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ジャズドラムが難しいって本当?その真相に迫りました!

2019-02-26

テーマ:音楽ライターのコラム「sound&person」

ジャズドラムは難しい!なんて聞いたことありませんか?実際、ジャズドラムそのものはそれほど難しくはありません。いざ叩くとなるとやけに構えてしまう、その気持ちも理解できます。
ではなぜジャズドラムは難しいと言われるのか?実はジャズドラムには他の音楽とは大きく違う特徴が3つあるのです。

使う楽器

ドラムセットは、左からシンバル系統がハイハット、クラッシュ、ライド、太鼓系統がスネア、ハイタム、ロータム、フロアタムと並び、足元にバスドラムという構成が一般的です。
人によってはシンバルやタムの数を増やしたり、バスドラムを2つセットするツーバスにしたり、ロータムを取っ払ってコンパクトにする場合もあります。
ロックやポップス、歌謡曲やファンクでは主にハイハット、スネア、バスドラムでリズムを刻み、キメやアクセントにクラッシュやライドを入れてブレイクします。

一方、ジャズドラムになるとこれが全く変わってきます。
ジャズドラムの基本はライドシンバルとハイハット。ハイハットで2拍と4拍(要するに裏ですね)をキープしながらライドでチンチキチンチキ~とレガートを刻んでいきます。極端な話、これだけでも十分ジャズとして成り立ちますがそれでは寂し過ぎるので、時々スネアで裏打ちしたり、合間にバスドラで裏打ちして味付けをしたりします。
まとめると、ロックやポップスでは太鼓系統の音が優位になるのに対し、ジャズドラムではシンバル系統がメインです。つまり、ドラムの音作りが大きく違っているというわけですね。

ジャズドラム基本構造

ドラムの基本構造です。ジャズドラムではより素早い動きを実現させるため、ロータムを取り外すことが多いです。

リズムの取り方

ドラムを叩く時、リズムを安定させるためにハイハットペダルの上に置かれた左足で拍を刻みます。
この時にもやはり、非ジャズドラムとジャズドラムでは大きな違いがあります。
ジャズ以外の音楽では、拍の頭、または八分でキープします。アップテンポなロックンロールであれば四分音符を、ミドルやスローになると八分でリズムを取ると安定します。

一方ジャズドラムの場合、曲の拍にはこだわらず2拍と4拍での裏刻みです。しかも、しっかりハイハットを踏んで音を出します。この動きはジャズドラムの基本中の基本、これが出来ないと成り立たないほどです。他の楽器の人が最も頼りにするのがハイハットの音だと言うくらいなのですから。
ロックやファンクから転向した時に、この部分で手間取るドラマーは少なくありません。頭拍を鳴らすことなくいきなり裏拍から始まるなんて、ロックやポップスならほとんどなかったパターンです。
なおこの原則は8分刻みにも当てはまります。ジャズドラムに頻出のボサノバやラテンビートも、2、4、6、8番目の音しか鳴らしてはいけません。一見同じ8または16ビートですが、1拍目頭音のハイハットを鳴らした途端に、ラテンのリズム感が台無しになってしまいます。

ハイハットとハイハットペダル

ジャズドラムはハイハットが要、しっかり踏もう!

自由度

あらゆる音楽をドラムに集中して聴くと、ジャズやラテン以外の音楽は意外にも(?)リズムがかっちりと安定しているのが分かります。
とりわけファンクやソウルなどのブラック系ポップがルーツの音楽は、リズムにとても厳しいです。あの手の楽曲では、前にでる弦楽器陣、管楽器陣の下でドラムがきっちりとリズムを支えているものです。
しかしジャズリズムでは、自由度の高さという能力が多くを占めてきます。もちろん、ジャズでも他の音楽でもリズムキープは第一です。プラスアルファとして、ジャズにはアドリブ力が求められます。
極端な話、ジャズドラムそのものは、ライドシンバルのレガートとハイハットの裏拍で成立します。しかしそれだけでは演奏する方も聴く方も、何だかつまらないものになります。

楽曲ごとの楽譜を見ると分かりますが、いわゆるヒット曲のスコア譜はとても丁寧で、ドラムのフィルインに至るまで、きっちり示されています。これがジャズの譜面になると実にいい加減なものです。
ジャズの譜面は多くの場合、A4サイズ1枚~2枚で済み、最低限のコード進行やリピート、ルバート(楽曲のテンポを自由に加減して演奏すること)などが記されているだけです。その不親切な譜面の中で、楽器間でソロを回しあってコミュニケーションを取りながら見せ場を作ります。たった1枚の譜面ながら、演奏時間が8分を過ぎるなんてのもザラです。
その間何をしているのか?そう、譜面に書かれてない部分で自由に演奏するのです。
ジャズプレイヤーはどんな楽器を演奏する場合でも、アドリブは必須項目です。
ここまでを要約すると、非ジャズ音楽では決められた中で演奏やソロをキメる、ジャズではある程度の枠がありながらもいかに自由に泳ぐかが大切ということになります。(もちろんジャズ以外でもアドリブ要素を含む楽曲は沢山あります。)

ジャズドラムが他の音楽と一線を画す理由は、使う楽器の種類、リズムの刻み方、そして自由度の高さがあります。
こう書くとすごく難しく思えますが、実際にはそんなことはありません。とにかく、ジャズっぽいリズムが叩けたらまずはOK。それだけで物足りなく感じてきたら、ぜひともたくさんのおかずやブレイクを入れてみましょう!

ちぐさ

8歳で父のレコードでジャズと出会い、11歳でコルトレーンに衝撃を受けジャズフリークに。16歳で吹奏楽でパーカッションを始めドラムに目覚める。その後一般的な人生を送るが、41歳の時に一念発起しジャズドラマーを目指す。以後リーダーライブを年間4本ほどのペースで継続。現在はプロの元週一でレッスンに通う修行中の身。

 
 
 
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