
エフェクターを使わないギタリストやベーシストは少数派でしょう。
いくらアンプの音が好きだといってもギタリストにとって空間系は必需品ですし、ベーシストもコンプレッサーや歪み系を持っている人はたくさんいます。
それがボーカリストとなるとエフェクターを持っている人は激減します。
困っていないし必要性を感じていないというのが一般的な意見かと思いますが、ボーカルエフェクターを一度使ってみても同じように感じるでしょうか?
プロのステージでは必ずと言っていいほど、ボーカルにはエフェクターがかけられています。
これはなにも最近の音楽に限った話ではありません。
LED ZEPPELINの代表曲であるWHOLE LOTTA LOVEはライブでもロバートプラントの歌声に激しくエフェクト処理がされていますが、この曲はすでに50年前の曲です。
ボーカル用エフェクターが手軽な値段で手に入るようになった現代においても、アマチュア音楽界ではエフェクターはライブハウスにリバーブをかけてもらう程度です。
検討したうえでエフェクターは持たないというならいいのですが、ボーカル用エフェクターの利用をまずは選択肢のひとつに入れてみてはいかがでしょうか。
■ ボーカル用エフェクターを使うメリット
SEKAI NO OWARIやPerfumeが火付け役となったケロケロボイスやメタル系等で使うディストーションなど、飛び道具的な使い方ばかりがエフェクターではありません。
センスのいい使い方をすればバンドサウンドをワンランク上に導いてくれます。
○ ハーモニー生成
バンド内にハモりのうまいメンバーがいればいいのですが、そう都合よくメンバーがそろっているバンドばかりではありません。
そんな時はエフェクターを使えば一発解決です。
ここぞというタイミングでエフェクターをオンにすれば、ハモりでボーカルを厚くすることができます。
ほとんどのエフェクターは多重ハーモニーに対応していて、メインボーカルに対して上も下も同時にハモりを入れてくれます。
機種によってはギターなどを接続すれば、キーを解析してくれるものもあるので設定の手間も省くことができます。
○ リバーブの深さ調整
ほとんどのボーカリストは、ライブハウス側のPAでかけられるリバーブに頼ります。
リハーサルで『3曲目のギターソロ後のサビで深めにリバーブください』などと要望を出しても断られてしまうかもしれません。
仮に了承されたとしても曲をよく知らないPAさんはかけどころを間違えてしまう可能性が高いでしょう。
最初からエフェクターはボーカリスト側で全て調整することにしておけば深くかけたいポイントだけ自分で調整することができます。
面倒と考えるボーカリストもいるかもしれませんがギタリストやキーボーディストはみんな自分でやっていることです。
○ ピッチ補正で歌ウマに!
ズルと言えばズルですが、リアルタイムでピッチ補正ができるエフェクターもあります。
自然に聴こえるように歌うには少しコツがいりますが慣れてくると音程の安定したボーカリストかのように聴かせることができます。
これが強くかかった状態がいわゆるケロケロボイスです。
○ 弾き語りで音圧を稼ぐならルーパーを
アコギ1本で弾き語りをしている人も多いですが、弾き語りはコード弾きと歌が基本です。
ワンパターンになりがちなのでよほどうまくやらないと観客側は飽きてしまい、1ステージぶんをフルで見てくれないということもよくある話です。
観客を惹きつけられるよう演奏力や歌唱力をあげることも大切ですが、ルーパーをうまく利用するという方法もあります。
ルーパーを使えばボイパやベースをマイクから入れ、自分1人で何役もこなすことが可能です。
音圧を稼げるだけでなく視覚的にも注目を浴びるでしょう。
■ ボーカル用エフェクターの注意点
なにかと便利なボーカル用エフェクターですが、音ヤセやハウリングが酷いというのを耳にしたことがある人もいるのではないでしょうか?
これには大きく分けて2つの理由があります。
まず1つ目は過去の商品レビューや評判を未だに引きずっている場合です。
手軽な値段でボーカル用エフェクターを購入できるようになったのが2000年頃でしたが、確かに当時の製品は音ヤセとハウリングが酷く使用をためらうレベルのものでした。
しかし、現在販売されている商品のほとんどは違和感なくライブで使えるものです。
2つ目の理由はプリアンプです。
ボーカル用エフェクターに内蔵されたプリアンプとPA側のプリアンプの2つを通過することにより、ハウリングが起こってしまうということです。
たいていの場合はボーカルにエフェクターをかけると事前に伝えれば対処してくれますが、それでもハウリングが酷い場合はプリアンプが内蔵してあるものを使っていると伝えましょう。
■ おすすめのボーカル用エフェクター
ギター用エフェクターと同じようにコンパクト型やフロア型マルチがありますが、ここではフロア型マルチを紹介します。
ボーカル用エフェクターはかけっぱなしという使い方よりもスポット的な効果を狙って使うことが多いので、多数のエフェクトが入ったマルチが実用的ですね。
ZOOM ( ズーム ) / V6 ボーカルエフェクター

コスパに優れたエフェクターで有名なZOOMから発売されたのがこのV6です。 価格だけ見ると他メーカーと比べてコスパが高いようには感じませんが、なんとこのエフェクターにはステージ上で使うことを想定したコンデンサーマイク(SVG-6)が付属しています。 V6本体にはファンタム電源が供給できる機能が備わっているので別で電源を用意する必要もありません。
またフロア型マルチとして一通りのエフェクトが内蔵されているのに加え、フォルマントペダルも搭載されています。 エフェクトのかかり具合を連続的に変化させることができるので演出の幅が広がります。
BOSS ( ボス ) / VE-500 ボーカルエフェクター
VE-500はBOSSのボーカル用フロア型マルチ最高峰で、なおかつギターボーカルが使うことを想定して作られた製品です。
ギターを入力すればキーの自動検出をしてハーモニーを生成したり、ボコーダーとして使ったりすることも可能です。
ギターを弾かないボーカリストであってもBOSSの最新DSPエンジンによるハイクオリティなエフェクトは魅力的でしょう。
■ まとめ
まだまだ利用者が少ないボーカル用エフェクターを使えば他のボーカリストと差別化することができます。
歌唱力の向上も大切ですが、様々なエフェクトを使いこなすこともボーカリストとしてのステップアップに繋がります。
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