購入動機
私は、日頃ギターの練習をCD音源等に合わせてする時に、VOXのamPlug2ヘッドホンアンプを長年使用してきた。しかし1年半あまりで毎回プラグが壊れてしまい、それがストレスであった。そこでamPlug2を二つ買う値段でBlackstarのFLY3を購入できる事を知り、購入に至った次第である。
小型の電池駆動アンプはたくさんの種類があるが、なぜBlackstarを購入したかと言うと
- ① 価格が断然安い
- ②「音が良い!」というギタリスト仲間のアドバイスがあった
- ③ Blackstarの特許といえるISF機能(Infinty Shape Feature)が気になった
- ④ 一番重要視したのはamPlag2同様憧れのアーティストと共演できるという事が可能
といった点をふまえ購入した次第だ。
外観
幅約15cmほど。ほぼ郵便葉書と同サイズだ。奥行きは10cm足らず。高さも10cmちょっとの小さいアンプである。場所を取らないが手で持つとき少し厚みがあるな……と感じる。正面から見た感じでは値段相応のシンプルなデザインである。しかし、上面コントロールのデザインは1万円を下回るアンプの仕様ではない高級感がある。スタイリッシュであり、つまみが大型真空管アンプと比べても遜色がないデザインだ。リアルで細かい調節もできる。
裏面バッテリーケースも簡単にできて至ってシンプルである。底には二つラバー足が付いており、小型ながら安定している。

本体をモニターヘッドフォンと比べても場所を取らない小型アンプとわかる。

葉書より少し幅があるサイズ。

奥行きはカセットテープと比較してみると若干厚みがある。音質を良くするための設計か?
音に関して
アンプ直で音を出したら透明感のあるサウンドである。クセがなく中域から高域にかけて綺麗な音が出るアンプだと感じる。ピグノーズアンプのような中域にフォーカスしたアンプとは違い、透き通った音といえよう。
では各コントロールツマミを説明しよう。
【GAIN】はあまり歪まない。オーバードライブボタンを押してもザクザクしないナチュラルな歪みである。貴方のお気に入りの歪みエフェクターをつなぐ事により、多彩なサウンドバリエーションが得られると思う。
【VOLUME】はピグノーズアンプのように急激に上がる事がなく使い勝手が良い。
そして期待していた【ISF】。ひとことで言えばアメリカンは高域が強調され、ブリティッシュは低域が強調されるつまみだ。ベース、ミドル、トレブルの三つのつまみを一つにまとめたような感じである。演奏中に即、イコライザーを変化させたい時など一つのつまみで適切なトーン補正が瞬時にできる所が良い。
【DELAY】は、この値段では信じられないほど良い音だ。レベルを上手く調節すれば程よいリバーブ感もあり、かかり具合はこのクラスのアンプの中では1、2を争うほど優れた音色だと思う。ボリュームを若干上げて、つまみを回してみると『ウィーン』と音がして面白い。DELAYレベルは小さなツマミであるが簡単に操作ができて快適な設定ができる。
一番右端にはパソコン、MP3等の音源を入力するLINE端子とヘッドホン、スピーカーなどを接続する出力端子がある。
一つ気になったのがSONYのモニターヘッドホン(外観写真参照)をつなぐと、やや端子が緩かったこと。すこし引っ張った時に簡単にヘッドフォン端子が抜けてしまい、爆音が出るトラブルが幾度かあった。
その事を楽器店の人に伺うと端子の大きさが各社若干個体差があるということで、楽器店のヘッドホンで試してみたらしっかりと固定された。その点は注意した方が良いだろう。

コントロールパネル。電池式アンプのcheapさを感じさせない秀逸なデザイン。つまみの回し具合も細かく設定出来て、高級感を感じる。
バッテリーについて
電池で動くアンプの宿命として、どのくらいアンプの音が持続するかということが気になるが、このアンプは凄い。購入してから1ヶ月以上経つが、週に数回1時間以上使っても十分バッテリーは持った。しかも100円ショップで売っているアルカリ電池でも一ヶ月は持つのだ(あくまでも個人の使用からの結論だが)。これは驚異的なことで、今まで使って来た電池式アンプよりもストレスがない。

単3電池6本を入れるリアパネル。電池の持ちは非常に良い。
AC電源のアダプターも発売されているが若干高価だ。電池のみで使用しても、ミニライブや屋外に持ち出したりすることが多いプレイヤーはアダプター無しでも良いかと思う。
しかし主に自宅で長時間練習に使う人にはアダプターを購入する事を勧める。より安定した電源供給により、音質も安定するだろう。もちろん長い目で見たらコストパフォーマンスも良い。

ACバッテリープラグ。多少値段は高いが、電池より安定した音質が保てるはずだ。
まとめ
以上、Blackstar FLY3を試してきたが、評判通りの極上アンプだ。リズムマシンなどの機能はないが値段以上の性能と音がする。
中域の温かみは他のアンプよりも多少足りない面もあるが、OVERDRIVE等のエフェクターを使うことにより補えるだろう。私はBSMのRPA Majorをつないでミニライヴを行ったが、ストラトのフロントで弾くと、とても艶やかな甘い音がした。
- ◎ 自宅で大きな音が出せなくても良い音を得たい人
- ◎ 小さな場所でライブ等をしたい人
- ◎ 安くて良い練習用アンプを買いたい人
などにはうってつけのアンプと言える。
欠点らしい所はほとんど無いといってよい。プラスチックの材質なので厚手の布の袋などに入れておけば傷はつかないだろう。
限定カラーのバージョンもあるので、ブラックだけではなくファッショナブルな好みの色を選んでみるのも良いかと思う。また、別売りのキャビネットをつなげば迫力あるステレオサウンドが得られる。
ギター歴が長いプレイヤーの耳でも充分納得するアンプである。
皆さんもぜひ手にとって弾いて欲しい。