ギターの音色がインドの楽器、シタールやタンブーラの音に大変身してしまう、魔法のペダル、ELECTRO-HARMONIX / Ravish Sitar。そしてインド要素の入ったロック・ミュージック、ラーガ・ロックの名曲たちを紹介するこのブログシリーズも第6回目を迎えることとなりました。ここまで掲載を続けられたのも、ラーガ愛を持った熱い読者の皆様のおかげでございます。毎回この長いブログにお付き合いいただき誠にありがとうございます。
さて今回は華やかに、1960年代のガールズ・ポップ、フレンチ・ポップから、Ravish Sitarを使用して弾いてみたい5曲をご紹介します。ヒット曲からニッチなものまでありますが、どれも動画サイトやCDで聴ける曲ばかりです。そして今回はギター初心者の方でもトライしやすい曲が中心。このブログで皆様のラーガ心が深まったり、バンドやお家で楽しむレパートリーが増えるきっかけとなれば幸いです。
ELECTRO-HARMONIX (エレクトロハーモニックス) / Ravish Sitar
1960年代中盤、ザ・キンクス、ビートルズといったグループ達が放ったラーガ・ナンバーが与えた影響は大きく、後のGIRLS POPやフレンチ界隈のヒット曲の中にも、インドテイスト溢れる曲を聴くことができます。今回はそんな1960年代後半のガールズ・ポップ・シーン界隈に花開いた、カラフルで幻想的な曲たちをこころ弾みながらプレイしてみたいと思います。
■France gall / Chanson Indienne (1968)

フランス・ギャル 1968年のアルバム、「1968」に収録された、フレンチ・ラーガ定番曲です。邦題もズバリ「インドのうた」。歌い出しから、キラキラしたシタールとタンブーラの音色が打楽器タブラや笛とともに響いてきます。また、盛り上がりの部分では、シタールの音色が効果的に彩る見せ場。ボリュームを一気に上げて弾いてみました。これぞRAVISH SITARで奏でる醍醐味といえる曲だと思います。
■Brigitte Bardot / Harley Davidson (1968)

1968年にフランスで放映されたテレビ番組『ブリジット・バルドー・ショウ』のサントラアルバムから。この作品にはもう一曲、ピチカートファイヴがカバーもしたアンビエントなラーガ・ナンバー「Contact」も収録されています。今回は、バイクの音をベースで転がした後にシタールがセンセーショナルに鳴り響く、この曲に挑戦してみることに。
アンプのリバーブを上げて、強くアタックするように弾いてみたところ、オリジナルに近づけたように思います。基本的に同じフレーズの繰り返しは、初めての方やウォーミングアップで弾きたい時にもオススメの曲です。バンドの演奏でも楽しめそうです。
■Reparata and the Delrons / Toom Toom (Is A Little Boy)(1968)

1960年代アメリカのガールズ・グループが1968年にリリースしたシングル「Captain Of Your Ship」のB面曲。日本でも60’S系のクラブイベントで盛り上がりそうな、シャングリラス風コーラスのダンスナンバー。エレキシタールがソウルフルなベースリフとキャッチーにユニゾンしています。この曲も少しリバーブを上げてSYMPATHETICのツマミを調整し、少しだけスペーシーにすると、ほんのりとサイケテイストな響きを楽しめました。レトロ・スタイリッシュなガールズ・バンドを演奏する方はぜひ挑戦してみてください。
■Lesley Gore / 98.6 / Lazy Day(1969)

実は、第3回目の「ソフトロック編」でもご紹介しようかと迷っていた一曲です。「It’s My Party」のヒットで知られるシンガー、レスリー・ゴーアが1969年にリリースしたソフト・ロックとしてもウルトラキラーなガールズ・ポップ・シングル曲。
アメリカのキースというバンドの名曲「98.6」と、スパンキー&アワ・ギャングのヒット曲「Lazy Day」を極上の女子声で歌う夢のようなナンバーです。「Lazy Day」のAメロのメロディーとユニゾンする、シタールの輝かしいメロディーはまさにこの時代のポップスを象徴するラーガ・ポップ・エラ!動画サイトでも聴ける上、「Hits & Rarities 1964-69」などのベスト盤などにも収録されています。ぜひトライしてみてください。
■Paul Mauriat / You Keep Me Hangin' On(1969)

日本ではマジック・ショーの時の音楽でお馴染み「オリーヴの首飾り」のヒットで知られるポール・モーリア・グランド・オーケストラ。1969年にリリースされた「Rhythm & Blues」に収録された強烈なラーガ・インストを最後にトライしてみたいと思います。
海外では、ビートルズのアルバム「サージェント・ペパーズ…」風なジャケットでリリースされ、ラーガな予感を感じさせてくれるものです。日本では、同年「R&Bの世界」なるタイトルで、その独特で珍妙なデザインのジャケットでリリースされ、現在もカルトな人気を呼んでいる一枚。
このアルバムに収録されたダイアナ・ロス&シュープリームスのカバーは、イントロから必殺のシタールプレイによるラーガ・アタックで当時の日本のムード音楽愛好家にはかなりの衝撃だったのではないかと想像します。途中のドラムンブレイクならぬ、シタールブレイクも圧巻です。ジャケットが日本だけ、医者のカルテを模したデザインになっているのも納得の、失神必至なクール&グルーヴィー・インストです。
さて、今回も実に眩いラーガ・ロックを5曲ご紹介いたしました。次回は「プログレッシブ・ユーロロック編」をお送りします。
皆様のさらなるラーガ魂を揺さぶることができたら幸いです。
それではまた次回、一緒にラーガしましょう。