1. はじめに
みなさんこんにちは。サウンドハウス営業の高瀬です。
今回はステージ照明に使用される調光ユニットの役割と調光の仕組みについてご紹介します。
2. 調光ユニットとは?
舞台照明、ステージライティングの現場では、白熱電球やハロゲン電球を使用したパーライトが盛んに使用されてきました。 このパーライトは
電源を供給すれば、ランプが点灯電源の供給が無くなればランプが消灯
というシンプルなものです。
しかし、舞台照明、ステージライティングでは、照明の光量が0%か100%のみでは演出を行うのが困難です。
じわじわと光量を上げ、ステージを盛り上げたり、曲の雰囲気に合わせて適正な光量にしたりと、光量を調整する必要があります。
そこで!調光ユニットの出番です。
■LITEPUTER / DX-401A3. 調光ユニットの仕組み
調光ユニット内部にはトライアック(サイリスタの一種)が搭載され、このトライアックの働きが鍵となります。
下記は交流電源(日本では100V50/60Hz)の波形を表したものです。

ストレートに考えると、波形(上下の山)を小さくすれば調光できそうですよね。
実際にこの方法は「スライダック方式」の調光で採用されています。
しかし、スライダックは大きく、重たく、高価であるため、より安く、手軽に調光できるサイリスタ(トライアック)調光がステージ照明では多く使用されています。
下記がサイリスタ(トライアック)調光の仕組みを表したものです。

このように高速でトライアックがONとOFFを繰り返すことにより、調光を行います。
ONとOFFの比率が明るさを決めるのです。
この図だけ見ると、「これだと点滅してしまうのでは…?」と心配になりますが、実際には超高速でON,OFFを行っているため、点滅しているようには見えません。
4. 調光ユニットと灯体、コントローラーの接続
調光ユニットとパーライトは下記のように接続して使用します。
シンプルでわかりやすいですね。

下記のようにフェーダーを搭載した調光ユニットもあります!
別途DMXコントローラーが無くとも、この調光ユニットだけで調光を行うことができます。
5. サイリスタ(トライアック)調光ユニットに接続できないもの
前述のような接続ができることから、家庭用電源タップのように、他の電気製品にも使いたくなりますが、実はこれはNGです。特にLEDやモーターは接続できません。
その理由は、「3.調光ユニットの仕組み」で説明したとおりです。
・内部でON、OFFを高速に繰り返しています。
誘導性負荷であるモーターは一時的なオフにより急激な高電圧が発生し、
機器に悪影響を与える可能性があるため使用できません。
・サイリスタ(トライアック) 調光ユニットは交流電源の位相を調光しているため、直流電源で動作するLEDは調光できません。
6. まとめ
いかがでしたか?波形が出てくるとなんだか難しそうに見えてしまいますが、構造を理解すると、照明演出の世界がまたぐっと近づいて楽しく感じませんか?この記事が調光ユニットの使用、購入を検討されている方の参考になれば幸いです。