何をもって"いい音"というのは人それぞれ好みも違いますし、狙っている音のポジションも異なります。よって、これが"いい音"と言いきることはできませんが、ここではエフェクターの役割や音作りのポイント、狙いなど、より詳細な部分について、エフェクター初心者の方向けに書いていきたいと思います。
【初心者向け】足元の宝石 ちょっとマニアックなエフェクター講座
第1回 オーバードライブ編
第2回 ディストーション編
第3回 ワウペダル編
第4回 フェイザー編
第5回 パッチケーブル編
第6回 電源アダプター編
まず、ギタリストがいつまでも悩む定番、歪み系エフェクターについてです。歪み系は大きく分けるとオーバードライブ、ディストーション、ファズに分類されます。今回は中でも一番種類が多い、オーバードライブについてです。
オーバードライブとはギターの音を“歪んだ”音に変えるエフェクターです。アンプのボリュームをあげれば音が歪み、ロックに向いた迫力のある音が出てきますが、音が歪むところまで音量を上げることが難しいアンプが存在します。音が大きくなり過ぎてしまうということです。オーバードライブを使うと、そういうアンプでも気軽に、小音量でも歪ませることができます。と、いったような情報を色々な場所で読んだり、聞いたりしたことがあるかもしれません。でもこれはアンプが歪んでいないことを前提にした説明です。細かく言えばアンプはちょっと歪んでいるけど物足りない、そこに歪みを追加するものといった考え方にすると音作りも成功しやすいです。安易にGAINを上げてしまうと歪ませ過ぎになり、ハウリングが止まらなくなったり、ボリュームはとても大きいのに、バンドで合わせると音が聴こえない(音抜けが悪い)といったことに陥ります。オーバードライブは、組み合わせるアンプの歪み具合によって微調整することが必要です。ですから同じアンプと組み合わせる時でも、アンプ自体のボリュームを変えれば、エフェクター側のセッティングも変えていかなければなりません。これはアンプがトランジスタなのか、チューブなのかでも大きく異なります。
そしてオーバードライブといっても、その歪みの幅は非常に大きいのです。初めて歪み系のエフェクターを選ぶ時、「歪ませたいからオーバードライブが欲しい」といって定番のエフェクターを購入。実際にアンプにつなぐと「あれ、全然歪みが足らない」となる相談を今まで何度も受けてきました。雑誌などで好きなアーティストの足元に置かれたエフェクターを選んだものの、CDで聴くあの音とはかけ離れてしまう。実はそれは上記で説明した通り、アンプとの組み合わせによるサウンドの為、エフェクターだけでは対応できなかったりするのです。しかも自宅練習時の小音量で近い音を出したい等、環境が違えば選ぶエフェクターも当然変わってきてしまいます。オーバードライブを選ぶ際には、狙いたい歪み量、組み合わせるアンプ、出せる音量を予め明確にしておくことで、最適なモデルを選ぶことができるでしょう。
続く...