はじめに
DTMerの強い味方、無料プラグイン。お金をかけずに作曲を楽しむことができます。
しかし、無料プラグインは玉石混交。質の高いものも低いものも混じっており、その良し悪しや活かし方を、自分で見極めなければなりません。
初心者のうちはそれが難しく、頑張っても良い音にならなかったり、ダウンロードしても使わずに放置したりすることがあります。
そこでおすすめなのが、有名メーカーの無料プラグイン!知名度も実績もあるメーカーが、プロモーションのために無料リリースしているこれらの製品は、ある程度のクオリティが担保されていると言えるでしょう。
中には、元々有料で販売されていた製品が無償化したものもあり、これらは特に安心して使うことができます。
ということで今回は、がっつり使える無料プラグインを特集します。良いプラグインをお探しの方は、最後までご覧ください。
有名メーカーの無料プラグイン
VoiSona 知声
CeVio AIで有名なテクノスピーチの新しい音声合成ソフト、VoiSona。その第一弾ライブラリとして登場したのが、「知声」です。
無料でありながら、有償製品と同じ機能を持つ「知声」。中性的な歌声が魅力で、多くのユーザーがいます。
しゃくりやビブラートなどの歌唱表現を、鉛筆で描き込むようにして編集できます。
筆者も「知声」を起用した楽曲を多数リリースしています。今後も愛用すること間違いなしのバーチャルボーカリストです。
iZotope Ozone Imager 2
OzoneやNeutronなど、強力なミックス・マスタリングソフトをリリースするiZotopeの製品です。
Ozoneに搭載されているステレオイメージャーの簡易版で、ステレオ幅を広げたり、狭めたりすることができます。アナライザー付きなので、視覚的に調整できます。
有償版との違いとして、コントロールする帯域を指定できないものがあります。例えば、ベースの低音域はセンターに定位させ、高音域は左右に広げる、といった処理ができないのです。
この制約は少し不便ですが、「Splitter」というプラグインを使うことで解消できます。
筆者はStudio One付属のSplitterで低音域とそれ以外に分け、それぞれにImagerを挿入することで対応しています。
iZotope Ozone EQ 11
続いてもiZotopeから。MS処理ができるイコライザーです。
他にも、EQカーブをアナログとデジタルから選べたり、トランジェントを調整できたりと、とにかく高機能、高品質なプラグインです。
これらの特徴から、個別のトラックよりもマスタリングに向いた製品だと言えます。シンプルで軽量な、DAW付属のイコライザーと使い分けるのが良さそうですね。
Native Instruments Komplete Start
プラグイン単体ではなく、バンドル(詰め合わせ)となった製品です。先述のOzone EQも含まれています。バンドル内容を確認してみましょう。
◯Instruments◯
- Hypha
- Analog Dreams
- Etheral Earth
- Factory Selection 2
- Irish Harp
- Yangqin
◯Effects◯
- Ozone EQ
- Raum
- Super Charger
- Replika
- Guitar Rig 7 Player
- Vinyl
総勢12個。無料でもらえることが信じられないような量と品質を誇ります。中でも筆者がお気に入りのものを紹介しましょう。
Irish Harp
小型のハープであるアイリッシュハープをサンプリングした音源です。有料でも選択肢が少ないですから、無料で使えるのは嬉しい限りです。
その名の通りアイルランドで発展した楽器で、ケルト音楽によく用いられてきました。
それっぽい雰囲気を出すためには、特有の奏法を理解することが必要です。一方、楽器の物理的な制約にとらわれず音を出せることが、DTMの魅力でもあります。
具体的な使いどころとしては、バラードなど柔らかい雰囲気の楽曲での、サビに向けて駆け上がる(グリッサンド)フレーズが挙げられます。このとき、ヨナ抜き音階を用いる(ドレミミソララド、と打ち込む)と、ハープらしい雰囲気が出るのでおすすめです。
筆者はこの楽曲で使用しています。
※00:40あたりに入っています。
Replika
「Replika XT」という多機能ディレイの無料版ですが、こちらでも十分。筆者はピンポンディレイを作る際によく利用しています。
特徴的なのは、画面左側に表示されている3つのディレイモード。モードを選ぶだけで雰囲気が大きく変わるので、これ1つで様々な場面に対応できます。
それぞれについて簡単に説明すると、Modernは綺麗でクリア、Vintageはローファイ、Diffusionはリバーブよりのサウンドです。
IK multimedia MODO BASS 2 CS
2大ベース音源のひとつに数えられる、MODO BASSの無料版です。
使えるモデルはプレシジョンベースタイプの一本のみですが、これだけで十分に使えます。
というのも、実際のベースの音を録音して作られるサンプリング音源と比べ、モデリング音源は音作りの自由度が格段に高いのです。
たとえば、ピックアップの位置や弦の古さ、ピッキングの位置などが変更でき、非常に幅広い音作りが可能です。
筆者の楽曲におけるエレキベースのほとんどは、この音源で演奏されています。
IK multimedia Amplitube 5 CS
同じくIKの製品です。今でこそアンプシミュには多くの選択肢がありますが、まだまだAmplitubeの存在感は大きいでしょう。
無料版ではMarshallをはじめ、有名モデルを再現したアンプが利用できます。エフェクターも使えるので、基本的な音作りは完結できます。
MODO BASSと同じく、名前にCSとついています。これはCustom Shopの略で、自分の欲しいモデルを個別に追加購入できる製品のことです。
キャンペーンでアンプやエフェクターが無償配布されることもあるので、とりあえずは無料版を登録しておきましょう!
気に入ったら有償製品も!
有名メーカーのプラグインは高品質なので、無料版だけで満足できてしまう人もいるでしょう。しかし、有料版はさらに多くの満足を提供してくれます。
ということで、今回紹介したメーカーの有償製品をピックアップしてお伝えします。
iZotope / Ozone 11 Advanced
マスタリングソフトの業界標準とも言えるOzone。そのAdvancedバージョンでは、各モジュール(EQやコンプなど)ごとの単体プラグインが同梱されていて、個別トラックの音作りにも活用できます。
楽曲のクオリティをワンランク押し上げたい人は、Ozoneを使ってみましょう。
Native Instruments / Komplete 15 Standard
こちらはマルチ音源の業界標準と言えるでしょう。基本的な音は網羅していて、これさえあれば大抵の楽曲は作れてしまいます。
「Ozone Standard」もバンドルされているため、これを踏み台にAdvancedへアップグレードもできます。
IK MULTIMEDIA / MODO BASS 2
これまでエレキベースに特化した音源だったMODO BASSが、アップライトベースを携えてバージョン2に進化!フレットレスベースも登場し、より万能なベース音源になりました。
モデリング音源の特徴として、ストレージを圧迫しにくいのも魅力です。
終わりに
がっつり使える有名メーカーの無料プラグインを紹介してきました。
無料のものを活用しつつ、必要なところにはお金をかけるようにしていきましょう!
今回もありがとうございました。
コラム「sound&person」は、皆様からの投稿によって成り立っています。
投稿についての詳細はこちら