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厚生年金ホールでバイオリンを弾く悪夢?

2018-08-17

テーマ:サウンドハウス創業者のコラム「Rickの本寝言」

情操教育の一環として、小さい頃から楽器を演奏することは重要と考えられている。特に3-4才の頃から子供に音楽を勉強させると、音感を養うことができ、場合によっては絶対音感を身につけられるような指導もたやすくなることから、子供の音楽教育に熱心な親御さんは少なくない。最近では「お受験」ムードが高まり、特に都会では小学校低学年から塾に通う子供たちが急増する一方、習い事をするならどちらかというとスポーツ系に重きが置かれ、音楽教育の重要性は、以前ほど囁かれなくなっているようだ。それでもやはり、子供にはピアノだけは学ばせたい、と考えている親御さんは多いのではないか。

昭和の時代、自分の家でも無理やりピアノを学ばされた。と同時に、声楽のスクールにも通うことになったが、友達と大声で叫びながら遊ぶことが多く、いつもがらがら声で歌うこととなり、こちらはすぐに止めることになった。それでもピアノは3歳から何とか3年続き、ソナチネの3番までを無事終了。それで終わりかと思いきや、なんと教育熱心な母親が、今度はやりたくもないバイオリンのレッスンに通えと言うのだ。男がバイオリン?!ありえない、やりたくない、と文句を言うも、有名な先生が家のそばで教室をやっているから、とにかく通いなさいと言われ、しぶしぶ練習をした。

はっきりとは記憶に残っていないが、そんなある日、記念コンサートをやるという話がバイオリンの先生からもちあがり、そのために多少なりとも普段よりは一生懸命に練習をしたように思う。そのコンサートの会場はというと、なんと新宿の厚生年金会館の大ホールだったのだ。有名な先生だけに、生徒の数は大変多く、コンサートの当日、会場はほぼ満席。そして子供なりにもビビったのだろう。記憶はあまりない。また、リハーサルも1度あったようだが、その記憶もさだかではない。

そんな中でも確かな記憶が2つだけある。それは、自分の出番となる20名くらいの子供チームのバイオリン演奏において、まず、自分が一番後ろの右側に立っていたこと。おそらく、新人で一番へたっぴな子供だったから、一番後ろに立たされたのだろうが、これはよしとしよう。そしてもう一つ覚えていることが、最後のアクシデントだ。「荒城の月」という有名な曲をみんなで演奏したのだが、見よう見まねで、前と横にいるお友達にあわせて弾ければいいやと、甘く考えていたのか。曲が終わる最後の音符が頭に浮かぶも、緊張のあまり、意識は朦朧としていたと思う。そして「ああ、これで終わりだ!」とバイオリンの弓を軽やかな手首のさばきで上にあげた、とその時!何と。。。。。曲の最後でまわりのみんなは、弓が下がっていたのだ。ただひとり、逆の動きをしてチームの統制を乱し、指揮する先生に恥をかかせてしまうという、とんだ間違いを犯してしまった。

それを最後に、バイオリンには触らなくなってしまった。そして申し訳ないことに、その年、教えていただいた有名な先生は亡くなってしまい、母親と一緒にお葬式に行くことになった。先生もきっと恥ずかしい思いをしたのではと、それから半世紀たった今でも、申し訳なく思うことがある。

Rick - 中島尚彦 -

1957年東京生まれ。10代で米国にテニス留学。南カリフォルニア大学、ウォートン・ビジネススクールを経て、フラー神学大学院卒。GIT(Guitar Institute of Technology)第2期生のギタリスト。80年代にキリスト教会の牧師を務め、音楽ミニストリーに従事しながら、アメリカで不動産会社を起業。1989年、早稲田でライブハウス「ペトラクラブ」をオープン。1993年千葉県成田市でサウンドハウスを創業。2001年、月間地域新聞日本シティージャーナルを発刊。主幹ライターして「日本とユダヤのハーモニー」の連載をスタートし、2010年よりwww.historyjp.com を通じて新しい切り口から古代史の流れをわかりやすく解説。2023年、一般財団法人サウンドハウスこどものみらい財団を創設し、こどもたちの支援にも従事。趣味はアイスホッケー、ピアノ演奏、トレイルラン、登山など。四国八十八ヶ所遍路を22日で巡る。グループ企業の経営指導に携わるかたわら、古代史の研究に取り組み、日本のルーツ解明と精神的復興をライフワークとする。

 
 
 
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