手が乾燥し、ドラムスティックが滑る。汗をかいてもドラムスティックが滑る。
ドラムスティックがすっぽ抜けるのは全ドラマー共通の問題です。
この記事ではドラムスティックが滑る場合の対策や、おすすめの滑り止め、すっぽ抜けたときの対応などについて解説しています。

まずは自分の手が滑る状態を把握しよう
〇 ドライハンド
歳をとると突如として現れる症状、それがドライハンド。
ドライハンドというのは簡単に言えば、手がカサカサしてドラムスティックが滑るというものです。
スーパーで買い物した時、ビニール袋が滑って開けられない、そんなときはすでにドライハンドに片足(片手?)を突っ込んでいる状態と言えるでしょう。
△ ドライハンドと相性の良いスティックは?
ドライハンドに最適なドラムスティックはラッカーフィニッシュです。
ラッカー(塗料)により摩擦が生じやすくなり、乾燥した手からスティックが滑りにくくなるというもの。
△ ドライハンドと相性の悪いスティック
ドライハンドと相性の悪いスティックは木の表面がサラサラになっているナチュラルフィニッシュのスティック。
〇 汗っかき(手汗が多い)
手汗は、年代問わずすべての層に関係してきます。汗は誰でもかくものですから…。
ドラマーは運動量が多いため、汗っかきでなくても、汗によるドラムスティックの滑りということには常に悩まされます。
また、手の汗は、運動によって流れ出る汗だけではなく、ライブ前の緊張により発生することも考えられます。 したがって、手の汗でドラムスティックが滑るという問題は、全ドラマーに共通する悩みと言えるのです。
△ 手汗と相性の良いスティック
汗をかいても滑りにくくなるスティックは、ナチュラルフィニッシュのドラムスティックです。
ラッカー仕上げ等を施していないため、木が汗を吸ってくれることによって、汗をかいても滑りにくいというもの。
しかし、大量の汗を吸わせてしまうのは木の劣化につながり、さらに滑り止めの効果も薄くなるから注意が必要です。
△ 手汗と相性の悪いスティック
逆に汗と相性が悪いスティックはラッカー仕上げのスティックです。
ニスのような表面になっているため、汗をかいても吸収されずに弾かれて表面に汗が多く残ってしまいます。
したがって汗をかくほどにスティックが滑りやすくなってしまうのです。
ドラムスティックの滑り止めはスティックの変更しかない?
ドラムスティックの変更、すなわち、手が滑る症状に合わせた材質のスティックを使用することで手の滑りはある程度解消できます。
個人的にグリップ力を実感できるスティックメーカーはVIC FIRTH (ヴィクファース)。
特にVICグリップ仕様になっているスティックはかなり手が滑る症状を緩和してくれます。
しかし、スティックが滑ってしまう症状を解決する方法はそれだけではありません。
それは以下で解説する、
- ドラムスティックワックス
- グリップテープ
- ドラマーズグローブ
これらの使用によってさらに手の滑りを少なくすることが可能です。 しかし、ただ単に選べばよいというものではありません。 自分の手が滑る原因に合わせたものを選んでいかなければなりません。
ドラムスティック・ワックスで滑り対策
〇 スティック・ワックスのメリット
ドラムスティック・ワックスのメリットは価格が安く、量が多いため何十回の練習やライブで使用することができます。 それに加え、塗るだけで簡単にスティックの滑り止め効果を得られるお手軽さが魅力的です。
たとえば「スタジオでスティックが折れてしまった…。」そんな時、スティック・ワックスさえ携帯しておけば、新品のスティックを急遽購入しても塗るだけでいつでもどこでも、いつもの滑らないスティックにすることができます。
緊急時にも、いつもと変わらないスティックにできるのはとてもありがたいですね。
〇 スティック・ワックスのデメリット
スティック・ワックスのデメリットは、完全に滑らないスティックにできるかというと、そうではないということ。
多少の汗っかき、多少のドライハンドであるならそれなりの滑り止め効果が得られます。 しかし、極度の汗っかきでは汗の量が上回ってしまい、滑り止め効果が無くなってしまうのです。
したがって、スティック・ワックスはスティックが滑る症状が「比較的軽めの人」にオススメできるアイテムと言えるでしょう。 ちなみに、スティック・ワックスはスティックのグリップ部分が汚くなってしまうデメリットもあります。
〇 おすすめのドラムスティック・ワックス「ゴリラ・スノット」
おすすめのスティック・ワックスはGORILLASNOT (ゴリラ・スノット)。
このワックスは乾燥する手や汗っかきの手、両方に対応しているため誰にでもおすすめできます。 また、ギターのピックの滑り止めとしても使用できるため、ドラマー兼ギタリストにもオススメ。
数十回使えて、この値段で購入できるのはコスパが高すぎです。 ゴリラ・スノットの滑り止めの感覚は、ネチョリとスティックが滑らなくなるのではなく、ナチュラルにグリップ力が上がるというところもポイント。
使用した感覚ではゴリラ・スノットで、決してダブル・ストロークがやりにくくなるわけではないから安心してください。
スティック滑り止めテープで滑り対策
〇 滑り止めテープのメリット
個人的にはスティックの滑り止めはテープで行う派。
その理由は強いグリップ力が得られることに加え、テープを巻いた部分が柔らかいから、フィットするためです。 滑り止め効果を得ながら、普段より握る力を柔くしてもテープの弾力により手にフィットし、スティックコントロールがしやすくなります。
しかもテープの弾力が手の皮にも優しいので痛くなりません。
また、汗っかきでもテープが汗を吸ってくれますし、乾燥肌でもテープのグリップ力によってホールドできるため、ほとんどの人におすすめできます。
スティック滑り止めテープは、スティックとの相性もないため、どのスティックにも使えるのはうれしいですね。 後述するドラムグローブの場合は、スティックとの相性もありますから…。
〇 滑り止めテープのデメリット
ただし、滑り止めテープにはデメリットもあります。
まず一つ目に挙げられるのが、めんどくさいということ。 テープが消耗したら、いちいち貼り替えないといけません。これが結構手間なのです。
また、テンポの速い曲だとどうしてもグリップ部分の消耗が激しくなりがちです。
〇 おすすめのスティック滑り止めテープ「TG-1」
やはり一番知名度の高いスティック滑り止めテープはPEARL ( パール ) / TG-1。
私もこのグリップテープを使っています。
私はアヘッドの金属スティックを使っているため、その「衝撃の緩和」と「滑り止め」のために使用中です。
ちなみに太鼓の達人ガチ勢もこのグリップテープを巻いていますね。 ナチュラルかつ最大級の滑り止め効果を発揮できるのが、スティック滑り止めテープおよび、PEARL ( パール ) / TG-1。
値段も1つあたりとても安い。 ただし、結構消耗が激しいため、巻く手間を惜しまない人におすすめできます。
ドラム用グローブで滑り対策
〇 ドラム用グローブのメリット
グローブの一番のメリットは手にはめるだけというお手軽なところ。 これさえはめてしまえば即座にスティックが滑る症状が解消できます。
また、手の全体を覆うため、手の全体の汗を抑えることが可能です。 手首から伝ってくる汗もガード。手の甲や、手のひらの汗をもガードすることによってライブ終盤までグリップ力をキープできます。
また、テープタイプよりはるかに耐久性があると思います。
〇 ドラム用グローブのデメリット
グローブのデメリットは結構あります。
- 汗臭くなる
- フィットするものに出会える確率
- スティックとの相性
私が思うドラム・グローブのデメリットは上記の3点です。
手の汗を全部吸ってしまうため、放置しておくととんでもなく臭くなってしまいます。 あまりの臭さに、演奏中にテンションが一気に下がってしまうことも…。
また、自分の手にフィットするグローブに出会えないこともあります。 ダルンダルンだったり、思った以上に関節が動かしにくかったり…。 結構な値段の割に選ぶのが難しいという問題が発生してしまうのです。
それに加え、意外とスティックとの相性があることを忘れてはいけません。 そのグローブにフィットするスティックがある一方、逆に滑るスティックもあるのです。
それは千差万別なのです。
グローブに関しては店頭で選ぶのがベター。 リピートする商品に関しては、一番安くドラムグッズが手に入るサウンドハウスの利用がおすすめです。
スティックがすっぽ抜けた!そんなときはスティックの予備を
いくらドラムスティックが滑ることに対しての対策を施しても、ふとしたきっかけでスティックがすっぽ抜けてしまうことがあります。 いつも以上にライブで汗をかいてしまってスティック・ワックスが取れてしまったり、テープの貼り替えを怠っていて手が滑ってしまったり…。 はたまた、シンバルに引っかかって、ドラムスティックがすっぽ抜けてしまうなんていうこともよくあります。
したがって、ドラムスティックは滑り止めの対策をするだけではなくて複数用意しておく必要があるのです。 基本はフロアタムにスティック・ケースを取り付けて、予備のスティックを用意しておく。これだけでOKです。
ドラムスティックに関しては様々なトラブルが起きる可能性があります。 ですから、ドラムスティックが滑るのを防ぐだけではなく、滑った後の対策も考えておかなければならないのです。
あらゆるトラブルを想定して練習やライブに望んで欲しいと思います。
スティックケースの定番はTAMAのスティックケース「STB10」。
これをフロアタムにセットして、ドラムスティックが滑った後も演奏が止まらないようにしておきましょう。