サウンドハウスをご覧の皆様、おはようございます。DJのおわたにです。
前回、Pioneer DJからリリースされているDJコントローラー・DDJ-400を用いてのパフォーマンスにおける音質向上をテーマとした記事で初投稿をさせていただきまして、おかげさまでTwitterでも多くのRT/いいねを頂戴致しました。その節は本当にありがとうございました!
( 前回の記事【DDJ-400】DJの音、もっと良くしてみませんか? )
今回は前回の記事の最後にも書いた通り、「現場のミキサーがUSB接続に対応してなかったらどうすればいいのか」。これを音質向上の2つめの方法として解説していきたいと思います。
今回もまず注意事項として、この記事ではPioneer DJからリリースされているDJコントローラー・DDJ-400を使用し、PC上のDJアプリケーション・rekordbox DJを使用されている方に向けた記事となっております。特にアプリケーションに関してはrekordbox以外のものではうまくいかない可能性がありますので注意してくださいね。
Pioneer DJ ( パイオニア ) / DDJ-400 rekordbox dj用2ch PCDJ 【厳選】ノベルティ2点付属
さて。本題に入る前にちょっとだけ前回の記事のおさらいをしますので、既に理解されている方は読み飛ばして大丈夫です。
前回の記事では、DDJ-400を用いたDJプレイの音質を向上させるためのTipsとして「DDJ-400とPCを接続して各デッキの再生やループなどのコントロールを行いつつ、もう一本のUSBケーブルで現場のDJミキサーとPCを接続することでミキサーの各チャンネルに音を送り、そのままミキサーで音を混ぜる」という方法をご紹介しました。400に加えて必要なのはUSBケーブルと事前のドライバインストールのみということで、接続も(DJM-900NXSシリーズなどは)天面のUSBポートに差すだけと非常に簡単なためおすすめなスタイルです。しかしこれが使えるのはPioneer DJ製のUSB接続が可能なミキサーのみであり、現場のミキサーがUSB接続に対応していなかった場合やそもそもPioneer DJではないメーカーのミキサーだった場合は、この方法を使うことは難しくなってしまいます。
はい、お待たせしました、ここからが本題。今回ご紹介するTipsは「現場のミキサーのUSB接続の可否にかかわらず音質向上を行う方法」であり、それこそが今記事のタイトルにも入っている「機材のちょい足し」です。
機材の出音に弱点があるならそれを補うための別の機材を導入すればいい。見方によっては前回の話よりもシンプルな考え方と言えるかもしれません。では、どのような機材をちょい足しするのがベストなのか。ここで登場する機材が、DDJ-400と同じくPioneer DJが製造するオーディオインターフェース・Interface 2です。
Pioneer DJ ( パイオニア ) / interface2 rekordbox dvs用インターフェース
Interface2は商品の宣材写真からも見て取れる通り、rekordbox向けのDVS――デジタルヴァイナルシステムの略で、特殊な信号をカッティングしたレコードの音声をインターフェースからPCにインプットすることでDJソフト上の楽曲の動きをレコードで操作することを可能にする技術です――のためのインターフェースとして発売されています。実際にDVS用の信号が刻まれているコントロールヴァイナルも2枚同梱されており、これからDVSを始めるためのセットとして最適なわけですが、今回はDVSではなく、単純に2つのデッキの音声をセパレートで出力するためのオーディオインターフェースとしてご紹介しています。
知らない機材がいきなり登場した!と読者の皆様はお思いかもしれませんが、やっていることは前回紹介した「ミキサーへの音声出力+DDJ-400によるデッキコントロール」とほとんど同じで、「Interface2によるミキサーへの音声出力+DDJ-400によるデッキコントロール」という、DDJ-400での音声出力をせずによりよい音を出せる機材に頼るという構造を両方とも取っているわけですね。下に図解します。

Interface2とDDJ-400を併用したルーティングを図解
筆者もInterface2を3年ほど使用していますが(コントローラーはDDJ-RB)、やはり出音は全く違います(主観ですが)。しっかりとクラブで鳴らせる音圧、堅牢な筐体、そして電源がちゃんとコンセントから取れる(バスパワーにも対応)というのも見逃せないポイントです。
Interface2のミキサーへの接続はRCA×2となるため、古いミキサーを使いながら出力はPCDJというようなこともできますし、やったことはありませんがE&Sのような最新のロータリーミキサーに音を送り込むことも可能かと思います(ハウスDJのはしくれとして一度はやってみたいものです)。
一応前回も書きましたが、ぶっつけ本番で慣れない接続方法をいきなり試してみることは危険です。事前にスタジオに行ってみたり(推奨)、音出しの時間を借りて必ず一通りのリハを行いましょう。また、Interface2とミキサーの接続はRCAであり、前のDJさんとの転換時に暗いクラブでミキサーの裏に手をまわして空きのRCAを探してケーブルを……というのはあまり簡単ではありません。設営の際にあらかじめ前後のDJさんとコンタクトを取り、どの端子に差し込むかを事前に決定しておくとベターなのではないかと思います。
……ところで、Interface2の値段をご覧になった読者の皆様のうちの7割がこう思ったことでしょう。
「DDJ-400をもう一台買ってもおつりがくる値段の機材が”ちょい足し”?」と。
……わかります。気持ちはよくわかる!でもInterface2は音質向上だけの機材では決してありません。だからこそ、こうして筆を執って紹介しているわけですからね。
先ほど筆者もInterface2を使用していると書きましたが、現在RBの音質向上目的でInterface2を使うことはほとんどありません(当初はそうして使っていましたが)。そしてそれはDVSでもありません。
Interface2のDVSでもない、DDJ-400の音質向上でもない第三の使い道とはなにか。それは、「PCのキーボードショートカットと現場のミキサーのみによるコントローラーなしのDJ」です。
そこそこPCDJを続けている方、及びPCDJの出始めの頃をご存じのDJの各位には伝わるかと思いますが、PCのDJソフトの出始めのころ(Pioneer DJで言えばrekordbox以前のPCDJソフトにはDJSというのが存在したのです。本当ですよ)、そのコントロール方法はキーボードのショートカットにPLAYやCUEをアサインするというのが一般的でした。今でこそコントローラーで動かすのが当たり前ですからちょっと信じられない話ですよね。
そしてこのショートカットによるDJはrekordbox DJでも当然のように可能であり、「環境設定」→「キーボード」からそのアサインを確認したり変更したりすることができます。筆者はこのキーボードショートカットで、複数人のB2BでCDJが埋まっているときに曲をPCからプレイしたり、CDJでプレイしている楽曲に別の曲から抽出したヴォーカルをPCで再生して手元でmashupをしたりしているわけなんですね。もちろんこれらをInterface2ではなくミキサーへのUSB直差しでやることもあります。
結局何が言いたいかというと、Interface2を運用することで生まれるメリットはコントローラーでDJするときの音質向上だけではなく、そもそもコントローラーなしでもミキサーさえあればPCとInterface2だけでDJができてしまうということなのです。もしもDDJ-400を自宅での練習用の機材にして現場ではUSBメモリでのプレイをメインとすることになっても、Interface2を手元mashup用やUSBに不調があった時のバックアップとして用意しておくとプレイの幅が広がりますし安心感が違います。DJにとって音を出すための手段はなんぼあってもいいですからね!
というわけで、今回はDDJ-400を使用してDJをする際の音質向上Tipsその2としてInterface2を使用したソリューション、そしてInterface2そのものが持つ可能性についてご紹介させて頂きました。この記事が少しでも皆さんのより良いDJライフの一助となれば幸いでございます。この次もサービスサービス!
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