今回はエフェクター紹介から少し離れ、ギターパーツの話をしてみましょう。
リテーナー、別名テンションピン(バー)というパーツがあります。

ペグからナットに向かう弦を抑え、弦の暴れを防ぎ、チューニングの安定性を高める機能を持つこのリテーナーですが、なかなか日向に出ることはなく、語られることの少ないパーツです。
しかし、わずかずつ異なるデザインとそれぞれの機能には見ていて飽きない魅力がありますし、楽器製作者のこだわりがよく現れる部分の一つだと私は思っています。
いくつか紹介してみましょう。
■ カモメ型リテーナー
FENDER ( フェンダー ) / VINTAGE-STYLE STRATOCASTER STRING GUIDES
先ほども画像を使用したカモメ型のリテーナー。
Fender系の伝統的なギターにはタイプが搭載されることが多いでしょうか。
板を曲げて作った簡易的な構造で、それゆえゴールドやレリックなどの特殊カラーも安価なことが特長ですが、他のタイプに比べて弦との摩擦が多いとも言われます。
ちなみに、旧Yamaha Attitudeシリーズにはこのタイプに近い形状の独自規格リテーナーが搭載されていました。
■ バレル型リテーナー
GOTOH ( ゴトー ) / RG15 Chrome
統一した名前がない感じがするこのリテーナーですが、私はバレル型(樽型)と呼んでいます。
サウンドハウスでは円筒型、Fenderではローラー型と呼んでいるようですね。
こちらもギターによく用いられるタイプですが、前述のカモメ型より摩擦が少なく、安定したチューニングを可能にします。
接触部の円筒形とスペーサーがきちんと密着しないことを嫌ってカモメ型を採用する人もいますが、きちんと締め込めば問題ないでしょう。
■ 丸型リテーナー
MONTREUX ( モントルー ) / JPN String Guide for Guitar round Nickel [9529]
主にテレキャスターやFender系ベースに搭載されるこの丸形。
多数のブランドから同じようなパーツが出ていて、弦の通し溝が彫ってあるものとないものがあり、商品画像からは判別が付けづらいですが、取り付け時に回転に気を使わなくていい溝無しが主流のようです。
ベース用は2cm近い直径があり、エンドピンなどに流用されることも多い便利パーツの一つです。
■ バーリテーナー
SCUD ( スカッド ) / SR-GB475B
FRT搭載ギター御用達、バーリテーナーです。
その他リテーナーと違い全ての弦に掛かるのが特徴で、ロックナットの場合にはしっかりと弦とナットを密着させてボルトを締め込んだ時の音程上昇を抑えることができます。
ロックナット以外でもこのバーリテーナーは威力を発揮し、スペーサーを持たないため圧力の掛け方を「調整できる」という点において独自性を発揮しています。
また、ベースに搭載できるのも利点の一つ。
以前の楽器改造記事にて言及したように、A弦のペグ-ナット間での共振を無くすことができ、なおかつ安いリテーナーの選択肢はこれ以外にありません。
私はいつも幾つかストックし、所持する全てのFender系ベースに搭載しています。
■ ローラーリテーナー
ALLPARTS ( オールパーツ ) / AP-0726-023 Roller Guitar String Guides
トレモロ搭載ギターの選択肢の一つ、ローラー付きリテーナーです。
高さの調整が効かないこと、少し大振りで目立つのが欠点ですが、それを補って余りある安定性があります。
ALLPARTS ( オールパーツ ) / AP-0718-023 Roller Bass String Tree
ちなみにベース用もありますが、トレモロ搭載ベースはそうそう無いのでこれを搭載する理由も特にないでしょうか。
ただ、ベース用リテーナーの中では最も弦との摩擦が少ないものの一つであることは確かです。
■ TUSQ製リテーナー
GRAPHTECH ( グラフテック ) / PQL-7004-00
Graphtechが販売する、主にナット・サドルに用いられるテフロン含有人口象牙材を使用したリテーナーです。
TUSQの売りとする弦の切れづらさや滑りは発揮されますが、最大の利点とされる硬質な音質への変化はほぼ得られない、TUSQの謎のパーツの一つです。
色は通常のTUSQと同じ黒とクリームの2種があります。
■ Dynaguide
Dynaguide ( ダイナガイド ) / Dynaguide Black ストリングガイド/a>
リテーナーと弦の摩擦がチューニングがずれる原因になるなら、リテーナーの方を動かせばいい、そんな発想で生まれたリテーナーがこちら。
針金でできた輪に通すのは弦交換時には少々面倒ですが、弦が絶対に外れないという信頼感もあります。
また、フックではなく輪になっていることにより、どんな弦間ピッチのナットにも対応することができるという利点があり、(現実的にはないですが)溝に通すわけではないので12弦にも使用可能という優位性にもなっています。
■ Hip Shot String Retainer
HIP SHOT ( ヒップショット ) / Three String Retainer Chrome
ベース用リテーナーの最強の選択肢の一つ、Hip Shotのリテーナーは堅牢さと重量において他のリテーナーを圧倒します。
2弦用、3弦用、4弦用の3種類があり、クローム・ブラック・ゴールドの3色が選択可能です。
基本的にはジャズベースに搭載することを想定しており、弦間ピッチによってナットへの進入角度が変わってしまうことがあります。
■ Fender Stealth Bass String Retainer
FENDER ( フェンダー ) / Stealth Bass String Retainer ベース用ストリングリテイナー
ステルス、と名の付く通り目立たないデザインの1弦リテーナーがこちら。
商品説明にある通り、ブッシュを使用するペグには固定できませんが、Gotoh GB707などの小径ブッシュであれば問題ありません。
寸法を確認してから購入しましょう。
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今回はリテーナーについて書いてみました。
それぞれの持つ特性や見た目の差を考慮し、それぞれの楽器に最適なパーツを選びましょう。
それではまた。