DAWを使って楽曲制作を行っているみなさん、「リアンプ」したことありますか?
リアンプとは、アンプやエフェクターを通さないクリーンな音で録音しておき、そのソースに後からアンプ等を通して音作りをする作業のことです。
私自身DAWでギターの音作りをする際には、基本的にプラグインのアンプシミュレーターしか使っていなかったのですが、ハードの機材を使ったリアンプが意外と簡単で楽しかったので記事にしてみようと思います!
実機のアンプを持っていないため、今回はギター用のコンパクトエフェクターを後がけで音作りしてみます。※これも一応リアンプ
今回使うのはこちらのオーバードライブBOSS/BD-2。
とりあえず、クリーンでギターを録音したトラックを用意し、録音したトラックを外部のエフェクターへ出力する設定をしていきます。
リアンプを行う際には、メインアウト以外の出力端子を持ったオーディオインターフェイスが必要です。今回使うオーディオインターフェイスUltraLite mk3 Hybridの場合、複数の出力端子があるため、背面Analog out1から出力できるようにDAW上で設定します。(DAWによってルーティング設定手順は異なりますが、今回は手持ちのCubaseで解説していきます。)

① CubaseのデバイスタブからVSTコネクションを開く。

② 右クリック→バスを追加→モノラルの出力を追加。出力先はAnalog1-2 -3に設定。


③ トラックの出力先を変更。デフォルトではメインアウト(Stereo Out)から出力される設定となっているため、これを先ほど追加した出力先Mono Outへ変更します。
これでこのトラックがオーディオインターフェイスのAnalog outから出るようになりました。

④ エフェクトを通した音を録音するための新規トラックを作ります。(上のクリーンで録ったトラックをコピー)

これでエフェクターへ接続、と思いきや!
ここでインピーダンスを変換する必要があります。
オーディオインターフェイスから出る信号はラインレベルのローインピーダンス。ギターアンプやエフェクターはギターの出力に合わせたハイインピーダンスの入力となっています。つまり、オーディオインターフェイスのアウトから直接接続すると、インピーダンスが違うため、まともな音で録れません。
そこでオーディオインターフェイスから一旦下記のようなリアンプボックスに接続します。
RADIAL ( ラジアル ) / PRO RMP
リアンプボックスは、ローインピーダンスの信号をハイインピーダンスに変換してくれるリアンプに特化したDIです。通常のDI(ハイインピーダンス→ローインピーダンス)とは逆の働きをするため逆DIと呼ばれることもあります。
今回はリアンプボックスとしてAVALON DESIGN / V5を使います。V5はマイクプリアンプですが、リアンプアウトを搭載しており、リアンプボックスとしても使える優れものです。


接続していきましょう。
オーディオインターフェイスからバランスケーブルでV5のLINE INに接続、V5のリアンプアウトからBD-2へ接続します。


BD-2のアウトからオーディオインターフェイスのHi-Zインプットへ接続

クリーンサウンドであらかじめ用意したトラックを、外部ギターエフェクターを通して録音する準備が整いました。アンプは、プラグインのアンプシミュレーターNative Instruments / Guitar Rig 5を録音先トラックのインサートに立ち上げます。

とりあえずこれで再生してみたところ、色々繋いだためレイテンシー(音の遅延)が発生してしまいました・・・しかし元トラックの再生タイミングを、あらかじめちょっと前にずらして解消。

それでは再生しながら音作りしてみましょう。
最初からアンプやエフェクターを通して録音してしまうと、他の音と合わせてからやっぱり設定変えたいなと思っても、録り直すのがめんどくさいですよね。リアンプなら同じ演奏で簡単にエフェクトだけ差し替えられるし、ミックスと並行して音作りもできるのでとても便利です。他のギター用エフェクターでもいろいろ試してみたくなってきます!
使用機材
■STEINBERG / Cubase Pro
■MOTU / UltraLite mk3 Hybrid
■AVALON DESIGN / V5 BLACK
■BOSS / BD-2
■Native Instruments / Guitar Rig 5(KOMPLETE収録)