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宇和島のおばちゃまの話に感動! 愛媛県の県民性は人なつこいのか?とふと考える

2024-03-31

テーマ:サウンドハウス創業者のコラム「Rickの本寝言」

Rickの本寝言 サウンドハウス創業者が本音をついつい寝言でつぶやく!

四国八十八ケ所霊場を自分の足で回り始めて14日。既に711㎞を走破してきた。残り8日、合計22日で何とか全部の札所を巡り回りたいと願っているが、果たしてそこまで体がもつかどうかわからない。だからこそ自分の体にかけるしかないので、日々、トレーニングに努めている。走っていない人にはわかりづらいだろうが、長距離を走るには、普段から走って足だけを鍛えれば良いと言う訳ではない。体全体を支えるために腹筋や背筋を含め、全身の筋力トレーニングをしなければ、10時間ほぼノンストップで走り続けることが難しくなるのだ。だから暇さえ見つければ、1日30分だけでも筋トレに励んでいる。

そのトレーニング歴も、なんと、遂に半世紀を超えてきた。まあ、よく続けられるねと、自分でも不思議に思うことがある。でも、トレーニングをすることにより、いつも体はしまった感じがあり、体脂肪も10%台をキープし、お腹がだぶつくこともなく、気持ちがいいものだ。一度、筋力がついてきて体の活性化を体験すると、その良い気分が忘れられなくなり、いつもキープしようと思うようになる。だからみんなにも走ることを勧めたい。健康年齢を保つ秘訣は、足腰を強くし、体全体の筋力を保つことにつきる。

さて、本題に入ろう。四国全体の遍路道を走り回り、その途中、町々を訪れる際に、多くの人たちと出会う。その出会いを通して、ふと、県民性の違いを感じることがある。よく聞くことだが、徳島県民は排他的な傾向があるという。県外から徳島を訪れる自分も、これまで確かに、幾度となく体験してきている。簡単に言うと、よそ者は来るな、という感情をむき出しにするような人達に出くわしたことがこれまで多かった。

排他的になる原因は、いろいろとあるようだ。おそらく自分たちの存在に自信がないことの表れではないかと考えている。もし自分の存在に自信があり、自尊心がある故に、いつも主体性をもった考え方を貫くことができるならば、周りの人達がどうであっても影響を受けることがなくなってくるはずだ。そして自分自身の存在価値を知っているだけに、周りの人と接する時も、状況を省みながらごく普通に、時には親切に応対できると思う。言い換えれば、徳島県民がもし排他的であるとするならば、それは自分自身に自信がないことの表れと言える。もしかすると教育レベルの低さに起因する劣等感や、県外の日本を知らないことに起因する孤立感なども影響しているかもしれない。徳島にはもっと、自信をもってもらいたいものだ。

その徳島に比べると、愛媛の県民性は、もう少し外部の人達に対して大らかに開かれているように見受けられる。まだ、愛媛の出入りは序の口だが、思いの他、出会う人々には親切な人が多いし、とにかく声をかけやすいし、声をかけてくれる方も少なくない。また、遍路を走ってきているというだけで、一種のリスペクトで自分を見てくれているようであり、行く先々ですれ違う人たちが挨拶をしてくれるのも嬉しい。特に10代の若い世代のあいさつ教育がしっかりしていることは、好感度が高い。

さて、そうこうしている内に、遍路道ツアーも遂に14日を迎えることとなった。既に難関と思われた足摺岬までの86㎞というロングランを克服。そして折り返し、足摺岬から宿毛、宇和島への125㎞を2日で走破。よって14日目は、四国の西の端、宇和島から伊予大洲までの50㎞にチャレンジすることになる。その先には四国八十八ヶ所札所の第44番大寶寺への厳しい山道が待ち構えている。

3月28日、羽田空港を3時過ぎに飛び立ち、松山空港へと向かい、JR松山駅からは汽車で宇和島へと向かった。午後19時ちょうどに宇和島駅に到着。すぐに会社のZoom会合をこなし、翌日の50㎞走に備えて腹ごしらえをするために、事前に予約を入れていた「ほずみ亭」へと向かった。先週、宇和島に到達した際に、夜は「ほずみ亭」で食事をしたかったのだが、満席で入れず。宇和島では一番人気の居酒屋であり、とにかく美味しいという評判は口コミからもわかることから、是非ともそこで食事をと、馳せ参じた。

カウンターに広々とした一席が用意してあり、そこに座ってメニューを眺めることにした。美味しそうなものがずらりと並ぶ。早速、小海老塩ゆで450円、酢の物380円、そして刺身の盛り合わせ1人前をいただくことにした。酢の物はあまりに安いので、具は何が入っていると気になっていたところ、何と、海藻サラダの酢の物であった。それでも美味しいことに変わりはない。ビールと実に良く合う。そして美味しく御馳走を頂いている時、後ろを通りかかったお店のスタッフに追加の水とお酒を注文しようと声をかけると、その方が話しかけてきてくれた。

一見、70代のおばさま風の方だが、一生懸命配膳をされていて、仕事熱心であることがすぐにわかった。そして話を聞いていると、その口ぶりからすぐに、この方がお店のオーナーであるような気がしてきた。かわいらしいおばさまなので、ここからは慣れ慣れしく「おばちゃま」と呼ぶことにする。おばちゃまとはすぐさま遍路の話になり、これから龍光寺、仏木寺を通って伊予大洲へ向かう話をすると、おばちゃまは唐突に空海の話を始められた。無論、こちらはカウンターで食事をしている最中だから、その左後ろから話しかけてくるのだ。

おばちゃまによると、地元には空海の伝承が残されており、実は空海は九島を聖地にしたかったとのこと。今日、九島は宇和島とは九島大橋で繋がっていることから、行き来はしやすくなっている。が、古代は違って九島が聖地と思われていた時代があったそうな。ところがある時、鳥が「コケコッコー」と鳴いたことから、空海は札所となる場所が九島ではないことを悟り、龍光寺、仏木寺への流れになったとのこと。実に面白い話だ。

そこからおばちゃまとはさらに話がはずみ、日本酒の話題でもりあがった。「ほずみ亭」には愛媛の地酒がたくさんおいてある。愛媛ではまず、石鎚が筆頭にあがることから、石鎚の純米酒からいただくことにした。隣のお客さんは、生酒で「伊予の恋心」を300mlのボトルで飲まれていた。メニューには宇和町と書いてあったので、おばちゃまに「伊予の恋心」は地元でも有名なお酒ですかと聞いてみると、宇和町は近くの地元ではなく、かなり遠くの町ということ。実際に地図で見ると、20㎞ほど北方の宇和盆地に酒蔵は存在していた。そして酒の話を続けていると、この店がイチオシしている「野武士」というブランドの話になった。

野武士の酒蔵は宇和島に隣接する松野町にある。おばちゃまによると、そもそも今日でも松野町と、隣の鬼北町は仲が良くないとのこと。よって以前、町が合併する話がもちあがった時でも、どちらに町舎を置くかで意見がまとまらず、物別れになったそうだ。もともと松野町の男たちは武士であったが、時代の流れでいつのまにか百姓をしなければならなくなった。それでも「俺たちは武士だ、野武士だ」という思いは、みなさんもっていたそうだ。そのプライドと思い入れを、この「野武士」という酒のブランドに込めているとのこと。よって、お店の表示看板には「この町では古くから闘牛が盛んで唯一の娯楽でもありました。当時、私方も闘牛を飼い、「野武士」と名付けて闘わせていました」と書かれている。闘う思いが込められたお酒が、自製の清酒、「野武士」となったのだろう。

こんな話でおばちゃまとは盛り上がった。おばちゃまを独り占めしてすいません。後からお店のスタッフに、あのおばちゃまはこの店のオーナーですよね?と聞いてみると、やはり、「ほずみ亭」社長のお母さまであられるとのことでした。ああ、また「ほずみ亭」に行って、もっとおばちゃまとお話がしたい!こんな和やかなひと時を、伊予大洲までの50㎞を走る前夜、楽しむことができたのは幸いだった。確かに翌日の50㎞走は、山越えあり、本格的な登山道あり、長距離の上り坂もあり、制限時間もあったことから非常に苦しい戦いとなった。それでも、こういうひと時があると思うと、やっぱり愛媛まで来て良かったな、とつくづく思える。まだ500㎞は残っている遍路道だが、これからもがんばり続けることにする。

Rick - 中島尚彦 -

1957年東京生まれ。10代で米国にテニス留学。南カリフォルニア大学、ウォートン・ビジネススクールを経て、フラー神学大学院卒。GIT(Guitar Institute of Technology)第2期生のギタリスト。80年代にキリスト教会の牧師を務め、音楽ミニストリーに従事しながら、アメリカで不動産会社を起業。1989年、早稲田でライブハウス「ペトラクラブ」をオープン。1993年千葉県成田市でサウンドハウスを創業。2001年、月間地域新聞日本シティージャーナルを発刊。主幹ライターして「日本とユダヤのハーモニー」の連載をスタートし、2010年よりwww.historyjp.com を通じて新しい切り口から古代史の流れをわかりやすく解説。2023年、一般財団法人サウンドハウスこどものみらい財団を創設し、こどもたちの支援にも従事。趣味はアイスホッケー、ピアノ演奏、トレイルラン、登山など。四国八十八ヶ所遍路を22日で巡る。グループ企業の経営指導に携わるかたわら、古代史の研究に取り組み、日本のルーツ解明と精神的復興をライフワークとする。

 
 
 
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