

素晴らしい音楽を残したミュージシャンは素晴らしい言葉を残しています。
そのお題を素敵に解釈。日々の生活に無理やりでも役立ててしまおうというコーナーです。
さて、今日のお題は?
人名:フー・レイ(ピアニスト/フー・ツォンの父)
名言:君よ弦外の音を聴け

この言葉を残したのは、中国出身のピアニスト「フー・ツォン」の父親、傅雷(フー・レイ)。あ、写真はフー・ツォンです。父親は翻訳家であり、文学者でした。この名言に似た言葉をもう一つ息子に残しています。
最初に人であれ
第2に芸術家であれ
第3に音楽家であれ
最後にピアニストであれ
フー・レイは息子に無数の手紙を残しています。それらを一冊の書籍『君よ弦外の音を聴け-ピアニストの息子に宛てた父の手紙-』にまとめ出版しました。80年代初頭のことです。中国の読書家なら、その本を知らない人はいないというほどのベストセラーとなりました。冒頭には、幼少時、子供たちに行った折檻を詫びる文章から始まり、文学者らしい教えの数々がちりばめられています。読者の中には「愛」に対して学んだという人が登場するまで。
話は戻って、この名言はピアニストの息子に対しての教えです。ピアニストである前に音楽家であれ!その前に芸術家であれ!そして何よりも人であれ!この教えを受けたフー・ツォンは洞察力の鋭いピアニストとなり、オリジナル以上の表現力ができる演奏家であると評価されています。数々の賞も受賞し、モーツァルトやショパンの名手と言われ、ヘルマン・ヘッセは、「フー・ツォンこそショパンを正しく演奏できる唯一のピアニストである」と折り紙をつけました。書籍のタイトルにもなった名言は、ただ弾くだけではない、外の世界にも対応できる人となれ!と説き、フー・ツォンのピアニストとしての骨格を形成したのではないでしょうか。

日々の生活の中でも、自分の仕事以外の世界はどうなっているのだろう?その中における自分とは?哲学的な話ではなく、この言葉には、自分を取り巻く世界は広く、その中で果たさなければならない役割が色々あるということを教えてくれている気がします。父は息子にその優先順位も指南しました。
愛ある言葉は奥が深いものです。
あっぱれ!座布団一枚!