ネットでかんたんに情報が見つけられる昨今、ギターの修理や改造もDIY感覚で自分の手で行ってみようという方が増えてきたように感じます。
ピックアップ、ハードウェアなど様々なパーツがある中、最近よくご相談いただくのがフレット。
どんな内容かと言うと、自分でフレットを打ち替えてみたいけど他のパーツのように頻繁に変えるものでもないので、どんなモノを選んでいいかわからないという話です。
確かに、年を追うごとに販売されているフレットの種類が多くなっている気がして私自身困惑するレベルです。
フレットは、弾き心地に直結する部分のため、正直数ある種類の中から好みで選択していただくのがよいのでは。。と思うこともありますが、そう言ってしまっては元も子もありません。そこでサウンドハウス取り扱いの各社フレットの特徴をご紹介できればと思います。
大前提として、フレット交換はただ楽器の指板からフレットを抜いて、打ち替えるだけではありません。フレットを抜いた後に、指板やフレット溝の状態をチェックし、指板のすり合わせや溝の修正、新しいフレットに合わせた溝の切り直し、フレット打ち変えに付随するナット交換、メイプル指板であれば再塗装などの様々な作業が必須になってきます。
文章で書けば簡単に見えるかもしれませんが、実際に作業をしてみると、スキルや経験、判断力が必要となり、とても簡単なものとは言えません。
自信のない方は無理に交換して大事なギターのコンディションを崩してしまわぬよう、リペアショップさんに依頼するのも大事なことだと思います。
偉そうなことを言ってしまいましたが早速、各社フレットについてご紹介していこうと思います。
■Freedom Custom Guitar
Made In Tokyoを掲げている国産メーカーです。
Freedomの販売しているフレットにはニッケルシルバーとステンレスの2種類があります。その中でもステンレスには、ステンレスらしい高い耐久性と、鋭い音の立ち上がりを持った「SPEEDY」と、「柔らかく」「温かい」ウェットな響きがする「WARM」の2種類をラインナップしています。

Freedomのステンレスフレットは、同じステンレスフレットの中では柔らかく、とにかく打ち込みやすく加工しやすいという特徴があります。
硬さを表すビッカース硬度(HV)という数値があり、低ければ低いほど柔らかくなります。
ニッケルシルバーのフレットがHV160からHV185近辺、一般的なステンレスフレットがHV300前後であるのに対し、SPEEDYはHV210、WARMはHV160と柔らかいことがお分かりいただけると思います。
音色もニッケルシルバーの一般的なフレットに近く、しかしながらすり減るまでの寿命は他のステンレスフレットのように長寿命を実現しており、また当然酸化しにくく錆びにくいこともあり、綺麗な状態を保つことができます。
■JESCAR
ドイツ製のフレットです。
印象としてはJESCARのステンレスフレットはとにかく硬い。。。本当に硬いです。。。

ビッカース硬度の数値もHV300と、ニッケルシルバーの硬度がHV160からHV185近辺であることから、硬いことが見て取れます。
硬くフレットが削れにくいだけでなく、サウンドもトレブルの効いたシャキっとした音色になる傾向があり、そのような音質が好みの方はぜひ選んで頂きたいフレットです。
またステンレスの他にもEvolutionという銅、錫、鉄、チタンの合金でできているステンレスとは違ったアプローチで開発されたフレットもラインナップされています。

硬度はHV250とステンレスほど固くはありませんが、ニッケルシルバーに比べて耐久性が優れており、色味も金色に近くルックスも一味変えることができるおすすめのフレットです。ギタリスト、トモ藤田氏のシグネチャーモデルにも採用されていることからも優れたフレットであることが窺えます。
■JIM DUNLOP
ジャンボフレット=JIM DUNLOPと考える方もいるほど有名な同社のフレット。
#6100はジャンボフレットを好むギタリストであれば一度は試された方も多いのではないでしょうか。

ジャンボフレットのイメージが強いJIM DUNLOPですがサイズのラインナップが多岐にわたり、ビンテージに近い小さいフレットも微妙な形状の違いを複数種類、好みに合わせて選択することができます。
JIM DUNLOPにはステンレス製という選択肢は設けられておらず、どのモデルもニッケルと銀の合金で制作されています。
また硬さもニッケルと銀と配合比を変えた18% N/Sと12% N/Sの2種類をラインナップ。12% N/Sは柔らかく曲げやすく、指板にも打ち込みやすいため、初めてフレット交換をされる方には試していただきたいモデルです。
いかがでしたでしょうか。
見た目は同じようなフレットでも各社特徴があり、違いがあるものです。
今回ご紹介した内容から、自分にとって最善のフレットを選んでいただければ幸いです。