
大正琴はギターのようにピックで弦を弾いて音を出す楽器です。ピックには形状、厚みなど沢山の種類があり、どれを選んだらいいか、特に初心者は迷ってしまうのではないでしょうか。今回は、大正琴に使えるピックの種類と選び方をご紹介します。
■ ピックの形
○ トライアングル型
JIM DUNLOP / TORTEX TRIANGLE 0.73mm
おにぎり型とも呼ばれる三角形のピック。繊細なメロディ弾きからアルペジオ、返し弾き、トレモロ奏法など、どんなスタイルにも対応する万能型です。ある程度の面積があるため持った時に安定感があり、ピックを使ったことのない初心者でも楽に音を出すことができます。「大正琴用ピック」として販売されているものはトライアングル型が多く、周りの大正琴奏者もほぼこの形のピックを使っています。やはり「弾きやすい」というのが多くの奏者に使われている理由だと思います。厚さはミディアムかハードであれば、オールマイティに使うことができます。
○ 正三角形型
PICKBOY / BP-12H
三辺とも直線になっている正三角形のピック。トライアングル型より角度が鋭いため、音の輪郭がハッキリしている印象です。攻撃的な見た目とは対照的にとても持ちやすいため、手が小さめの方でも、少ない力で太く大きな音を出すことができます。個人的に、正三角形のピックはエレキベース用のピック、という先入観があったのですが、意外な持ちやすさとストレートなサウンドにより、すっかり気に入ってしまいました。テナー、バスパートの演奏にもおすすめで、厚さは1.0mmくらいが最適だと思います。サイズが大きいせいか、少しだけ弦に引っ掛かる感じがするため、トレモロ奏法や速く弾くフレーズは難しいかもしれません。
○ ティアドロップ型
JIM DUNLOP / DELRIN 500 Standard/0.71
ロック系ギタリストに人気の涙型ピック。先端が尖っているため、単音弾きやアルペジオに適しています。弦との接地面を減らすことでコンパクトに速く動かすことができ、トレモロ奏法もやりやすいです。ピック面積がコンパクトな分、弦に対して正確なピッキングが求められるため、中級者以上の方におすすめです。
○ ホームベース型
FERNANDES / P-100SPH Black/1.00
ディープパープルのリッチー・ブラックモアが愛用していることでも有名な五角形のピック。先日、初めてこのピックで大正琴を弾いたのですが、コンパクトで先端の角度が丁度良いせいか、トレモロ奏法がとてもやりやすい、と感じました。もちろん、弾き方や相性によって感じ方は様々だと思いますが、今回試したピックの中で、一番驚かされました。トレモロ奏法を多用する方は、一度試してみることをおすすめします。
○ サムピック
YAMAHA / THUMB PICK
親指に装着するタイプのサムピックです。ピックを深めに持つことができないため、正直自分には弾きこなせませんでしたが、きっと上級者の方なら弾きこなせることでしょう。ギターでは主にカントリー系の超テクニシャンに好まれる傾向にあり、一度慣れてしまえば手放せなくなってしまうとも言われているようです。親指以外の指を使ったトリッキーなプレイもアイデア次第でできるかもしれません。大正琴の可能性を追求したい、という個性派プレイヤーにおすすめです。
○ 大正琴専用ピック
SUZUKI / TSP-5
初心者におすすめのピックセット。やはり大正琴には「べっ甲柄」が合いますね。
■ 素材
セルロイド、ナイロン、べっ甲など様々な素材がありますが、個人的には爪やべっ甲に感触が近いと言われる「ウルテム」や、サラっとした感触の「トーテックス」が好きです。滑り止めが付いているものもありますが、ギタリストのようにステージを動き回って汗だくになることはないと思いますので、あまり気にしなくて良いように思います。ピックを持った時の感触によって弾き方も変わるため、できれば何種類か試してみることをおすすめします。
■ 厚さ
ピックの厚さは、弾き方や音色に大きく影響するため、とても重要です。大正琴の演奏ではミディアム(約0.7mm)が標準的で、アルトやバスなど低音パートを弾くことが多い場合はハード(約1.0mm)を選ぶと良いでしょう。ミディアムより薄いTHIN(約0.5mm)は、早いフレーズやトレモロ奏法には不向きですが、弦の振動が指にダイレクトに伝わるため、音色に繊細なピッキングニュアンスをつけることができます。
大正琴初心者なら、とりあえずミディアムのトライアングル型を選んでおけば問題ないと思います。ピックによって音の響きが変わるため、大正琴の種類、奏法、曲の雰囲気に合わせて選ぶことも重要だと思います。今回紹介したもの以外にもたくさんの種類があるので、いろいろ試して自分に合うピックを探してみてください。高価なものではないので使い分けるのも楽しいと思います。