2020年にリニューアルオープンしたばかりの東京都現代美術館で、ダムタイプ「アクション+リフレクション」展が開催されていたので行ってきました!

東京都現代美術館は清澄白河駅が最寄りの駅になり、駅周辺は下町の情緒がありながらも最新のカフェや雑貨屋が点在していて、日曜日だったこともあり活気に満ちていました。ブルーボトルコーヒーの日本第1号店ができたあたりから一気に街が勢いづいたイメージがありますね。
せっかくなので名物の深川飯を食べたいと思い、ランチで混み合う前に開店時間に合わせて「みや古」に行ってきました!(最寄りは森下駅ですが...) 深川飯は汁気たっぷりの雑炊タイプと炊き込みご飯タイプと2種類ありますが、個人的には炊き込みご飯タイプが好みのため、「みや古」の深川飯はどストライクでした!歴史を感じさせる趣あるせいろに、あさりの香りが充満して最高のランチとなりました。


ランチレポートをしたかったわけではないので本題の東京都現代美術館に戻ります…
Dumb Type(ダムタイプ)は、一言で説明すると、コンテンポラリーダンスに映像を加えたパフォーマンス集団。
建築、美術、デザイン、音楽、ダンスなど異なる表現手段が一堂に会して、芸術表現の可能性を開拓しています。ジャンル的には「メディア・アート」に分類されることが多いです。
1984年に設立された集団で、かなり長い歴史を持っているわけなのですが、その表現は極めて前衛的で、20年前の作品を今見ても全く古臭さを感じません。
世界的にも高く評価されていて、2018年にはフランスのポンピドゥー・センターにて大規模な個展が行われました。
解説しだすと小難しい表現になりがちなので、逆になるべく感覚的に楽しめる作品だということを強調していきたいと思います!
音楽では、自分にとってフェイバリットアーティストの1人でもある池田亮司も参加しています。 あくまで「サウンド」ハウスのブログですので、まずはダムタイプ展をレポートする前に、池田亮司の音楽からご紹介します。
メロディーやコードは一切なく、リズムもあるけどそれは決してノれるようなものではありません。
音楽と言っていいのかさえも議論のあるところかもしれませんが、これが純粋に気持ちいいんです!!
かなり現代アート的な作品で、アカデミックな論理の上に成り立っているようですが、そんな論理をすっ飛ばして覚醒的に心地よいサウンド。
本来なら音楽では使わないような超高音域や電子ノイズで構成されていて、聴覚が開拓されていくような新感覚の音楽です。(といっても池田亮司は1996年ごろからすでにこういった作品を発表しています)
「電子ノイズ」という言葉を使うと荒っぽく感じますが、そのサウンドは極めて緻密かつ繊細で、聴く位置やスピーカーとの角度次第で違う音がするほどに位相まで計算され尽くされています。顔の角度を変えるだけで本当に音が変わるので、ぜひ試してみてください!(3:00辺り)
音楽をご紹介したところで、これに加えて映像、建築、コンピューター・プログラム、ダンス、デザインなど様々な分野の前衛性をかき集めて統合したような表現がDUMB TYPEです!!
主宰者で演出家の古橋悌二のコンセプトは著書など読んでみると非常に難解なのですが、鑑賞する側としてはそこまで理解していなくても十分楽しめます。
抽象性の高い表現なので、自分で感じたままに解釈することができます。
とはいえ正直なところ意味不明で楽しめないものもありましたが、全体的にアトラクションとしてもとても楽しかったです!
特に面白かった3作品をご紹介します!
『Playback』


16台のターンテーブルとスピーカーを組み合わせた装置が整然と美しく並んでいます。ターンテーブルには透明のレコードが置かれていて、時折光るのと同時に音声が再生されます。
その装置の美しさに、「何をする装置なんだろう?」と純粋にワクワクします。
16台がランダムに音声が再生され、止まり、時には複数台が同期します。それぞれの装置が無関係なようで何らかの関係性がプログラムされているようです。
装置の中心に立ってみると、色んな角度から色んなことが起こるので、ある意味世界の縮図を見ているようです。
なかなか人の多い美術館では難しいですが、集中して一人でじっくり鑑賞したい作品です。(平日がいいかもですね)
『TRACE/REACT II』
Dumb Type new installation: TRACE/REACT ⅡDumb Type new installation: TRACE/REACT Ⅱ until 16 FEB, Museum of Contemporary Art Tokyo https://www.mot-art-museum.jp/en/exhibitions/dumb-type-actions-reflections/ ダムタイプ新作インスタレーション(東京都現代美術館、2/16まで) https://www.mot-art-museum.jp/exhibitions/dumb-type-actions-reflections/
Shiro Takatani 高谷史郎さんの投稿 2020年2月5日水曜日
四方の壁にただただ無数の言葉が投影され、それらがランダムに動き回っている作品です。
床も鏡面になっていて、足元にまで言葉が投影されることから、まるで無重力のような、溺れているような不思議な感覚でした。
映画『インターステラー』で時空を超えるシーンがありましたが、まさにその空間に自分が立っているような感覚。
投影される言葉は相互の関係性によって位置が決まっているということでしたが、情報の渦に溺れながら生活する現代を表現しているのでしょうか。
『MEMORANDUM OR VOYAGE』
「MEMORANDUM」、「OR」、「VOYAGE」の過去3作を一つにまとめてリマスターされた映像作品。
横15m、縦1.5mぐらいの超横長ディスプレイに、「壁」や「文字」や「人」が投影されます。
先ほどご紹介した池田亮司の電子ノイズとリンクして、ダイナミックに映像が変化します。
これが一体何を表現しようとしているのかはよくわかりませんが、作品によって時間をコントロールされているような感覚がありました。
例えば、人が寝ている静止画像が10枚ほど横に並べられていて、これが静かに、順番に投影されていくのですが、しばらくしてある瞬間に、ストロボの連続と共に、静止画像の人たちが一瞬だけ動き出します!
まるで蘇ったかのような、一瞬だけ時間が動き出したような、奇妙な体験でした。
別のシーンでは、画面全体が一気に小さな文字で埋め尽くされ、その文字を土台にして地図に変わっていくという場面がありました。
『TRACE/REACT II』でもあったように、言葉や情報との関わりが大きなテーマなのだということがよくわかります。
この超横長ディスプレイは、現実なのか映像なのかよくわからなくなるような没入感があって、まるでVRのアトラクションかのように楽しませてくれました。
ちなみに常設展では草間彌生の作品で一部屋分占められていて、こちらも大変刺激的な空間でした。
草間彌生の作品はエキセントリックなものばかり取り上げられがちですが、ここでの作品はシンプルな絵画作品が多く、却って生々しく、作品の勢いを感じました。
こういった作品群を鑑賞することで改めて自分の現状を俯瞰できるので、生活を見つめ直す意味でも、大事な時間だと改めて感じた展示なのでした。
なお、ダムタイプ「アクション+リフレクション」展は2/16で終わってしまいましたが、3/28、29にはロームシアター京都にてなんと18年ぶりとなる新作パフォーマンスが発表されます!!!(関東でやってくれないかなぁ...)
https://rohmtheatrekyoto.jp/event/54320/
この令和の時代にあってもまだ、ダムタイプから目を離すことはできなさそうです。