<IE 100 PRO BT BUNDLE >
SENNHEISERのプロフェッショナル向けイヤホンシリーズの最新モデル、“IE 100 PRO BT BUNDLE”が発表されました。
■ SENNHEISER / IE100PRO BT BUNDLE レッド ワイヤレスイヤホン
筆者は下位モデル“IE 40 PRO”を愛用していたのですが、iPhone 12 miniへの機種変更をきっかけに直接接続できなくなってしまいました。
<愛用しているIE 40 PRO>
Lightning – ステレオミニプラグ変換アダプターを使えば良いのですが、あまり音質的に信用できず躊躇していました。音質に懸念のある変換アダプターを使うくらいならワイヤレスのイヤホンを入手してしまおうか。そんなことを思っていたところ、上位機種の“IE 100 PRO”しかもBluetoothでのワイヤレス接続対応モデルがリリース。早速試す機会をいただくことができました。
驚くほど簡単にワイヤレス化。仕事に使える高音質ワイヤレス。
届いてみるとパッケージは“IE 100 PRO”と“IE PRO BT CONNECTOR”の2製品がセットになったもので、これが”BT BUNDLE”という製品である様子。それぞれイヤホン本体とBluetooth化するアダプターという製品です。
<“IE 100 PRO”のパッケージを開封。>
もちろん音質や機能、付属品などスペックが気になるところですが、筆者の気になるポイントはBluetoothでの音質と使い勝手。“IE 100 PRO”に“IE PRO BT CONNECTOR”を装着し、まずはBluetooth化してみたいと思います。
“IE 100 PRO”はワイヤードのイヤホン。このままでも有線でステレオミニプラグのイヤホンとして使うことができます。
<“IE PRO BT CONNECTOR”のパッケージを開封。>
続いて“IE PRO BT CONNECTOR”を開封します。
コントローラーとBluetoothアンテナ部、左右イヤホンを接続するコネクター部があり、それぞれがワイヤーでつながっています。またパッケージ内には充電用のUSB-A – USB-C変換アダプターも同梱されていました。
“IE 100 PRO”のイヤホンユニットを取り外し、“IE PRO BT CONNECTOR”と付け替えることでBluetooth化が完了します。作業自体は数十秒レベル、工具も必要ありません。
<“IE 100 PRO”のユニットからコネクターを取り外し。>
<“IE 100 PRO”のユニットにBT CONNECTORを挿入。>
写真ではイヤーピースも換装のため取り外しています。これも工具なく簡単に取り外せます。
<iPhoneの設定からBluetoothをオンにしてペアリング。>
換装が完了したらリモコンの[・]ボタンを3秒長押しすると、イヤホンから"Power on"と英語が聞こえ、電源が入ったことがわかります。この状態で端末側のBluetoothをONに。
“IE PRO BT Module”を選択し接続(ペアリング)すれば準備は完了。端末側で音楽を再生すれば“IE 100 PRO”から聴くことができます。
音質チェックの結果は非常に良好。ミキシング済音源のチェックに使っても全く問題ないレベルです。もちろん“IE 100 PRO BT BUNDLE”だけでチェックを終わらせることはできませんが、「低音の出方」や「各楽器のバランス」といった基本的なチェックはBluetooth接続のままでも可能なレベルです。例えば、音楽を聴いていて非圧縮wav音源と圧縮mp3音源の聞き分けは可能です。YouTubeを見ていても音が良い動画と音が悪い動画の判別はすぐにできました。脚色がなくワイドレンジ、「判断ができるクオリティの音」です。高域は無理に伸ばされた感じではなく、自然に落ちていくカーブが感じられます。無理をしていない自然な音です。ゆえに長時間聴いていても疲れることはなく、気がついたら色々な音源や動画を1時間ほど聴いてしまいました。
多彩な高音質コーデックに対応
"IE 100 PRO BT BUNDLE"のBT CONNECTORは"A2DP"プロファイル、コーデックは"SBC","AAC","aptX","aptX Low Latency"コーデックに対応しているとのことです。基本的には高音質のAACかaptXで接続されますが、音質に疑いがあればコーデックをチェック。Macの場合は[option]キーを押しながらメニューバーの[Bluetoothマーク]をクリックすると、使用しているコーデックを表示することができます。
<MacBook ProでのBluetoothコーデック表示。>
ご覧の通り[有効なコーデック:aptX]となっています。ここがSBCになっているとSBCで接続されています。普通は何もしなくてもAACで接続されるので特に気にする必要は無いと思います。
筆者はaptXの方が好きなので、[Bluetooth Explorer]というアプリを用いて無理やりaptX優先で使うように設定しています。
ワイヤードでも使える安心感
この"IE 100 PRO BT BUNDLE"の良いところは、ワイヤレスにもワイヤードにもなるというところでしょう。
<ワイヤード用のケーブルは付属ポーチで持ち運べる。>
"IE 100 PRO"の場合はワイヤードでも使用可能。ケーブルをもとに戻せばワイヤードになります。ステージ上でのモニター用途や無線・インカム用途など、送信側がBluetooth対応していないシチュエーションも多々あるでしょう。そんな時はケーブルを付け替えればOKです。
気になるワイヤードとワイヤレスの音質差ですが、やはり音質の差はあります。MacBook Proでの音源再生で比較したのですが、ワイヤードの方は高域がよく出ている、解像度が高い印象です。ただしこれはワイヤード/ワイヤレスの差だけでなくDA回路やヘッドホンアンプの性能も影響するので、複合的な要因による音質差と考えるのが妥当でしょう。
基本的な音質はSENNHISERのシングル・ダイナミック・ドライバー搭載のユニット本体で決まっていますので、基本的な音質に問題がなければケーブルを持ち運んで音質が特に気になるシチュエーションではワイヤードに切り替えて使うのが良さそうです。
IEシリーズ共通のコネクター部
最後に筆者がもともと持っていた“IE 40 PRO”に“IE PRO BT CONNECTOR”が付けられるのか試してみたのですが、これは不可能でした。同じように見えますが、コネクターの構造が違っていました。また、このコネクター部はSENNHEISER独自のものでリケーブルには非対応です。
<左:IE 40 PROのユニット/右:IE 100 PROのユニット >
<左:IE 40 PROのコネクター/右:IE 100 PROのコネクター>
しかし上位機種である“IE 400 PRO”及び“IE 500 PRO”はコネクター形状が同じとのことですので、“IE PRO BT CONNECTOR”をつけることでBluetooth化が可能です。メーカー内で統一規格が使われていると長期的に製品を使うことが出来るので嬉しいですね。
さて、"IE 100 PRO BT BUNDLE"ご紹介してきましたがいかがだったでしょうか。音仕事の人はオーディオ品質のものだと音が脚色されて耳に合わないという人も多いと思います。そういうプロフェッショナルな方にとってこのイヤホンは適した製品だと思いますので、ぜひ試聴してみて下さい。
ワイヤレスというのはワイヤレスにする前は色々と抵抗があるものですが、一度使ってしまうと手放せません。移動中はワイヤレス、現場についたらワイヤード。“IE 100 PRO BT BUNDLE”は、様々なシチュエーションで使えるプロフェッショナル向けワイヤレスイヤホンと言うことができそうです。
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