
パソコンでDTMソフトを使ったレコーディングが主流となった今、自宅でほとんどのレコーディングが済んでしまうようになりました。
もちろんこだわるならギターなどもスタジオでアンプを鳴らしてマイクで録るという方法をとる人もいますが、かなり少数派になりましたよね。
そんな中、どうしてもスタジオで録る必要があるのがドラムです。
自宅にフルセットのドラムとレコーディング環境を備えられる人はほとんどいません。
電子ドラムなら自宅でも録音できますが、本物のドラムとの差がわからないほどのリアルな音質で録るためにはドラム音源や細かいニュアンスまで再現できる電子ドラムにこだわる必要があります。
どちらもかなり高額です。
今回はそんなドラムのレコーディングをできるだけ簡単で安価に済ませる方法をご紹介します。
■ Zoom H4n Proを使う
Zoom社から販売されているハンディレコーダーのH4nProを使用します。
ZOOM ( ズーム ) / H4nPro Black ハンディレコーダー
バンド練習の確認のために使用している人が多い商品ですが、実はそれだけでなく様々な用途で使用できます。
今回はH4nProの3つある録音モードの中で【4chモード】を使ってドラムを録音します。
4chモードとはその名の通り、4チャンネルの同時録音ができるモードなのですが普通に使うとドラムの録音には適していません。
4チャンネルと言っても内蔵のXYマイクで左右2チャンネルを使用し、外部マイクが2本付けられるのですがそれも左右に振り分けられます。
つまり2系統の録音を想定しているので、内臓マイクをエアで録り、外部マイクをスネアとバスドラで録ろうとするとスネアとバスドラはそれぞれ左右のスピーカーからしか音が出ないというわけです。
本来は会場全体など録音しステレオ感を出すためのものなのでこのような仕様になっています。
今回はとりあえずそれで構いませんので録音しましょう。
■ Studio oneを使う
では左右に分かれてしまったスネアとバスドラをセンターで鳴るようにしていきます。
ほとんどのDTMソフトで可能かと思いますが、今回はStudio oneを使った例です。
Studio oneは無料版でもそれなりに簡易的なレコーディングには使えますし、Studio24Cなどのインターフェイスを購入するとワンランク上のArtistというバージョンがバンドルされています。
PRESONUS ( プレソナス ) / Studio 24c オーディオインターフェイス
H4nProで録音したスネアとバスドラが入っているデータをStudio oneで読み込み、右にパンを振り切ってから【ミックスダウンをエクスポート】します。
終わったら同じように左に振り切ってからもう一度エクスポートします。
すると右だけに音が入った音源データと左だけに音が入った音源データができましたね。
これをもう一度Studio oneで読み込んでください。 読み込んだらインサートエフェクトの【Mixing】から【Mono to Stereo】を選択します。
いくつかエフェクトがかかりますが、【Binaural Pan】だけ残してあとは全て削除しましょう。
これでスネアもバスドラも左右から聴くことができます。
H4nProの内蔵マイクで録音したエアとスネア、バスドラで3系統となりました。
ハンディレコーダーを持っている人はエアだけで済ませる人も多いと思いますが、ちょっとひと手間かけると3系統になるのでだいぶ調整しやすくなります。
MTRや入力の多いインターフェイスを購入すれば8チャンネルや16チャンネルの録音も可能ですが、H4nProの利点は元々ハンディレコーダーということです。
普段のバンド練習にも使えるので手軽さと音質のバランスを考えたらちょうどいいと感じる人が多いのではないでしょうか?
■ マイク2本で録る
H4nProなら3系統の録音が可能でしたが、そもそもH4nProを購入しなくてはなりません。
すでにハンディレコーダーを持っている人にとってはドラムの3系統録音のためだけに新たな機材を買うことに抵抗を覚える人もいるでしょう。
もっと手軽で低コストに録音したいという人はINPUTが2つ付いているオーディオインターフェイスを購入しましょう。
すでに持っている人も多いでしょうし、これから買うという人もINPUTが2つくらいのオーディオインターフェイスならINPUTが1つしかないオーディオインターフェイスとさほど値段に大きな差はありません。
BEHRINGERのUMC202HDであれば1万円程度で購入できます。
BEHRINGER ( ベリンガー ) / UMC202HD
マイクの位置はドラムの正面左右にマイクスタンドで設置します。
個別にマイキングした場合と違い細かく音量の設定ができませんがステレオ感のある録音をすることが可能です。
もしくはトップから1本、もう1本はバスドラを録るという方法もあります。
どちらかというとハードロックやメタルなどにおすすめの録音方法ですね。
ジャンルやバンドの構成によっても適切な位置は違ってくるので何回か試してみてください。
いずれの場合でも重要になるのがドラマーの音量バランスです。
パーツの1つずつを狙って録るわけではないので、適切な音量で叩いてくれるドラマーほど少ないマイクでも使える音での録音が可能になります。
■ まとめ
ドラムのレコーディングと言えばマイク10本くらいは欲しいところですが、今回はできるだけ低価格で少ない手間で録音できる方法を紹介しました。
求めているものがかなり高い水準のものなら10本以上のマイクは必要ですが、簡単なデモ音源や弾いてみた動画を作るという程度なら今回の録音方法も試してみてください。
意外と綺麗な音質で録音することができますよ。
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