みなさん、作った曲の音質アップを簡単にできるマスタリング用プラグインiZotope / Ozone 9 Elementsをご存じでしょうか?機械学習の機能により、音源をDAWソフト上で読み込ませることで曲調に合ったEQやマキシマイズ処理を行い、リリース形態に適したサウンド作りを自動でやってくれるという画期的なプラグインなのです!
Youtubeをはじめとしてネット上のサービスへ音源アップ、視聴することが一般的になった現在、アップロード先に応じて手軽に音質を最適化できるのはとても便利ですよね。 今回はそんなOzone 9 Elementsの機能や使い方を簡単にご紹介してみたいと思います!
iZotope ( アイゾトープ ) / Ozone 9 Elements
基本的なOzone 9 Elementsの使い方は非常に簡単。
~使用の流れ~
①プラグインをDAWソフトのマスタートラックに立ち上げる
②「Master Assistant」ボタンをクリック、音源をリリースする形態(Streaming / CD)やIntensityを選択
③楽曲の中で一番音量の大きくなる部分を再生しながら「NEXT」を押す
という3ステップのみ!たったこれだけの操作で、iZotopeが過去に蓄積した膨大なデータを元に、どんなジャンルの楽曲であるか分析、それに合った音質や広がり感の補正、ラウドネスを踏まえてリリース形態に適した音量調整を自動でやってくれるのです!
従来ならば、時間をかけてメーターを見ながら経験や知識の必要とされる作業が、クリックだけでわずか数秒で完了します。
もちろん、自動で設定された各パラメーターは手動調整も行えます。
それでは簡単に代表的なパラメーターを見ていきましょう。
■Master Assistant画面

①INTENSITY:ターゲットとなるラウドネスのレベル
※パラメーター内訳(メーカー情報抜粋)
Low: -14 LUFS
Medium: -12 LUFS
High: -11 LUFS
②DESTINATION:音源のリリース方式に応じたヘッドルームの値
INTENSITY(ラウドネス)について、iZotope公式に解説動画が用意されていますので気になる方はぜひご覧になってみてください。
ざっくり言うと「人間の聴覚特性を考慮した音量の指標」で、放送や配信ではこれを使って音の大きさを図っています。実は多くの配信サービスが、アップされたコンテンツの音源を測定して自動でノーマライズを行う「LOUDNESS NORMALIZATION」という機能を使っています。例えば、配信サービスが基準としているラウドネスの値に対して、アップするコンテンツのラウドネスが異なると、配信サービス側で自動処理がなされ、元音源と音の聴こえ方に変化が生じます。そこで、なるべく配信サービスの基準に元から近い状態でアップすることが一つのポイントになります。
各配信サービスの仕様は随時変更されているようですが、現在はおおよそ「-14 LUFS」辺りが基準になる事が多いようです。コンテンツ配信用に作業するケースが多いと思うので、ターゲットはStreaming、IntensityはLowに設定してとりあえず試してみるのがいいかもしれません。
■EQセクション

①Analogタイプ、Digitalタイプ選択
周波数がグラフィカルに表示され視認性に優れたEQセクション。最大8バンドで利用できます。シンプルなブースト/カットに適したAnalog、細かな調整に向いたDigitalとが選択できます。
■Imagerセクション

①ステレオイメージの広さ設定
②Mode切り替え
Mode I:Ozone5から搭載されているクラシックタイプのモード。
Mode:II:新開発されたモード。原音と若干音質を変えることにより、トランジェントをより維持したままステレオイメージを広げます。
■Maximizerセクション

①IRCモード
IRC I:入力信号を解析し、最適なラウドネス・マキシマイズを行います。過大な入力に反応してレベルを抑えます。(CPU負荷 通常)
IRC II:「IRC I」とほぼ同等ですが、トランジェントの維持に最適化され、強くリミッティングがされる場合でもシャープでクリアなサウンドを保ちます。(CPU負荷 高)
②Threshold
リミッティング処理の開始されるレベル設定
③Ceiling
マキシマイザー出力のレベル設定
④Character
マキシマイズ処理のアタック/リリースタイム調整
⑤Transient
トランジェントへの反応度合の調整
Ozone 9 Elementsの使用方法や、パラメーターを大まかにご紹介させていただきました。
ご覧のように、手頃に2ミックスの音質を向上できる大変便利なプラグインです!
実は上位グレードとしてOzone 9 Standard、Ozone 9 Advancedの2モデルが存在し、そちらではサンプルとなる楽曲を読み込ませて、それをお手本としてEQやラウドネス処理をおこなう「Reference target」などを含め、更に便利な機能も追加されています。
みなさんもぜひiZotopeプラグインを使って快適なDTMライフをお楽しみください!