「初心者はジャズマスターを選ばないほうがいい?」
見た目であれ音であれ、気になったのであればジャズマスターにしましょう。

お気に入りのギターを使うことはモチベーションを保つ上で最も効果的な手段です。
BiSHのアユニ・DとNUMBER GIRLの田渕ひさ子という異色の組み合わせによって生まれたバンド、PEDRO。
世代を超えた”かっこよさ”の特徴の1つがジャズマスターによるサウンドです。
PEDROにはジャズマスターの美味しい部分がふんだんに使われています。
スリーピースで映えるレンジの広さ
PEDROはギター/ベース/ドラムからなるスリーピースバンドです。
音源ではギターを重ねたりしていますがライブではギター1本のみ。
ギターを2本使うツインギターのバンドと比べると、音が薄くなってしまうという懸念点があります。そんな中で存在感を示すのがジャズマスターのレンジの広さです。
ジャズマスターのピックアップは低域・中域・高域のバランスが均一的で、ストラトキャスターとレスポールの中間のような、太くジャキッとしたサウンドが特徴です。
ミュートして弾くとズクズクと迫力のある低域を出しコード弾きになるとひとたび突き抜けるような高域。ギター1本で広い帯域をカバーできます。
そんなジャズマスターの太くて抜けの良いサウンドは、フレージングにもバリエーションを持たせてくれます。
この曲はジャズマスターの音の特徴を活かし、1曲を通してリードパートとバッキングを織り交ぜたようなギターパートになっています。
例えばギターソロ(2:18〜)。
前半が単音中心であるのに対して後半で一度開放弦を使いつつコード感を取り戻してから再び単音弾きに戻っています。もしこれが最初から最後までずっと単音弾きであれば、少し冗長な感じになってしまうことでしょう。太くて倍音のある開放弦が消えかけたコード感を取り戻して安心させてくれます。こうしたフレージングを使いやすいサウンドであるということもジャズマスターの魅力の1つです。
ピッキングと直結するサウンド
ジャズマスターはピッキングの技術が音に直結するギターです。
ごまかしの効かない素直な音が出るので、使い手の特徴が顕著に出ます。
これは初心者の人にとってはあまり嬉しくないことかもしれません。が、ジャズマスターで練習し続けるとニュアンスで音を出す技術が身につきます。エフェクターではなくニュアンスで音を変えられるようになれば、サウンドの引き出しが増え、より個性的なギタリストになれます。
この手の技術は、ある程度上手くなってからだとなかなか矯正できなかったりするので最初からジャズマスで修行をするのは上達への近道です。
浪漫はニュアンスに満ちたギターサウンドです。
暖かみのあるコード弾きやブラッシングなど、ギターという楽器がいかに感情的な生き物であるかということを教えてくれます。
なぜ初心者から敬遠されるのか
初心者の方が最初の1本にするのをためらう理由は、このギターの短所がインターネットの海にたくさん浮かんでいるからでしょう。
よく挙げられるのはこの3点です。
■ 弦落ち
■ チューニング
■ ノイズ
これらは部品の交換で改善することができます。
■ 弦落ち
MONTREUX ( モントルー ) / Buzz Stop Bar [8057]
ブリッジが特殊な構造のため、ハイポジションを弾いているときやチョーキングで弦の位置がズレてしまうことがあります。僕はハイポジションを弾いて落ちることはあまり無いですが、チョーキングではたまに落ちていました。ちなみに今は一切落ちません。なぜならチョーキングをしないからです。最近はグリスで音の上げ下げをするのが流行りなんですよね。
チョーキングで弦落ちしてしまうという方はバズストップバーを付ければ防げます。
■ アーミングによるチューニングのズレ
GOTOH ( ゴトー ) / SD91-MG-05M-L6-Nickel
これもブリッジが特殊なために起こる短所です。
解決法としては、ビブラートをする際にアームを使わず指でかける。どうしてもアーミングをしたいというときはペグをロック式のものに替えればOKです。*交換の際はサイズに注意
■ ノイズ
SEYMOUR DUNCAN ( セイモアダンカン ) / SH-4 JB Black ピックアップ
シングルコイルの構造で出力が強いため、歪みやコンプレッサーを強くかけるとノイズが出がちです。音作りを工夫することである程度ノイズを軽減することもできますが、ピックアップをハムバッカーに変えてしまうというのもあり。ただしジャズマスターっぽい音は出なくなります。
このように、大抵はカスタマイズでなんとかなります。
ちなみに僕は短所も含めてジャズマスターという楽器が好きなので一切カスタマイズしていません。
短所は長所。pistol in my handではノイズが出やすいという特徴を活かし、フィードバックノイズをキンキン鳴らしています。
弦が落ちると。チューニングがズレると。ノイズが出やすいと。その通りですと。だからなんだと。
気になったのであればジャズマスターにしましょう。
ジャズマスターには短所すら可愛いと思えるくらいの個性と魅力があります。
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