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FENDER STRATOCASTER 1954-1982 Part2

2022-01-14

テーマ:音楽ライターのコラム「sound&person」

今回は【FENDER STRATOCASTER 1957年~1958年製】の事を述べたい。

1954年にストラトが誕生して以来、3年弱の時を経て、1956年製アッシュボディからアルダーボディに変更があった。

細かい仕様に変更がありながらも、生産は続けられた。54年製と55年製の仕様、また56年製後半と57年製は共通した事がある。希少価値では54年製に軍配が上がるが、メイプルネックの50年代中、57年製が日本において最も馴染み深いストラトと考える。

ストラトが生産されて3年が経過した1957年、ようやく生産ラインが整われて来た。職人の腕にも磨きがかかり、ボディのコンターはストラト歴代で最も深い。表面をボディ底から眺めると、美しい形状だ。それ故ボディも軽量になって、一石二鳥であった。

【ボディ概論】

当時のアルダー材はやはり特別であったと思われる。大量の伐採をする以前で、充分生育してから調達したのだろう。プロギタリストの多くは「ビィンテージとは木材を買う事だ。」と断言する。

たまたまNHKのバラエティー番組を見ていたら、「バイオリンの王者ストラディヴァリは何故値段が高いの?」という話になった。答えは『当時の音を再生出来ないから』納得だ。

 

エレキギターもアコースティックギターも多くの弦楽器は杢目の詰まった厳しい環境で育った木材が肝心なのだ(勿論木材を使ったあらゆる楽器も)。廉価のギターなら『だいたい』ギターの木目が少ない。

私の所有するアッシュ材ワンピースのストラトも結局、音の基本は木材だ。

また改良に関して。あるスペシャリストは「改良はひとつずつしてゆくのが良い。一気に複数変えると何がどのように効果があったかわからなくなる」とアドバイスしている。

私も少しずつ また 懲りずに今でも メインストラトのアップデートしており、先日遂に『トレモロハンガー』と『ハンガーを支える木ネジ2本』をサウンドハウス様から購入し、取り付けた。常識ある、ギターの価値を知らない人ならびっくりする価格だが、取り付けて見れば抜群の音! サスティーンは伸びるし、音も引き締まり、【改良して当たりだった。】サウンドハウス様で購入出来るが、商品名は秘密にしておこう。

閑話休題

では【1957年ー58年製について】更に述べよう。

【ボディ材本編】

勿論 57年 製58年製ともに 上質のアルダー材だ。しかし今時のアルダーセンター2ピースとは違い、中心を避けて接着している。

それはなぜが?

ストラトの構造は表面にピックアップアッ用の窪みと裏側にトレモロスプリングキャビティの加工がしており、ボディ中心部は穴ぼこだらけである。その中心を通る木材は接着面が合わさる面積が少ないので万が一、不良品が発生しては困ると考えた。その為、中心からずらして接着されたのだ。これは木目の目立たないアルダーでも継ぎ目が容易に判る個体がある。

【1957年製と1958年製のコンターの違い】

57年製の方が若干広範囲に深い。歴代一番コンターが広い57年製。58年製はやや浅くなる。それでもコンターの手間はかかっている。

【57年製Vネック】

あまり黄変しない白っぽいネック。V型の形状で両際が削られており、初めは少し違和感があるかも知れない。ローコードを弾くと違いがはっきりするだろう。慣れてゆくうちに私はこのネックが気に入った。ちなみに私はレース・センサー・ピックアップのついたエリック・クラプトンモデルで実感した。1年で廃止された仕様で、もしかしたら未熟練工の削り過ぎが数百本・・・!?とりあえず三角ネックは何故か57年製だけの仕様。

【コントロール系】

コンデンサーは両年ともコーネル・タブラー製で、蜜ろうでポッテングしたのは57年まで。なかには58年にもポッテングしたものもあると考えるが、ポッテングしていない白色の物が圧倒的に多い。その中でもこの54年から使用されたコンデンサーのこもり具合は最強。絞るとまるでベースギターの様だ。

15年以上前にコーネル・タブラーの蜜ろうポッテングの未使用品を、ある店で取り付けて貰った。工賃込みで7000円ほどだったが、現在レプリカでも3000円はするので、ラッキーだったと言えよう。現在、未使用の1950年代製ポッテング・タイプなら一昔前の価格以上かもしれない・・・。というより今の市場では存在しないかも? 58年製からはポッテングしていない白色に青文字仕様である。

残念な事に1961年以降のフェンダー、再生フェンダー、カスタム・ショップは昔からコンデンサーにお金をかけていない。私のメインストラトにも最初に付いていた物は、数百円で買える物だった。カスタムショップは3本購入したが、皆、赤い色した小さくて安価なコンデンサーだった。

ストラト誕生50周年記念マスタービルダーが製作した1954年タイプのストラトも上記の赤い安価なコンデンサーであった。

昔、とある人気リペアショップで各種のコンデンサーが一度に聴けるギターがあり、店員さんに「これが好みです」と私がいうと、具体的に私と同じ傾向のトーンを奏でるミュージシャンを挙げてくれてくれた。

結果、やはりコンデンサーは音に影響があるバーツだと実感した。

【コントロールノブ・ピックアップカバー・スイッチノブ・アームつまみ】

54年製の脆いバーツから、3年経ち、ようやく耐久性あるナイロンパーツに変更があった。一応丈夫になったが、今度は黄ばんでしまった。

20年前のフェンダージャパン2000年及び2001年カタログの表紙裏に57年製と58年製 モデルのストラトの紹介があり、スペックの変更は2トーンサンバーストと3トーンサンバーストの塗装の変更とコントロール系等バーツの黄変だけで、あとはほぼ同じ。結果として1957年製と1958年製ストラトキャスターの仕様に関するすることに、変更は色意外、大きな変化はあまりないとみてよいであろう。

仕様の違いは、

●57年タイプ 2TS(ツー・トーン・サンバースト) 、58年タイプ3TS(スリー・トーン・サンバースト)カラーバリエーションの違い

●コントロール系の黄色く退色したパーツのみ。

その差を分かりやすく1ページに2本だけ載せているフェンダー・ジャパン。当時の意気込みを感じる。

さて次回からは、いよいよ人気のローズ指板のストラトを取り上げよう。

お楽しみに♪


コラム「sound&person」は、皆様からの投稿によって成り立っています。
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Realize

リッチーブラックモアのアルバム『Diffcult to Cure』の『第9』アレンジを聴いてファンになり、『Spotlight Kid』を聴いてストラトキャスターに目覚める。以後様々なストラトを手にし、20年以上ストラトオンリーで毎月ライブ活動を行っている。
ストラトに対するこだわりは強く、『ギターマガジン』、米国誌『VINTAGE GUITAR MAGAZINE』に所有ストラトが掲載されたことがある。翻訳書として、2002年Fender Accessories Catalogue等に掲載されている『The Fender Stratocaster』第4版がある。
ストラトへの改良は外見からみたら何処を変えたかわからないのがポリシーである。

 
 
 

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