① WA-1Bをドラムレコーディングで使ってみた
今回はWARM AUDIOの WA-1B を、実際にドラムレコーディングで使ってみました。
第一印象としては、とにかく“まとまり方”が綺麗でした。「前に飛ばす圧」じゃなくて、ドラム全体を一段階リッチにしてくれる印象です。
キックとスネアのピークを軽く抑えつつ、シンバルの広がり方が自然だなと思いました。ハイハットだけ暴れたり、クラッシュが耳に刺さったりするのは苦手なのですが、WA-1Bはそこがかなり滑らかでした。
速いアタックをガツンと止めたい人には少し違うかもしれませんが、ラージで滑らかな方向の時にはかなりいいかもしれませんね。
個人的には
- R&B
- Neo Soul
- J-POP
- 歌モノ
この辺のドラムの音色にはかなりハマるのかなと思いました。
ドラムで使ってみて感じたのは、“暴れさせるコンプ”じゃなく“整えてデカく聴かせるコンプ”という点で、個人的にはかなり好きでした。
② WA-2Aをドラムレコーディングで使ってみた
次は WA-2A をドラムレコーディングで使ってみました。
これは単純に空気感が気持ちいいです。
「バチン!」みたいな感じじゃなくて、ドラム全体を後ろから包む感じで、特にスネアは余韻が太くなるような印象です。
リムショット後の空気感やシンバルの伸びもかなり音楽的でした。
それとWA-2Aって思ったより低域が大きいなと思いました。
キックの胴鳴りがかなり自然に前へ出る印象です。
最近っぽい超タイトな音とは少し違いますが、生ドラムの音に対して独特の“揺れ”を作ってくれる感じが気持ちいいです。
ただし深く掛けすぎるとローが膨らみすぎるかも、と感じました。
ルームマイクやオーバーヘッド、この辺で使うと使いやすいのかなと思いました。
今回生ドラムで使ってみて思ったのは、WA-2Aは“攻撃的なコンプ”ではなく、“音を気持ちよくするコンプ”だなということです。
音圧を作るというより、“演奏が良く聴こえる方向”に持っていくタイプなのかなとも思いました。
③ WA76-Aをドラムレコーディングで使ってみた
これ、結論から言うとかなり好みです。
アタックが前に飛び、ゴーストノートも潰れすぎず芯だけ押し出してくる感じです。
あと、WA76-A は音の押し出し感が強く、ドラムが前へ来る感じもいいですね。
音楽によっては生っぽさより“存在感”が重要な場面もあると思うのですが、そういうミックスではかなり使いやすそうです。
また、深く潰すと結構キャラクターは出ます。
そこも良さなのかなと思いました。
価格帯的にもレコーディング現場に導入しやすいので、初めて実機コンプを買う人にもかなり現実的だと思います。
もちろん本家やヴィンテージと比べると差はあると思います。
ですが「現場でちゃんと使えるか」で言えば全然アリでした。
今回使ってみて感じたのは、WA76-Aは“音を整える”というより、“演奏を派手に魅せる”コンプで、ドラムを前に出したい人にはかなり刺さると思います。
.④ WA76-Dをドラムレコーディングで使ってみた
使用してみた感想ですが、さっきのWA76-Aとは結構キャラクターが異なります。
一言でいうと、WA76-Aは派手、WA76-Dはタイトで硬い印象です。
余計な胴鳴りが整理されて、芯だけ前に出てくる感じはかなり現場向きだなと思いました。
音楽によっては、トラックがパンパンに詰まっている中でドラムの音を抜けさせる必要があると思います。
そういう時にこのWA76-Dはめちゃくちゃ使いやすいと思いました。
アタックを少し遅らせて、リリースを早めにすると、“パンッ!”って前に来るスネアが作れる上、余韻もすっきりしている印象です。
タム類もローが膨らむというより、“輪郭が出る”感じがします。
バンドアンサンブルで埋もれにくい音になるかと思います。
なので、ポップスや打ち込みありきの音楽、現代系のミックスにはかなりハマると思います。
逆に、荒々しいロックのテンションを出したいならWA76-Aの方が好きな人も多いかもしれません。
あとレコーディング現場目線で言うと、WA76-Dは“失敗しにくい”選択だと思います。
キャラクターは出るけど、暴れすぎないのも好印象です。
今回使ってみて感じたのは、WA76-Dは“ドラムを前に出すための整理役”です。
派手さは控えめだけど、ミックスでの戦闘力はかなり高いです。
⑤ WA-8000 × TB12をドラムで使ってみた
今回は WA-8000 と TB12 をセットで、ドラムレコーディングに使ってみました。
まず前提として、WA-8000って完全にボーカルのイメージが強いですよね。
ドラムに使う発想はあまりないかもですが、今回は敢えて使用してみました。
でも実際やってみると、これが結構面白かったです。
今回はオーバーヘッド気味のポジションで立てて、TB12に入れてみました。
まず音がめちゃくちゃ繊細な印象でした。
シンバルの粒立ちが細かく、生ドラム特有の空気感が気持ちいいです。
高級感あるトップマイクの音という印象でした。
あと面白かったのが、シンバルがうるさくなりにくいです。
マイクによってはハイの成分がキツくなりがちなんですが、WA-8000は意外に滑らかでした。
なので
- R&B
- バラード
こういうジャンルにはかなり合うと思いました。
逆にロックでガンガン行きたいなら、もう少し荒いマイクの方がハマるかもしれません。
TB12の使用感としては
- 音が太くなる
→ ドラムがしっかり前に出る - キャラを変えられる
→ つまみ(スチール/ニッケル)で音の雰囲気を変えたり、パンチ感が出せる
という感じでした。
今回両方使ってみて思ったのは、WA-8000で繊細なニュアンスを録り、TB12を噛ませることで繊細かつパワフルな音に仕上げられるということです。
この組み合わせはかなりアリだと思います。
⑥ WA-8000(トップ)× WA-47F(キック)で使ってみた
WA-8000 をトップ、WA-47F をキックに使ってみました。
まず結論から言うと、かなりバランスがいい組み合わせでした。
トップのWA-8000は、やっぱり収音してくれる音の情報量が多く、シンバルの伸び、空気感、細かいニュアンスが全部拾えます。
それに対して、キックのWA-47Fはスピード感があってアタックがしっかり出ます。
でも低域はちゃんと太いのがお気に入りです。
いわゆる「ドン!」だけじゃなくて、“ボフッ”っていう空気感もちゃんと録れます。
そしてこの組み合わせの良いところは、上下のレンジバランスが自然に揃うことです。
トップが繊細すぎて、キックが負ける……みたいなことはなかったです。
もちろん細かく作り込むならマイキングは増やす必要ありますが、簡易的なセッティングでここまで成立するのは正直強いなと思いました。
今回の組み合わせは、“音作りをシンプルにしたい人”にはかなりおすすめです。
⑦ WA-1B / WA-2A / WA76-A / WA76-D 比較動画
最後に、この4機種を同じドラムの録り音で比較しました。
これはかなり面白かったです。
キャラの違いがはっきり出ました。
- WA-1B
- → 一番“まとまる”感じがしました。
音が自然に整って、リッチになる印象です。 - WA-2A
- → 一番“音楽的”でした。
揺れがあって、空気感が気持ちいいです。 - WA76-A
- → 一番“派手”な印象でした。
ドラムが前に出る印象です。 - WA76-D
- → 一番“タイト”な印象です。
整理されて抜ける、現代系な感じの音がしました。
まとめ
今回、WARM AUDIOの WA-1B / WA-2A / WA76-A / WA76-D / WA-8000 / WA-47F / TB12 を実際にドラムで使ってみて思ったのは、コスパよく現場投入できるレベルの機材ということでした。
コンプレッサー4機種の結論
- WA-1B → まとまり・高級感
- WA-2A → 音楽的・空気感・自然な揺れ
- WA76-A → 派手感・前に出る
- WA76-D → タイト・整理・現代系に強い
正直、1台だけ選べって言われたら悩むけど、現場的な安定感で言うならWA76-DかWA-1Bかなと思います。
マイク&プリアンプの結論
- WA-8000 → 繊細・高解像度
- WA-47F → 太い・速い
- TB12 → 音を“使える方向”に持っていける
特にWA-8000(トップ)+WA-47F(キック)の組み合わせはかなり完成度が高いなと思いました。
ミニマルなマイキングでも成立するのは、かなり強みです。
ドラマーとして一番大事だったこと
今回一番リアルに感じたのは、「タッチによる表現がちゃんと音に出るかどうか」。
WARM AUDIOの機材は、良くも悪くも“ごまかしてくれない”印象ですが、その分ちゃんと叩いた時のニュアンスはしっかり返ってくる点がとてもよかったです。
正直な評価(良い点と気になる点)
良い点はシンプルで、
- 価格に対してのクオリティが高い
- キャラクターがしっかり分かれている
- 現場で普通に使える
気になる点は
- 本家ヴィンテージと“完全に同じ”ではない
- モデルによってはキャラが出るので好みは分かれる
ただこれって、逆に言えば「ちゃんと個性がある」ってことでもあるなと思いました。
結論
今回色々試しましたが、WARM AUDIOって“全部揃えても現実的な価格”なのも嬉しいポイントです。
だからこそ、こうやってキャラ違いで持っておく価値はかなりあるなと思いました。
全部使ってみて率直に思ったのは、WARM AUDIOは“安い代替品”じゃなくて、“ちゃんと使える選択肢”ということでした。
もちろん本家機材のニュアンスとは違う部分もありますが、現場で使えそうかどうかで言えば充分に使える機材でした。
ドラマーとしての視点で言うと、「どう叩いたか」がちゃんと音に出る機材でした。
これは演者にとってかなり大事な視点です。
プロの現場でも全然使えるし、むしろこの価格帯だからこそ複数持って使い分けできると思います。
最後に
ドラマーとしての目線で言うと、機材で全部が良くなるわけじゃないと思います。
でも、“叩いたものをどう録るか”で音の説得力は大きく変わると思います。
今回の機材たちは、その“説得力”をちゃんと引き出してくれるものでした。
皆様もぜひお試しください!
コラム「sound&person」は、皆様からの投稿によって成り立っています。
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