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夫婦別姓制度の落とし穴!

2025-07-15

テーマ:サウンドハウス創業者のコラム「Rickの本寝言」

Rickの本寝言 サウンドハウス創業者が本音をついつい寝言でつぶやく!

2025年の参院選では「選択的夫婦別姓制度」が争点のひとつとして取り上げられている。憲法との関係や家族の一体性、そして個人の不利益など、いろいろと議論されているが、違った切り口から、なぜ、この論争が国家の存続を左右するほどの危険なトピックかを論じたい。

個人の権利が大事なことは言うまでもない。我が愛する日本国では憲法によってさまざまな権利が守られているのはうれしい。しかしながら個人の権利とは、あくまで社会的秩序の中に育まれるものであり、そのルールを逸脱することは容認しがたい。例えば不倫は個人の権利か?日本の文化は不倫からも生まれていると、それを美化する俳優もいたが、そういう難しい話題はさておいて、個人の権利を究極に追及している国、アメリカにスポットをあててみたい。

多くの日本人が知らないことだが、アメリカでは戸籍制度がないため、だれでも自由に自分の名前を決めることができる。つまり名前とは親が決めるものではなく、あくまで本人が決めるものであり、その権利が認められているのだ。その手続きはいとも簡単であり、米国社会保険事務所に書類を提出する程度の事務処理となる。自分の名前が気に入らなければ、自分で変えることができる。そこまで自由が認められているのがアメリカだ。それをよしとするか、素晴らしいとするか?選択的別姓制度というものは、潜在的にそこまで社会を変えていく力があり、いったん個人の権利に重きを置く波に乗ってしまうと、それを抑止することが難しくなってくる。

日本はアメリカや諸外国とは何が違うかというと、世界に誇る戸籍制度が存在することだ。そして戸籍制度の持続により、一千年以上も一族の系図を記録し続けてきた家系も存在する。その極めが天皇陛下であり、その王族の歴史は世界的にも羨ましがられている。長い年月を経ても系図が書き記され、歴史に残されてきた背景には、家系を大切に守るという、戸籍制度の根底となる考えが古くから存在したのだ。

世界でも戸籍制度が用いられている国は、もはや数か国しかない。その始まりは古代のイスラエルである。旧約聖書、新約聖書には人類の創生からアブラハム、ダビデ、イエスキリストまで、事細かく系図が記されている。そして紀元前7世紀頃、南北イスラエルが崩壊し、何百万にもなる多くの民がアジア大陸を東方に離散した結果、イスラエルの民は今日の中国、韓国、東南アジア、そして日本にまで移住することになる。そしてイスラエル古来の家系を重視する文化が伝承された結果、今日まで日本だけでなく、韓国、中国、台湾、ベトナムには戸籍制度が残されている。中でも日本の戸籍制度は、その内容が家族単位で詳細に明記され、婚姻、出生などの事項が一目でわかるようになっている。このような国は、世界でも例がない。日本古来の文化が抜きん出て優れている点であり、国家の誇りとも言える。

何故、戸籍制度が日本人にとって大切なのか。それは戸籍という日本人の歴史と家系の背景の記録は、民族の一体性を象徴し、日本史のルーツを遡ることができるからだ。古代イスラエルが単一民族の国家として外国人との婚姻を排除したように、従来は日本の婚姻制度も日本人同士の結婚を前提に、家系を守るという信条を貫いてきた。そのような考えは古いし、もはや現実的ではない、と考えるのが現代の日本人だ。それでも戸籍制度が残る理由は、やはり日本固有の文化を大切にする、というカルチャーがあるからではないか。日本には古くから守られてきた風習があり、文化があり、祭りがある。世界中どこを見ても、日本にしかないものがあまりにも多い。だからこそ、それら先人が築き上げてきた文化を守ることは当然と考える人が多いのも、日本特有の現象だ。

これまで戸籍制度を大切にしてきた日本で夫婦別姓を容認するとなると、XX家という一貫した家系の名称が崩れることになりかねない。例えば結婚している家庭の妻が違う姓名を名乗り、その名前を子どもたちも引き継いだ場合、子どもたちの戸籍には、先祖代々培われてきた家系の流れとは別の名称が主に記されることになる。さまざまな方法で索引をつけながらルーツを辿ることはできても、古来より一族が大切にしてきた家系の名称が消えていくことになる。これらの問題を避けるために、戸籍における名称を変えるのではなく、通称として使えるようにする案もあるが、自らのID、身分証明書などをどちらの名前に依存するかなども含めて、さまざまな行政絡みの問題が重なる。

海外諸国に倣って夫婦別姓があたりまえ、と叫んでいる政治家は、戸籍も廃止しましょう、と言っているにすぎないかもしれない。美味しい所だけを見て、その背景に纏わる諸問題を見てないのでは、と考えてしまう。一度、個人の権利に重きを置き、自由という名の元に自分の名前を自分で決めるという窓口を開くと、古来の戸籍制度の在り方そのものを否定することになりかねないことを、果たして理解しているのだろうか。

そもそも日本では、これまで相応の社会的理由がない限り、裁判所では名前の変更さえ認めてもらえない。どんなに自分の名前が嫌でも、まともな理由と、裁判所が判断しなければ、名前を変えることはできないのが今の日本の法律だ。たとえ同じ発音の名前で、その漢字表記を変えるだけでも、裁判所で込み入った手続きを踏まえ、変更する理由を明文化して許可を受けなければならない。それが今の日本だ!

つまるところ、戸籍制度を廃止してでも、個人の権利を大事するという大義名分により夫婦別姓の制度を新たに施行するか、いやいや、日本はやはり古来の文化を大事にするため戸籍制度を守りながら、天皇を国家の象徴として、共に日本の歴史を刻んできた戸籍制度を大切に守り抜くのか、という選択を迫られることになる。

この日本という国をどう考えるかが、問われる案件であり、極めて重要な時代の節目が訪れている。海外がそうだから、日本も同じようにこうありたい、という考えはもはや通じない。そういう人は、日本という国がなくなって、世界人にでもなろうというのだろうか。日本には日本人が誇るべき、比類なき文化がある。それをいつまでも大切にしたいと夢見る人が、今、日本にどれだけいるだろうか。

Rick - 中島尚彦 -

1957年東京生まれ。10代で米国にテニス留学。南カリフォルニア大学、ウォートン・ビジネススクールを経て、フラー神学大学院卒。GIT(Guitar Institute of Technology)第2期生のギタリスト。80年代にキリスト教会の牧師を務め、音楽ミニストリーに従事しながら、アメリカで不動産会社を起業。1989年、早稲田でライブハウス「ペトラクラブ」をオープン。1993年千葉県成田市でサウンドハウスを創業。2001年、月刊地域新聞日本シティージャーナルを発刊。主幹ライターして「日本とユダヤのハーモニー」の連載をスタートし、2010年よりwww.historyjp.com を通じて新しい切り口から古代史の流れをわかりやすく解説。2023年、一般財団法人サウンドハウスこどものみらい財団を創設し、こどもたちの支援にも従事。趣味はアイスホッケー、ピアノ演奏、トレイルラン、登山など。四国八十八ヶ所遍路を22日で巡る。グループ企業の経営指導に携わるかたわら、古代史の研究に取り組み、日本のルーツ解明と精神的復興をライフワークとする。

 
 
 
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