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シンセサイザー鍵盤狂 漂流記 ~音楽を彩った電気鍵盤たちとシンセ名盤の数々~ その61

2022-01-24

テーマ:音楽ライターのコラム「sound&person」

ハモンドオルガンの名プレイヤーと数々の名盤特集 パートⅥ ジャズ編

今回の鍵盤狂漂流記はオルガンの名機であるハモンドオルガンのジャズ名盤ご紹介差し上げます。今回のハモンドプレイヤーはマイルス・デイビスのバンドに10代で参加をした天才オルガニスト、ジョーイ・デフランセスコです。
ジョーイ・デフランセスコはアメリカ生まれのジャズオルガニスト。クインシー・ジョーンズはジミー・スミス以来の世界一のオルガン奏者であるというお墨付きを与えています。
マイルス・デイビス、ジミー・スミス、デビッド・サンボーン、ジョン・マフラグリン、スティーブ・ガット、ジョン・スコフィールドなど、多くのジャスの巨人達と共演しています。また、自身名義によるソロアルバムも多くリリースしています。

■ 推薦アルバム:ケニー・バレル『75th Birthday Bash Live』(2007年)

ジャズ・ギターの巨匠、ケニー・バレルの75歳を記念したライブアルバム。「ラメント」、「チュニジアの夜」やマイルス・デイビスの「オール・ブルース」、デューク・エリントンの「ソフィストケイテット・レディ」など多くのスタンダード曲がクレジットされています。共演メンバーも豪華でジョーイ・デフランセスコやヒューバート・ロウズ(Fl)などのファースト・コール達が参加しています。

推薦曲:『チュニジアの夜』

ライブ録音されているこの楽曲はラフでお祭り騒ぎといった印象が強い。なんといっても凄いのがジョーイ・デフランセスコのオルガンプレイ。楽曲のブレイク部分から飛ばしまくっている。フランセスコのプレイはその勢いと裏付けされた高度なテクニックの惜しみない全開ぶりです。フレーズも勿論ジャズなのですが、分かり易くロック的なフレーズも混合し、親しみやすいソロ構成です。また、ドロバーの使い方も上手く、ハモンドソロの最終部分でドローバーを全部引き出し、レスリーをファストにするという王道な盛り上げ方にも長けています。
ライブのラフさは指摘されるものの、デフランセスコのハモンドソロを含めた凄まじいばかりの勢いとグルーブがこの楽曲を強力で鮮やかなものにしている。とにかくひたすらにカッコイイのです!

■ 推薦アルバム:ボブ・バーグ『ジャズタイムス・スーパーバンド』(2000年)

このアルバムはかなり素敵です!ボブ・バーグ名義によるリリースです。ジャズ・タイムス誌の30周年を記念して結成されたジャズ・タイムス・スーパーバンドの作品。 恥ずかしいことにジャズをかじる前まではオルガンジャスにベーシストがいないとは知りませんでした(例外もあります)。オルガン奏者は自分の左足で足鍵盤、左手でオルガンの鍵盤でベースラインを弾きます。ハモンドオルガンはベース用のドローバーが付いているのでオルガン弾きにとっては左手でベースを弾くのが常識です。だから、ベーシストは必要ないのです。
このアルバム、なんといっても面子が凄い!オルガニストのジョーイ・デフランセスコを筆頭にボブ・バーグ(Tsax)、ランディ・ブレッカー(Tp)、デニス・チェンバース(Dr)です。ボブとランディはオリジナルを3曲づつ提供しています。デニス・チェンバースの強力ドラムプレイも聴きものです。この人はロックを叩いても、ジャズを叩いても上手いドラマーでスティーリー・ダンのライブアルバムでも素晴らしいプレイをしています。
また、ギタリストのポール・ボレンバクも数曲参加しています。このギタリストのプレイもかなり素敵なプレイをしています。トラディショナルなジャズ・ギターとは若干異なる、新時代のジャズギターフレーズも聴くことができます。

推薦曲:『ダーティ・ドッグス』

ファンキーなテーマにジョーイ・デフランセスコのハモンドが唸りを上げる。ハモンドを弾かせたらこのプレイヤーの右に出るものはいません。10代でマイルス・デイビスのバンドに参加した腕前の持ち主で、デビッド・サンボーン(Sax)やジョー・ベック(G)、ケニー・バレル(G)など、数多のジャズプレイヤー達との共演している。
前述のギタリスト、ポール・ボレンバクの端正でアウトしまくるギターソロは秀逸です!

推薦曲:『フライデイ・ナイト・アット・ザ・キャデラック・クラブ』

キャッチーなブラスアンサンブルがテーマを奏でるファンキージャズ。いかにもビッグバンドが演奏しそうなボブ・バーグのオリジナル曲。デフランセスコのオルガンソロはどれだけ抽斗があるか分からないほどの多彩なフレーズと見事な構成力!
CTIからリリースされたCTIオールスターズによるアルバム「リズムスティック」にもこの曲が入っている。ロベン・フォードがブルージーな素敵なソロを弾いている。


今回取り上げたミュージシャン、アルバム、 推薦曲、使用鍵盤

  • ジョーイ・デフランセスコ、ケニー・バレル、ボブ・バーグ、ポール・ボレンバク等
  • アルバム:「75th Birthday Bash Live」、「ジャズタイムス・スーパーバンド」
  • 曲名:「チュニジアの夜」、「ダーティ・ドッグス」、「フライデイ・ナイト・アット・ザ・キャデラック・クラブ」
  • 使用機材:ハモンドB-3オルガン

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鍵盤狂

高校時代よりプログレシブロックの虜になり、大学入学と同時に軽音楽部に入部。キーボードを担当し、イエス、キャメル、四人囃子等のコピーバンドに参加。静岡の放送局に入社し、バンド活動を続ける。シンセサイザーの番組やニュース番組の音楽物、楽器リポート等を制作、また番組の音楽、選曲、SE ,ジングル制作等も担当。静岡県内のローランド、ヤマハ、鈴木楽器、河合楽器など楽器メーカーも取材多数。
富田勲、佐藤博、深町純、井上鑑、渡辺貞夫、マル・ウォルドロン、ゲイリー・バートン、小曽根真、本田俊之、渡辺香津美、村田陽一、上原ひろみ、デビッド・リンドレー、中村善郎、オルケスタ・デ・ラ・ルスなど(敬称略)、多くのミュージシャンを取材。
<好きな音楽>ジャズ、ボサノバ、フュージョン、プログレシブロック、Jポップ
<好きなミュージシャン>マイルス・デイビス、ビル・エバンス、ウェザーリポート、トム・ジョビン、ELP、ピンク・フロイド、イエス、キング・クリムゾン、佐藤博、村田陽一、中村善郎、松下誠、南佳孝等

 
 
 

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