バイオリンの手入れ、と聞くと何か特別な扱いが必要?と構えてしまいがちです。特別な用品を使って、特別な拭き方、・・・確かに守るべきルールはありますが、この虎の巻では基本的なことをご説明します。
バイオリンは自立しないのでどう置いても不安定になりがちです。
画像の様に平らな台に横向きに置くと、取りあえず「置く」ことは可能です。しかし、指1本で簡単に倒れるので、危険を含む置き方だということです。平置きにしたところで裏板が丸いのでコロコロ揺れて不安定です
弦交換などで台に楽器を平置きにしたい場合、例えば真ん中がくぼんでいる枕の様なクッション、或いは大きめのタオルをたたんで敷くなど工夫してみてください。楽器の取り扱いに慣れてくると自分の膝(ふともも)の上は意外に安定した場所になるでしょう。
片手でネックを、もう一方の手でエンドピンを支えて持ちます。ボディを直接手のひらで触れない方がいいでしょう。楽器の塗装の質によっては手の汗や付着している何らかのものに、塗装が影響を受けてしまう場合があります。
胴体に触れない持ち方が基本です。
写真のクロスはモーリス製
ポリッシュはLyric Polishです
身体が触れる場所、ネックの裏、糸巻き、あご当て、テールピースなどは乾いた布、または楽器用クロスで拭いておきましょう。
楽器用のオイルやポリッシュなどはから拭きで落ちない汚れを落としたい時に、必要に応じて用いましょう。オイルやポリッシュは「塗る」ものではなく汚れと一緒に拭きとるのが基本です。オイルを拭き残してあまりにもテカテカ光る状態で放置しないようにしましょう。
日常のお手入れの基本は乾拭きです
ポリッシュやオイルの拭き取りに楽器用クロスを用いるのはもったいないので、ティッシュや、ハサミで切った古いTシャツなどの布きれを用意しておくといいでしょう。やむを得ず楽器用クロスでオイルやポリッシュを拭いた場合は洗濯をしておきましょう。
柔らかい刷毛でほこりや飛んだ松脂を取るのも方法です
バイオリン関連で最も掃除に苦労するのはおそらく付着した松脂でしょう
この写真は説明を分かりやすくするため、意図的に松脂を溶着させたものですが、実際にこの位の状態の楽器というのはよく見かけるものです。
短時間演奏した位ではさほど気になりませんが、それでもうっすらとボディや指板、駒の周辺に雪のように積もり始めているのが分かると思います。松脂は粘性があるので写真の楽器の様にこびりついてしまう前に、基本的にはから拭きで掃除をしてください。
しばらく掃除をせずに、付着した松脂が固まってしまった時は、楽器の塗装の質によってやり方は異なりますが、掃除の仕方があります。
※読み飛ばさないでください!この箇所はとても重要です
楽器の塗装がウレタン、ポリ系の塗装の場合に限り→無水エタノールを使うことができます。
尚、指板についた松脂をエタノールで拭き取ると、着色指板の場合は色が落ちる場合があります。
実際に先程の写真の楽器を実際に無水エタノールを使って掃除してみましょう。
拭き始め、松脂が少し取れているのが分かります。ここではティッシュペーパーを用いています。
※ニス、ラッカーの場合→エタノールは使えません。
ニス塗の楽器の場合はコンパウンド、という細かい磨き粉が含まれた特殊な用品を使います。作業の仕方に少しコツがいりますので、不安な方はご依頼ください。
JOHA High gross polish(ドイツ製)研磨剤入りのポリッシュです。ニス塗の楽器のしつこい汚れはこの類の研磨剤入りのものを使用します。
研磨剤が入っていますので、ニス塗のオールド楽器、比較的最近のものでもニスがデリケートなものには作業に細心の注意を要します。
他にもポリッシュやオイルには色々な種類があります。
JOHA String Cleaner(ドイツ製)
弦のクリーニングに用います。ニス塗の本体には使えません。
Lapella(ドイツ製)の指板リカバリーオイル。植物性の指板お手入れオイル。ニス塗の本体も使えますが、目立たないところで試してからご使用ください。
弦楽器を演奏するのは楽しいものですが、こうした日常の手入れを継続してやっていくことで楽器の状態も良好に保てて楽しさも一段と増すでしょう。
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