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トゥルーダイバシティ接続で確実な音声伝送 ラックマウントにも対応したアナログワイヤレス「XS Wireless 2」

2022-03-04

テーマ:音楽ライターのコラム「sound&person」, 音響機材

<XS Wireless 2シリーズのハンドヘルドXSW 2-835>

MD 421などのマイクで名を馳せる老舗マイクブランドSENNHEISERは、ワイヤレスマイクのブランドとしても不動の地位を築いています。そのラインナップは自治会のイベントでも気軽に使えるエントリーモデルから、放送局などプロフェッショナルな用途にも耐えうる完全業務用まで幅広いラインナップを誇ります。

こちらの記事で紹介する「XSW 2-835」は、免許不要のB帯を使用するアナログワイヤレスマイクで、「XS Wireless 2」シリーズに含まれるモデルです。エントリーモデルの「XS Wireless 1」シリーズ「XSW 1-825」の上位機種にあたります。「XSW 1-825」に対し信頼性やセットアップの柔軟性に優れるスタンダードモデルとなりますが、その詳細を比較しながら確認してみたいと思います。

ラックマウントに対応した受信機

<本体のネジを外して装着する 右は延長アングル>

パッケージには当然マイクユニット(送信機)と受信機が含まれますが、「XSW 2-835」の場合はラックマウントアングルもパッケージに含まれます。ラックマウントアングルを用いることで受信機のラックマウントが可能になり、19インチラックケースに入れての運搬や保管が可能になります。

<付属の金具で2台連結できる>

さらに受信機2台を連結するアダプターとネジも付属。受信機はハーフラックサイズとなっているため、1Uに2台を収めることが可能です。業務用途で使用するためには運搬、保管などを考慮することが必要ですから、ラックマウントへの柔軟な対応は重要なポイントとなるでしょう。

トゥルーダイバシティ方式を採用した受信機

<受信機のアンテナは取り外しが可能>

下位機種「XSW 1-825(XS Wireless 1シリーズ)」との最大の違いは受信機です。

信頼性が高く拡張が可能な取り外し式のホイップアンテナを採用していることが「XSW 2-835」の特徴。トゥルーダイバシティ方式を採用しているため、内蔵アンテナによるアンテナダイバシティ方式の下位機種「XSW 1-825」よりも高い信頼性を誇ります。動きのあるライブステージなど、送信側の位置が移動し受信状況に変化が起こる現場では「XSW 2-835」を使用した方が安心できるでしょう。

<上位機種オプション(別売)が使用可能>

アンテナは取り外し可能でありBNCコネクタ接続であるため、上位機種のアンテナオプションが使用可能です。アンテナをラックマウントアングルのフロントに取り付ける「GA 2-XSW 2」をはじめ、スプリッター「EW-D ASA」や指向性アンテナ「ADP UHF」、無指向性アンテナ「A 1031-U」も使用可能ですので、予算や使用環境にあわせて拡張することができます。

<視認性の高い表示パネル>

受信機の表示パネルや操作子も上位機種に相応しい仕様になっています。受信状況とオーディオ信号レベルの表示も「XS Wireless 1」では点灯/消灯のみですが、「XS Wireless 2」は有機ELディスプレイでの5段階表示となり、状況の確認が容易です。視認性が高いため、日中の屋外や暗い屋内でも十分に表示が確認できるでしょう。出力音量の調整もボタン式ではなくダイヤル式となります。

現場にあわせた対応ができる3モードの周波数設定

<▼▲ボタンでモード変更>

周波数選択はスキャンモード/プリセットモード/チューンモードの3モードが用意され、現場の状況にあわせた柔軟なセットアップが可能です。スキャンモードを用いれば下位機種「XSW 1-825」同様に使える周波数を自動的に検出するため、誰でも簡単にセットアップを行うことができます。

<オートシンク機能で周波数設定を転送>

任意の周波数を選択したい場合はプリセットモードやチューンモードを使用します。受信機で周波数を選択したら、オートシンク機能を用いて送信機に設定を転送します。送信機の[SYNC]ボタンを押し、続いて受信機の[SYNC]ボタンを押せばシンクが完了します。送信機の周波数設定をオートシンク機能で行うため、送信機側に周波数設定をするための操作はありません。

業務用途に耐えうるスタンダードモデル

<送信機の感度調整スイッチ>

出力端子については、「XS Wireless 1」同様にXLRバランス出力とTSアンバランス出力を装備しており、様々な音響機器への接続が可能です。送信機側の感度調整や電池仕様に関しても「XS Wireless 1」と同様です。

<グリルを外すと精度高く組まれたマイクユニットが見える>

マイクユニットについては、「XS Wireless 1」シリーズの「XSW 1-825」ではSENNHEISER e 825マイクのユニットが採用されていましたが、「XSW 2-835」ではe 825の上位となる e 835のユニットが採用されており、周波数特性は50〜16,000Hz(-3dB)となっています。イベント用途だけでなく、ライブ用途にも十分に耐えうる音質です。

「XS Wireless 1」シリーズと比較すると以下のようになります。

  XSW 1 XSW 2
最大使用台数 7台※ 7台※
オートシンク機能
オートスキャン機能
設定モード スキャン スキャン/プリセット/チューン
送信機動作時間 単三アルカリ乾電池x2本/約10時間 単三アルカリ乾電池x2本/約10時間
ラックマウントキット ×
アンテナの種類 内蔵アンテナ 外付けホイップアンテナ
ダイバーシティ アンテナダイバシティ トゥルーダイバーシティ
マイクカプセル e 825 e 835

※送信機と受信機の距離を5m以上、送信機同士の距離を20cm以上離しての使用に限る

「XS Wireless 2」シリーズ、「XSW 2-835」は、「XS Wireless 1」シリーズの手軽さはそのままに、継続的かつ様々な環境での使用に対応したモデルであると言えます。1年に1回のイベントであれば「XS Wireless 1」でも十分に対応が可能ですが、様々な環境で使用するPA業務用途などの場合は、保管、運搬、現場対応能力などの面で優位性をもつ「XS Wireless 2」シリーズを積極的に検討すべきでしょう。「XS Wireless 2」シリーズには「XSW 2-835」の他、ピンマイク(ラベリアマイク)タイプの「XSW 2-ME 2」、ヘッドセットタイプの「XSW 2-ME 3」もラインナップされていますので、用途にあわせて選択し、独自の業務用ワイヤレス・システムを構築してみてはいかがでしょうか。


コラム「sound&person」は、皆様からの投稿によって成り立っています。
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小泉こいた。貴裕(SoundWorksK)

サウンドコーディネーター(レコーディングエンジニア・プロデューサー)およびミキシングを中心にレコーディングからマスタリングまで手がけるマルチクリエイター。
WEB https://soundworksk.net/

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