源 | 48v |
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周波数帯域 | 20 ~ 20KHz | AF 感度 | 25 mV/Pa | 電流消費量 | 3.1mA |
本体重量 | 485 g | 等価雑音レベル | 10 dB(A) | ダイナミックレンジ | 130 dB |
公称インピーダンス | Ca. 50 Ω | 最大音圧レベル | 140 dB |
まとめ
- MK4の大きな特徴
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声の輪郭がはっきりしているから配信におすすめ
高域の表現力にすぐれており、配信で埋もれがちな声もきれいに収音できます。楽器が複数入っても埋もれにくいのでボーカルやナレーション録りにもおすすめです。
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高い入力音圧レベル
爆音のギターアンプやキックドラムの録音など、歪む不安からコンデンサーマイクの使用を避けたい場所はありませんか?MK4なら高いSPLに加え、セルフノイズ(自己ノイズ)も低いことでダイナミックレンジが広く、どんな音源でもしっかりと芯のある音をキャプチャーします。
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内部サスペンション効果
ショックマウント機能を搭載しているため、別売りのサスペンションなしでも振動によるノイズを抑えられます。付属クランプも小型なのでマイク設置後に邪魔になることもなく簡単に扱え、すぐにでもレコーディングすることができます。
いかがでしたでしょうか?
MK4の魅力をお伝えしました。必要な機能のみにフォーカスすることでローコスト化を実現。とことんサウンドを突き詰めたMK4は、ボーカルから楽器まであらゆる音源に対応するアマチュアからプロまで訴求力の高いマイクです。SENNHEISERならではの、ナチュラルで抜けのよいサウンドをお手ごろな価格で手に入れられるイチ押しのマイク。マイクを検討中の方はぜひ候補に入れてはいかがでしょうか。