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シンセサイザー鍵盤狂漂流記 ~音楽を彩った電気鍵盤たちとシンセ名盤の数々~ その55

2021-11-26

テーマ:sound&person

ハモンドオルガンの名プレイヤーと名盤の特集

今回の鍵盤狂漂流記はオルガンの名機と云われるハモンドオルガンの名プレイヤーや名盤を各ジャンルから探索し、ご紹介します。
初回のカテゴリーはロックです。鍵盤狂漂流記ではプログレシブロックを取り上げた際にキース・エマーソン、リック・ウエイクマンなどのキーボードプレイヤーを取り上げました。しかし、シンセサイザーで括られていた為、そのコメントはあくまでシンセサイザーの演奏やシンセメーカーごとの特色に特化したものでした。
その際は「ハモンドオルガン」の演奏に対するコメントは最小限にとどめています。
ロックやジャズにおけるオルガンという楽器は演奏家にとって欠かすことのできない大きな要素であることは間違いありません。そしてオルガンと云えば、ハモンド!と云えるほど、音楽の中に深く浸透した存在なのです。時を超えてハモンドオルガンの存在は輝き続けています。

ハモンドオルガンとは・・・

大きな教会にはパイプオルガンが設置されています。しかし、コストの問題等で全ての教会がパイプオルガンを設置できる訳ではありません。ハモンドオルガンはそんな背景から生まれた電気仕掛けのオルガンで、パイプオルガンをシミュレートした楽器として誕生しました。

●ハモンドC-3オルガン (出典:鈴木楽器製作所HPより)

ハモンドオルガンの特徴の1つに「ドローバー」があります。1つの鍵盤に対し、基音である8フィート音の他、1オクターブ下(16フィート)2、3、4オクターブ上(4フィート、2フィート、1フィート)、その他に5度上や3度上の倍音など8種類の音が其々、8本のドローバーにアサインされ、ドローバー(8段階のボリューム設定)を引き出すことで音色と音量を調節することができます。このドローバーのセッティングは2億以上の音設定が可能です。

ロックの王道は16フィート、5 1/3フィート、8フィート、4フィート、下4本のドローバーを全部引き出したセッティングです。オルガニストはドローバーで音を変え、様々なシーンを描き出します。

ハモンドオルガンドローバーのイメージ(出典:鈴木楽器製作所HPより)

静岡県にあるハモンドオルガンの会社、鈴木楽器製作所

ハモンドオルガンを作っているのは静岡県浜松市にある鈴木楽器製作所です。スズキ楽器さんは私が報道の仕事をしている時に非常にお世話になりました。様々な楽器を作る世界的な会社です。音楽教育に必要なメロディオンやハーモニカも作っています。そしてハモンドオルガンも製作するという間口の広い楽器会社です。
私がシンセサイザーの番組を制作した時やニュース番組でコーナー企画、「ハモンドの鍵盤が消える日」を制作した時など、Tさんをはじめとする多くの皆様にお世話になりました。町の楽器工場のおじさん達といった、人懐っこく温かな人達でした。
特別な価格でオーバーハイムのエクスパンダーを提供して頂いたり、プリンセスプリンセスの今野登茂子さんが使っていたピンク色のカーツェイルシンセサイザーをお借りしたこともありました。Tさんとの思い出は尽きません。
私は学生時代にハモンドニューX5を購入以来、ハモンドの大ファンです。しかし、ニューX5は2段鍵盤で重すぎて(本体と脚、脚鍵盤の3つに分かれ63㌔!)1人では運ぶことはできませんでした。
その後、バンド用に小回りの利く、コンボタイプのハモンドを購入し、使っていましたが、このハモンドも12キロ近い重さの為、腰の悪い私には負担でした(イイ音が出たのは間違いありません)。ローラー付きキャリアで運びましたが61鍵盤の縦長楽器を運ぶのは難しく、今では軽い外国製のオルガンに変更しています。
また、シンセサイザーでオルガンの代用は可能ですが、シンセサイザーにはドローバーが付いていない為、オルガンを弾いている感覚が希薄でバンドでオルガンを多用する私にとって、ドローバー付きオルガンはファーストチョイスとなっています。

■推薦アルバム:ディープパープル / 『ライブ・イン・ジャパン』(1972年)

ロックにおけるハモンドオルガンの代表作といえば、ディープパープルのライブ・イン・ジャパンです。このアルバムはディープパープルの名盤というよりも数あるロック名盤の代表格です。
ディープパープルの最盛期をライブ録音したもので、スピード感溢れる演奏を聴く事ができます。ギタリスト、リッチ・ブラックモアの演奏もさることながら、キーボードプレイヤー、ジョン・ロードの素晴らしいハモンド演奏を聴く事ができます。 ジョン・ロードはカスタマイズされたハモンドC-3オルガンを使用しています。 通常、オルガニストはハモンドオルガンにレスリースピーカーを繋げますが、ジョンの場合はハモンドを直接、マーシャルのアンプに繋ぎ、リッチの大音量に負けない音を出しています。

推薦曲:『ハイウェイ スター』

このライブにおけるジョン・ロードのオルガンソロは彼の演奏におけるベストテイクの1つであると思います。ジョンのハモンド演奏はとてもメロディアスです。まるで書き譜のように美しいメロディラインを演奏しています。ジョンの背景にクラッシックがある事は容易に想像できますが、最初はアドリブではなく、書き譜だと思っていました。しかし、ライブ・イン・ジャパンのハイウェイスターの別テイクを聴くと同等なアドリブを弾いていない為、書き譜ではない事が分かりました。勿論、ハイライト部分である4連符の早弾き部分は同様ですが…。

誰もが憧れるジョンのソロを18歳の時に音楽学科の友人にコピーを手伝ってもらい(当時の私では難しすぎて耳コピーはできません)、学園祭で演奏しました。しかし、あそこまでしっかりとした粒立ちが弾けたかと云えば全くそうではありませんでした。

ジョンのハモンド演奏の裏ワザとしてハイウエィスターなどで、演奏の最後にリバーブを深くかけて膝と腿でハモンドを持ち上げ、膝を抜いてハモンドを数センチ地面に落下させることで「バシャ~ン」というリバーブ音(残響音)を出して演奏を終わるというテクニックがあります。この音がカッコイイのです。スプリングリバープ機能がある機材でないとできません。ライブ・イン・ジャパンでは、この音が聴けますので是非、意識して聴いてみて下さい。そしてリバーブが内蔵されている機材で試してみて下さい。その効果が分かる筈です。

推薦曲:『レイジー』

リングモジュレーターを使ったトリッキーなハモンドらしからぬ音で始まる。リングモジュレーターをエフェクトに使ったのはハモンドをより幅広い音色で聴かせたかったジョンの企みと思われます。この曲ではジョンのファンキーなオルガンプレイを聴く事ができます。

■今回取り上げたミュージシャン、アルバム、推薦曲、使用鍵盤

  • アーティスト:ディープパープル、ジョン・ロード
  • アルバム:「ライブ・イン・ジャパン」
  • 曲名:「ハイウェイ スター」、「レイジー」
  • 使用機材:ハモンドC-3オルガン

コラム「sound&person」は、皆様からの投稿によって成り立っています。
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音楽ライター / シンセ鍵盤卿

高校時代よりプログレシブロックの虜になり、大学入学と同時に軽音楽部に入部。キーボードを担当し、イエス、キャメル、四人囃子等のコピーバンドに参加。静岡の放送局に入社し、バンド活動を続ける。シンセサイザーの番組やニュース番組の音楽物、楽器リポート等を制作、また番組の音楽、選曲、SE ,ジングル制作等も担当。静岡県内のローランド、ヤマハ、鈴木楽器、河合楽器など楽器メーカーも取材多数。
富田勲、佐藤博、深町純、井上鑑、渡辺貞夫、マル・ウォルドロン、ゲイリー・バートン、小曽根真、本田俊之、渡辺香津美、村田陽一、上原ひろみ、デビッド・リンドレー、中村善郎、オルケスタ・デ・ラ・ルスなど(敬称略)、多くのミュージシャンを取材。
<好きな音楽>ジャズ、ボサノバ、フュージョン、プログレシブロック、Jポップ
<好きなミュージシャン>マイルス・デイビス、ビル・エバンス、ウェザーリポート、トム・ジョビン、ELP、ピンク・フロイド、イエス、キング・クリムゾン、佐藤博、村田陽一、中村善郎、松下誠、南佳孝等

 
 
 

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