ネモトです。
今回はメンテナンスについてやっていきたいと思います。
というのも、ケミカル類の詳しいことは案外知られていないらしく、そこそこキャリアがあるプレーヤーさんでも適切なものを使っていないとか非効率なやり方でやってることが多いのです。
なので解説したりライフハックしたりしようかと思います。今回はポリッシュとワックスです。
まず大体の方の認識は「ポリッシュは汚れ落としでワックスは艶出し」だと思います。正しい認識ですが、それより詳しく語れる人は(本職のリペアマンを除くと)あまりいません。
まずは汚れと傷について語ります。これをごっちゃにしてしまうと適切なものを選べないのです。ポリッシュやワックスが必要になる理由なのですが、汚れか傷です。汚れは主に汗、皮脂、古いワックス、タバコのヤニやこれらに埃がくっついたもの、合わないポリッシュによる曇り(塗料と反応することにより起こります)です。
傷は磨りガラスをイメージしてください。磨りガラスはガラス表面に細かなすり傷をつけることにより絵柄を描いています。同様に細かな傷のせいで輝きが失われてしまいます。
■ ポリッシュについて

まずはポリッシュの解説をします。
ポリッシュとは汚れを落とすことにより平面を出すものです。汚れを落とすための方法は基本的に「研磨」か「溶解」になります。汚れを削り落としたり、汚れを溶かして浮かせ、それを拭き取ることにより汚れを落とします。ポリッシュの注意書きによく書いてある「サテンフィニッシュのものはツヤが出る可能性があります。ニス、オイル、ビンテージ楽器などデリケートな塗装に使う場合は目立たないところで試してから使ってください」というのは「研磨」するならば汚れと一緒に塗装も削ってしまう可能性があり、合わない洗剤によって塗料が想定外の反応を起こした結果塗装まで「溶解」させて塗装ごと拭き取る(変色したりケロイド状になったりします)可能性があるため書かれています。
ちなみにどんな塗装でも使えると謳われたポリッシュやビンテージ専用ポリッシュは塗料の特性や塗装被膜の強度、楽器につく汚れの性質を徹底的に調べて作られています。ものにもよりますが一般的なポリッシュより強力な薬品だったりするので素手での取り扱いはやめた方がいいです。
■ ワックスについて

次にワックスです。
ワックスは傷に入り込むことによって傷を埋めて輝かせます。削り取るわけではないので塗装にダメージを与えるリスクはまずありません。ポリッシュよりも気軽と言えるでしょう。ただし塗料と反応して悪影響を与える可能性はありますので必ず目立たないところでテストをしましょう。
ワックスは被膜を作ることで塗装面の保護も行います。つまり基本的に汚れには効果がない上に下手をすれば、汚れを被膜で覆ってしまう可能性もあります。なので汚れを落とした後に使いましょう。研磨剤が含まれクリーニング効果があるものならば汚れを落とさずに使用しても問題ないと思いますが、汚れ落としの効果は劣ります。
あらためて書きますがテストするのを忘れずに。
汚れが気になるならポリッシュ、傷が気になるならワックス。ご自身の所有している楽器の状態に合わせて使い分けてください。
どのような塗装になっているかは大事ですので、塗装に合わせて複数の品を持っておくのがいいと思います。
コンディショナー配合シャンプーのように1本で仕上げまでできると謳っているものもありますので、それを使うならば1つで良いと思います。
ポリッシュ、ワックスともに施工したあとは乾拭きをして余分な薬液を落とすのも忘れずに。余分な薬液は悪さをします。具体的には固まって頑固な汚れになったり、水滴のように残ってしまうとその部分だけ塗装に悪影響を及ぼします。 ついでに金属パーツの話です。メッキされたパーツにポリッシュを使うとメッキが剥がれてしまうかもしれません。基本的にポリッシュは使わず、丁寧に水拭きしたあとに乾拭きして水分を完全に飛ばしてからワックスを使うのが良いと思います。 ただし全体的にサビが浮いてきてしまっていたり、点サビが見られるようならばメッキが剥がれるのを覚悟の上でポリッシュ→ワックスもアリです。ポリッシュでは埒が明かない場合もあるので、その際はサンドペーパーで油研ぎをしたりコンパウンドを使って磨いてもいいでしょう。ここらは自己判断になります。
動きが悪くなった場合は浸透潤滑剤や金属用クリーナーを使います。木に悪影響を与える可能性があるので外してから使ってください。
ただしネジが錆びてしまっている場合は力を込めるとネジが折れる可能性があるので軽くネジを回してみて回らないなら付けたまま浸透潤滑剤を使い、それからネジを回して外します。それでも無理なら諦めるか楽器屋へ持ち込みましょう。
身も蓋もありませんが楽器を丁寧に扱い毎日きちんと拭いておけばケミカル類を使用しなければならない事態にはなかなかなりません(ならないわけではないですが、使用するレベルまで汚れる時間が長くなる)せいぜい水拭きで済みます。私は複数本所有しているサラリーマンで、毎日磨く時間はないのでケミカルに頼らざるを得ませんが…。
愛用品を紹介して最後とさせていただきます。ありがとうございました。
ドクターダックス AX WAX
ケンスミス classic wax polish
ヴィルチュオーソ premium polish
タートルワックス scratch&swirl remover
タートルワックス super hard shell
カイザー KDS500