古楽器の演奏や作編曲に活躍する中迫酒菜さん。
サウンドハウスから発売しているPLAYTECHリコーダーのレビューを依頼すべく制作現場を訪問しました。対談の中から一般的なリコーダーに関する知っているようで知らなかった3つのトピックについて紹介します。
古楽器を中心に300台以上の管弦打楽器を所有する中迫さん。

Youtubeでも多数演奏されているリコーダーについて演奏を交えて楽しく解説していただきました。
■リコーダーの選び方

みなさん、リコーダーにソロ向きとアンサンブル向きの楽器があるって知っていましたか?
リコーダーがアンサンブルで多用されるようになったのはルネサンス時代以降なんですって_φ(. .)
ルネサンス時代のリコーダーアンサンブルは、こんな音がします。
バロック時代はオーケストラのソロ楽器として活躍していたようです。
アンサンブル向きの楽器は柔らく、溶け込みやすい音色です。ソロ用の楽器は明瞭なサウンド。
楽器のモデルによって音程や音色、運指も異なってきます。
多くの楽器はブレッサンやデンナーなど17~18世紀頃の銘器を参考につくられているため、アンサンブルには同じ系統の楽器で演奏する方が音程を揃えやすいでしょう。
ブレッサンをモチーフとしたゼンオンのG-1A

デンナーをモチーフとしたモーレンハウエルの5006

もちろん高音を際立たせたい、低音を魅せたいなど曲によって変化があるので奏者によってはメーカーやモデルを使い分けて演奏します。
■録音のコツ

リコーダーをはじめとする古楽器は全般的に音量が小さいためノイズが乗りやすいのが特徴です。
木管楽器の一般論になりますが、ベル(口元から遠い方の管体の穴)にマイクを向けると低音が際立って高音が痩せてしまいます。
これは最低音以外の音はトーンホール(音孔)からも出ているからなんです。
とは言ってもトーンホールにマイクを向けようとすると、マイクに向いていないトーンホールの音は曇ったり音量にバラつきが出てしまうなど、弊害が起きやすくなります。
リコーダーに限っては頭部管の窓の辺りを狙うと音色は荒れますがバランスが整います。ノイズを拾わないように離れたところにセッティングすると良いでしょう。
スタジオや教会の録音では、かなり距離を置いているそうです。海外の演奏投稿動画が参考になります。
中迫さんはRODEのNT5を使っていました。カプセルが湿気に弱いので気を使っているそうです。
■楽器の保管

木製の楽器は湿度管理が大切。50%を保つように楽器用の湿度調整シートを入れ、トランペットケースのような木の箱に入れていました。
中迫さんの使用品とは異なりますがサウンドハウスでも湿度調整シートを取り扱っています。
Boveda ( ボヴェダ ) / B49
楽器の場合、湿気取りと乾燥予防の両機能を持っているのがベストです。
もうひとつ、驚いたのが電気毛布

木製の楽器が冷えないようになのかな、と思いきや樹脂製の方が冬は暖めないと吹きづらいとのこと。
(?_?) ナンデダ?
管楽器は息がパイプの中を通るので吹いているときは、おおよそ人肌の温度まで温かい状態になります。
木製の楽器は管体が水滴を吸ってくれるものの(割れのリスクがあるので注意しましょう)樹脂製は結露が溜まると音が出なくなるんだそうです。
アンサンブルで持ち替えがあるときは、台の上に電気毛布を敷いておくと良いでしょう。
移動などのときはケースに入れた状態で毛布にくるんでおけば安心ですね。
木製楽器のオイリングは食用のオリーブオイルを使っていました。
もちろん楽器用のボアオイルも使えるのですが低音楽器になると小瓶を一瞬で消耗してしまうことも理由のようです。
いかがだったでしょうか?
知れば知るほど奥が深いリコーダーの世界。
サウンドハウスでも取扱いを拡大していますので気になるアイテムが、きっと見つかることでしょう。