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ミックスボイスの正体とは?誰でも習得できるものなの?

2022-01-28

テーマ:音楽ライターのコラム「sound&person」

ボーカリストなら一度は聞いたことがあるであろうミックスボイス。
またはミドルボイスとも呼ばれていますが、おおよそ同じ意味で使われています。

これを習得することで高い声が楽々出せるようになると言われていて、多くのボイストレーナーがミックスボイス習得に向けたレッスンを行っています。

しかし、近年『ミックスボイスなんて都市伝説だ!』とか『ミックスボイスは俗語で定義なんてない』という説も浮上してきました。
そんなこんなでミックスボイスをこれから習得しようと思っている人はもちろん、すでにミックスボイスで歌っていると思っていた人たちまで混乱している様子です。

今回はミックスボイスとはなんなのか、習得できるものなのかどうかというお話をしていきたいと思います。

■ ミックスボイスは本当にある

医学の世界において、地声と裏声をなめらかに繋ぐことができる声をミックスボイスと定義づけています。
地声、裏声と並ぶ声区のひとつというわけですね。 ですから定義のない俗語でもありませんし都市伝説でもありません。

それなのになぜそんな噂が立つのかというと、確かに地声や裏声との境界線が曖昧という研究途中の部分もあるからです。

ミックスボイスなんていうものは存在しないのではないかと考えていた方はご安心ください。
ミックスボイスはあるし、トレーニング次第で誰でも習得できるものというのは間違いありません。

■ ミックスボイス習得が難しい理由

いざ、ミックスボイスを習得しようと教則本や解説サイトを見た時、その仕組みをまずは説明されますが非常に理解しにくいです。
輪状甲状筋とか鼻腔共鳴とか…
中でも混乱を招くのが『喉を開いて声帯を閉めろ』という指示です。
喉と声帯の違いが感覚的にわからず、試してみても合っているのか間違っているのかもわかりません。

目に見える楽器の演奏とは違い、上級者の歌を聞いたところで声帯の動きは見ることができませんし、図で説明されても普段から意識して動かしている場所ではないので使い方がわからないというのもあります。

そして、著者が考えるミックスボイス習得が難しい一番の理由が、こういった理論で説明するトレーナーや教則本が多すぎるということです。 こんなことは知らなくてもミックスボイスの習得はできます。

なぜなら、偶然にも才能に恵まれた人はミックスボイスを知らず知らずのうちに使いこなしているからです。
その人たちは鼻腔共鳴とか声帯閉鎖とか、わかってやっているわけではありません。
つまり、ミックスボイスを出すために必要なのは理論を学ぶことではなく、ミックスボイスを出すための体づくりです。

■ 習得に向けたトレーニング方法

声帯の使い方やメカニズムを学ぶのは悪いことではありません。
ですがいくらそれだけ学んでもミックスボイスが出せるようにはなりません。

スポーツで例えると自転車の乗り方ではなくバスケのフリースローです。
子供が最初、自転車に乗れないのは筋力が足りないからではなく、バランスのとり方がわからないからです。
一度その感覚を掴んでしまえば、乗れなくなるということはよほどのことがなければありません。
フリースローは狙いを定める感覚も重要ですが、精度の高いシュートをうつための筋力もある程度必要になってきます。

ミックスボイスは自転車のように感覚を掴めばできるものではなく、日々のトレーニングが重要です。

○ リップロール

唇を閉じた状態でぶるぶる震わせながら発声する方法です。
呼吸筋を鍛えたり、正しい息の量を使ったりとメリットがたくさんあるうえに、音量があまり出ないので自宅でも行いやすいトレーニングです。

ミックスボイスは地声と裏声の自然な切り替えができる声区ですが、これがうまくできない原因のひとつとして【息の量がうまく調整できていない】というのがあります。
高音になると突然息量が変わるので自然に聞こえなくなってしまうのです。

そこでリップロールを行うと常に閉じた唇を震わせる程度の息量で歌うため、自然と息の量が一定になります。

まずはリップロールで普段は地声で出せないくらいの高さの歌を歌ってみてください。
その時に裏声のような感覚で声が出せたらその感覚で合っています。
おそらくその時はどこから裏声のようになったのか境界線がわからなくなっているほど自然なはずです。

○ スケール練習

多くのトレーナーが広い音域でスケール練習を行っているようですが、自分の音域に無理のない範囲で行いましょう。
ピアノなどの鍵盤楽器があるとやりやすいですね。
辛い、喉が痛いと感じたらそれは間違った発声を行っている可能性が高いです。
続けていると喉を痛めたり変なクセがついたりしてしまうので、無理な高音域まで行う必要はありません。

男性ならG3くらいから、女性ならC4くらいが一番出しやすい音程と言われているのでそのあたりから始め、まずは2オクターブを目指して練習してみてください。
もちろん顔をひん曲げながら絞り出す2オクターブではなく、涼しい顔で出せるようにです。

○ 録音

ミックスボイスとは直接関係ありませんが、リップロールとスケール練習をやるなら録音しておきましょう。
スマホのボタンひとつでできることなので、やらないともったいないです。 自分の歌声というのは案外わかっていないもので、あとから録音したものを聞くと音程のズレや無理な発声に気付くことができます。

■ 最後に

スケール練習とリップロールを録音して聞く、という流れを毎日(週3程度でも)20分ほど繰り返せば確実に音域は伸びていき音程も安定してきます。

もちろんトレーニング方法はこれ以外にもたくさんあります。
様々なメニューを追加し、時間も20分から40分に伸ばせばミックスボイスで歌える範囲は高音域だけでなく低音域にも広がっていきます。

ですが、人間は今までになかったものを習慣化して取り入れるということが苦手なようです。
ダイエットや筋トレが続かない人が多いことからもあきらかですよね。
最初から1日40分のメニューを入れて挫折する可能性を高めるより、まずは20分でいいので続けることが大切です。
これまでやってこなかった人なら1カ月で違いを実感できるはずです。


コラム「sound&person」は、皆様からの投稿によって成り立っています。
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キョウ

TUBEのギタリスト、春畑道哉先生を敬愛するおっさんギタリストです。 息子たちも楽器を嗜むので子育て的な観点での記事も書いていきたいと思います。
YOUTUBE https://www.youtube.com/channel/UCnOf2xDJqVutdV59aA83t5wo

 
 
 
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