CMで流れるクラシック曲を徹底解説！

2024-02-07

最近は、YouTube・インスタ・Tik TokなどのSNSが主流になり、テレビを見る機会が減ったという方も多いと思います。でも、番組を見ているわけではないけど、テレビが点いていれば音だけは自然と耳入りませんか？金曜ロードショーやドラマをリアルタイムで見るとき、私はどうしても飛ばしたくなってしまう「コマーシャル」。見ていないようで意外とCMで流れる音楽は覚えているな、と最近ふと気づきました。ポップスだけではなく、じつは有名なクラシック曲がたくさん使われているんです！
今回は、過去にCMで使われた、魅力たっぷりのクラシック曲を徹底解説いたします☆

まず1曲目は、
アリナミンナイトリカバー「新しい朝」篇で使用されている

グリーグ作曲「ペールギュント」
第一組曲から『朝』

「ペールギュント」は、主人公ペールが世界を冒険する、波乱万丈な生涯が描かれた作品です。CMでは、軽快なテンポで歌われていますが、原曲はゆったりした穏やかな曲です！また印象が変わると思いますので、一度お聴きください。

「朝」という曲名から、静かな森の中、日の光が差し込んでくるような情景を想像する方が多いと思います。私も最初はそんな情景をイメージしていました。
ですが！この曲の舞台はアフリカ砂漠。全くそんな雰囲気を感じられなかったので、初めて聴いたときはとても驚きました。長い旅をした後、お金持ちになったペール。ある朝起きると、手に入れた宝物はすべて奪われて砂漠に残された、とても悲しい朝だったのです。
力強く、心の底から湧き上がってくるようなメロディーからは、ペールがまた新たな冒険に立ち向かっていくような姿が描かれているような気がします。皆さんはどう感じましたか？
グリーグが長きに渡って作曲した、スケールの非常に大きな作品ですので、ぜひ他の曲も聴いてみてください♪

2曲目は、太田胃散で使用されている

ショパン作曲
「24の前奏曲より第7番イ長調」

この曲を聴くと太田胃散が思い浮かぶという人も多いのではないでしょうか？

作品名についている”24”という数字について詳しくお伝えします！
ショパンは、バロック時代を代表する作曲家バッハを尊敬していました。バッハが作曲した「平均律クラヴィーア曲集」は全部で24曲作曲されており、24全ての調を用いて作曲された作品です。この作品から影響を受け、ショパンも「24の前奏曲」を作曲しました。

	ショパン：24のプレリュード	バッハ：平均律クラヴィーア曲集
第1番	ハ長調	ハ長調
第2番	イ短調	ハ短調
第3番	ト長調	嬰ハ長調
第4番	ホ短調	嬰ハ短調
第5番	ニ長調	ニ長調
第6番	ロ短調	ニ短調
第7番	イ長調	変ホ長調
第8番	嬰ヘ短調	嬰ニ短調
第9番	ホ長調	ホ長調
第10番	嬰ハ短調	ホ短調
第11番	ロ長調	ヘ長調
第12番	嬰ト短調	ヘ短調
第13番	嬰ヘ長調	嬰ヘ長調
第14番	変ホ短調	嬰ヘ短調
第15番	変ニ長調	ト長調
第16番	変ロ短調	ト短調
第17番	変イ長調	変イ長調
第18番	ヘ短調	嬰ト短調
第19番	変ホ長調	イ長調
第20番	ハ短調	イ短調
第21番	変ロ長調	変ロ長調
第22番	ト短調	変ロ短調
第23番	ヘ長調	ロ長調
第24番	ニ短調	ロ短調

ショパンは、バラードやソナタなどの壮大な曲を残していますが、「24の前奏曲」は、各曲数分程度の短くて比較的シンプルな作品です。シンプルとは言え、さまざまな形式、誰にも真似できない、聴いている人を引き込む美しいメロディー、そして24曲に込められた人間らしい喜怒哀楽など、とても奥深い素晴らしい作品の一つと言えると思います。7番だけでなく、15番「雨だれ」も有名ですので、ぜひ聴いてみてください。

3曲目は、SMBC（三井住友銀行）で使用されている

ビゼー作曲
「カルメン」より『ハバネラ』

この曲も大変有名で、一度はどこかで聴いたことがありますよね？ジョルジュ・ビゼーが作曲したオペラ作品。たばこ工場で働くジプシー・カルメンと、カルメンに恋をするエスカミーリョ、ホセ、そしてホセの婚約者ミカエラの間に起こる、恋物語が描かれています。「ハバネラ」は、第1幕で、カルメン（メゾソプラノ）によって歌われています。
「ハバネラ」とは、キューバを起源とするハバネラ・リズムのことで、↓↓このようなリズムです。

冒頭の前奏を聴いてみると、まさにこのリズムがはっきりと表れているので、原曲を聞いてみてください！

ハバネラ・リズムに始まり、歌いだしの半音階がとても特徴的ですよね。この半音階は、まるでカルメンが男たちの気を惑わすような、そんな雰囲気が漂っているように感じます。一度聴いたら、忘れることのない、独特なメロディーはとても魅力的な作品です。

テレビで見たことがあるCMはありましたでしょうか？実際にCMで使われるのは、曲の一部分だけですのでこの機会にぜひ最後まで聴いてみてください♪

営業部 / 遠藤

ピアノと一緒に歩んできた人生も気づけばもうすぐ20年。ずっとクラシックを専門に演奏してきましたが、最近はジャズなど他のジャンルにも苦戦しながら日々挑戦中です。耳コピや編曲もできるようになりたい！TWICE・ミセスの曲を聴くのが大好き。学生時代は3か月に1回くらいのペースでLIVEにもたくさん行っていました。