
数少ない私の読者の皆さん。毎回毎回、長文にお付き合いいただき誠にありがとうございます!
シタールやタンブーラのサウンドをギターで楽しむことができる魔法のペダル、Ravish Sitar。
このエフェクターをご紹介するブログシリーズも第7回目を迎えました。
今回は、主に1970年代からのプログレッシブ・ロックシーンで活躍してきたバンドによる、眩いラーガ・ロックの数々を、ユーロ・ロックシーンの作品も含めてご紹介いたします。
プログレッシブ・ロックの作品にあるインドテイスト・ナンバーという、異色な存在とされる曲ばかりのため、「こんなのプログレじゃない!」と思う方もいらっしゃるかも知れません。
しかし1970年代の音楽シーン。それも長尺曲をメインとしたロックのアルバムの中でも、インドの楽器シタールとタンブーラが活躍した曲が、輝かしい存在感を放っているということを、作品を聴いていて改めて感じた次第です。

ペダルの使い方は簡単です。このブログシリーズの第1回目に使用方法をほんの少しご紹介しているのでよければご参照ください。
今回ご紹介する曲の中には、トランシーだったりスペーシーだったりするナンバーもあり、SYMPTHETICのレベルを大きめに設定し、フェイク感を出しながら弾いてみました。
曲はどれも動画やCDなどで聴ける曲ばかり。オフィシャル動画のあるものは一緒に掲載しました。
このブログがラーガ・ロック、そしてRavish Sitarへ興味を持っていただけるきっかけになれば幸いです。
■Cluster And Eno / One (1977)

ロキシー・ミュージックの初期メンバーにして、U2やコールドプレイのプロデューサーとしても知られるブライアン・イーノ。そしてドイツのクラウトロック・グループ、クラスターのコラボレーションによって制作されたアルバムの中で、シュールにインド楽器が鳴り響くラーガ・ナンバー。
タンブーラとシタールの響きと、東南アジアの楽器と思われる様々な音色とが、まったりと融合するアンビエントなナンバー。
ベルリン時代のデヴィッド・ボウイのインストナンバーに、シタールを導入したらこんな雰囲気にもなったのかなと夢想してしまう、これぞラーガインストのお手本!
SYMPATHETICのダイヤルを強めに回して、少しシンセ寄りなサウンドにしてプレイするのも楽しいと思います。
■Holger Czukay / Persian Love (1979)

惜しくも一昨年亡くなったCANのメンバー、ホルガー・チューカイのソロ・アルバム「Movies」に収録された、不思議でトロピカルな1曲。イントロにシタールがほんのり乗った、無国籍で、どこまでも現実離れした心地よいナンバーです。フランス語のナレーション、そしてアジアンテイストな歌が耳を引きます。この辺りはCANの影響を強く受けた元P.I.L.のベーシスト、ジャー・ウォブルによる作品にも通じる多国籍グルーヴ。シタールがないパートも、リバーブをかけ、レコードにあわせて弾いてみたら実にオシャレに感じました。
■Klaatu / California Jam (1975)

さて、ドイツ発のワンダー・トリッキーなラーガ・ロックを2つご紹介した後は、一転してポップなキラーチューンを。カナダのプログレッシブ・バンド、クラトゥの1stアルバムから秀逸なラーガ・チューン。プログレッシブでありながら、その秀逸なメロディやポップセンスと、匿名性を貫いた作品クレジットから、当時はビートルズが覆面で再結成して制作したアルバムなのではという噂もあったそうです。アルバム二曲目の「California Jam」におけるラーガ・イントロは、このブログのソフトロック編でご紹介した、レモン・パイパーズの「グリーン・タンバリン」さながらの美しさ!エレクトリック・シタールかとおもわれる、実にポップマジック溢れるイントロです。ギター初心者の私は、レコードに合わせてまず中低音をビーンとタンブーラ風につま弾いているだけでも、この上ない幸福感に浸れました。このイントロを弾くために、Ravish Sitarを買う価値があると言っていいでしょう。この曲をカバーする際は、アウトロにもう一回このイントロを持ってきて長く、長く弾きまくりたいです!
■Yes / It can happen (1983)

ピンク・フロイドや、キング・クリムゾン、EL&Pと並ぶイギリスの代表的プログレバンド、イエス。彼らの大ヒットアルバムかつ、問題作となった1983年の作品「90125/ロンリー・ハート」からの第二弾シングルナンバーです。幻想的なイントロは、MTV時代らしいビデオとマッチしたのか、当時よくテレビで流れていたのを覚えている方も多いかと思います。シタールやタンブーラを用いた幻想的なイントロは、デジタル・ミュージックが中心だった当時の音楽シーンにおいては新鮮でした。
シタールからタンブーラの中~低音まで鳴らす高速アルペジオは、初心者の私には再現が少し難しいパート。しかしミニマルなシタールのメロディをイントロやサビで弾いていくのは至福の時です。何度か登場するシタールイントロに絡んでいくベースもカッコいいので、ベーシストと楽しんでプレイしましょう。
久々にレコードを聴きながら、Ravish Sitarで弾いていると、プロデュースを担当したトレバー・ホーンの秀逸なマーケット戦略をも感じるほど、楽しい番外編的なプログレッシブ・ロックナンバーだと思います。
■Brand X / SUN IN THE NIGHT(1977年)

さて、今回最後にご紹介しますラーガ・ロック。弊社のコラムでもお馴染み、ジェネシスコレクターで究極のトリビュートバンドも人気の、なかじまやすおさんから教えていただいた、裏プログレ・チューンを。
フィル・コリンズが参加したことでも知られる、ジャズロック的なアプローチが人気のプログレ・ユニットによる2作目から少し異色なナンバー。ジャズロックならではのグルーヴィーなテンポにのって、タンブーラとシタールがきらきら輝くイントロ。最初にご紹介した2曲を、バンドで楽しめるようにしたようなおすすめのナンバーです。若きフィル・コリンズの歌声とからむシタールメロディ、アウトロのシタールソロ部分も絶妙なインプロで、レコードに合わせて弾いていると、このペダルをお持ちの方だったらもっと弾きたいという衝動にかられるでしょう!
さて、第7回目を迎えましたこのブログシリーズ。もう今後はないだろうと思っている方!
第8回目も予定しています!次回は1990年代のインディー/オルタネイティヴ・シーンで花開くラーガ・ロックチューンをご紹介いたします。
それではまた、ブログでお会いしましょう。