何をもって"いい音"というのは人それぞれ好みも違いますし、狙っている音のポジションも異なります。よって、これが"いい音"と言いきることはできませんが、ここではエフェクターの役割や音作りのポイント、狙いなど、より詳細な部分について、エフェクター初心者の方向けに書いていきたいと思います。
【初心者向け】足元の宝石 ちょっとマニアックなエフェクター講座
第1回 オーバードライブ編
第2回 ディストーション編
第3回 ワウペダル編
第4回 フェイザー編
第5回 パッチケーブル編
第6回 電源アダプター編
まず、ギタリストがいつまでも悩む定番、歪み系エフェクターについてです。歪み系は大きく分けるとオーバードライブ、ディストーション、ファズに分類されます。今回は中でも一番種類が多い、オーバードライブについてです。
■ オーバードライブって何?その役割は?
オーバードライブは、ギターの音をロックらしい「歪んだ」サウンドに変えるエフェクターです。
「アンプのボリュームを上げると音は歪むけど、家やスタジオでは音量が大きくなりすぎる…」
そんな時、オーバードライブを使えば小さな音量でも手軽に歪みサウンドを楽しむことができます。
多くの場所でこんな説明を耳にするかもしれませんが、実はこれだけでは十分ではありません。オーバードライブは、すでに少しだけ歪んでいるアンプに「もうひと押し」の歪みを加える、と考えると音作りが成功しやすくなります。
■ アンプとの組み合わせも重要・・・!
オーバードライブを使う上で重要なのが、組み合わせるアンプとのバランスです。
安易にGAIN(歪み量)を上げすぎてしまうと、ハウリングが止まらなくなったり、バンドで演奏したときに音が埋もれて聴こえなくなったり(音抜けが悪い)といった問題が起きてしまいます。
アンプの種類(真空管かトランジスタか)や、アンプ自体のボリュームによってもサウンドは大きく変わるため、オーバードライブのセッティングもその都度微調整が必要になります。
アンプの特性を理解して、オーバードライブのGAINを調整することが、理想のサウンドへの近道です。
■ 初心者が陥りがちな「歪みが足りない問題」
初めてオーバードライブを買った人が「思ったより歪まないな…」と感じることは少なくありません。雑誌で見た好きなアーティストと同じエフェクターを買ったのに、「音源で聴こえる音と全然違う」という相談もよく聞かれます。
これは、プロのアーティストがアンプのセッティングと組み合わせることで理想の歪みサウンドを作り出しているからです。さらに、自宅での練習とライブハウスでの演奏では環境が違うため、ベストなエフェクターも変わってきます。
オーバードライブを選ぶ際には、以下の3点を事前に明確にしておくのがおすすめです。
- どんな歪み量が欲しいか
- どの種類のアンプと組み合わせるか
- どれくらいの音量で演奏するか
■ エフェクターに触れてみましょう!
とはいえ、理屈抜きで「とりあえずオーバードライブを手に入れたい!」「歪みを体験したい!」と思うのは当然のことです。
筆者の個人的な意見としては、まずは直感で気になったエフェクターを買ってみるのが一番です!デザインや価格、好きなアーティストが使っているといった理由でOKです。
実際に触って音を出しながら、「自分の好きな音」や「その音を出すためのセッティング」を見つけていくことで、どんどん音作りの面白さにハマっていくはずです。
みなさんの楽しいギターライフの第一歩を応援するため、初心者の方に特におすすめしたいオーバードライブをいくつかご紹介します!
言わずと知れたオーバードライブの名機、SD-1をまずご紹介します。もはやコンパクトエフェクターのアイコン的な存在ともいえる1台ですね。
つまみはLEVEL、TONE、DRIVEの3つとなっており、シンプルで初めての1台にもぴったり。LEVELで音量、DRIVEで歪みの量を調整し、TONEで音の明るさを変えることができます。歪みエフェクターの基本的な操作感を身に着けることができますよ。
サウンド面での大きな特徴は、マイルドで温かみのある歪みです。ピッキングのニュアンスをしっかり表現してくれるので、弱く弾けばクリーンに近い音、強く弾けば気持ちよく歪んだ音が出せます。クリーンブースターのように使ったり、歪ませたアンプにSD-1をプラスして、さらにアグレッシブな音作りをしたりと、使い方の幅広さも魅力です。
数々の名曲を彩ってきた歴史ある1台から、あなたのエフェクター遍歴をスタートさせてみてはいかがでしょう!
実際のサウンドはこちらから!
Ibanez ( アイバニーズ ) / TS9 Tubescreamer チューブスクリーマー
オーバードライブの歴史を語る上で、BOSS SD-1と双璧をなす存在、それがIbanezのTS9 Tubescreamerです!
世界中のギタリストに愛され、SD-1と同様に、数えきれないほどのレコーディングやライブで使用されてきました。「TS系」という言葉があるほど、そのサウンドは一つのジャンルを確立しています。
TS9もSD-1と同じく、DRIVE、TONE、LEVELの3つのシンプルなつまみを備えており、操作で迷ってしまうこともないでしょう。
サウンドの特徴は、中音域がグッと持ち上がる、独特の「ミッドブースト」です。このミッドブーストのおかげで、バンドアンサンブルの中でも音が埋もれることなく、存在感のある太いサウンドを生み出します。SD-1と比較すると、より中音域を強調したサウンドメイクができます。
オーバードライブとして使うのはもちろん、すでに歪ませたアンプの前に置いてブースターとして使うのも定番です。TS9をオンにするだけで、リードギターを弾く時に音が前に出てきて、さらにサスティーン(音の伸び)も豊かになります。
SD-1とはまた違った個性を持ち、多くの名プレイヤーに愛されてきたTS9。この1台から、歪みとは何たるかを追求していくのもいいのではないでしょうか!
実際のサウンドはこちらから!
PLAYTECH ( プレイテック ) / Leo Drive オーバードライブ
最後にご紹介するのは、サウンドハウスがプロデュースするブランドPLAYTECHから販売中のオーバードライブ「Leo Drive」です!
何といっても圧倒的なコストパフォーマンスが大きな魅力ですね。「まずは安価なペダルでオーバードライブを試してみたい」「でも、安すぎるものは音が不安…」そう思っている方にこそ、自信を持っておすすめできる1台です。
ツマミを見てみると、これまで紹介した2機種とは異なり、LEVEL、DRIVE、TREBLE、BASSの4つとなっています。イメージとしては、先の2機種でいうところのTONEノブが、本機だとTEBLE、BASSに分けられているというような感じです。そのため、高音域と低音域をより細かくサウンド調整できます。この価格帯で2バンドEQ機能が搭載されている歪みペダルはあまりないので、魅力的です。
サウンドとしては、嫌みのない細かい歪み感が特徴で、粒立ちがよく耳なじみのある安心するドライブ感が特徴。また、ピッキングニュアンスへの追従性も優れており、ギタープレイに合わせた柔軟な歪みを生み出してくれます。邦ロックやポップな音楽が好きな方には特に相性がいいかなと思います。
色々な場面で活躍すること間違いなしの、優等生的なオーバードライブとなっており、何を買えばいいかわからないと感じている初心者の方にはまずおすすめしたい1台です!
実際のサウンドはこちらから!