待望の進化を遂げた新世代CDJが登場しました。AlphaThetaより、CDJ-3000の発売から約5年ぶりとなる最新モデル「CDJ-3000X」が2025年9月26日にリリースされました。本記事ではイベント現場に立つ目線から、CDJ-3000との比較や進化したポイントをわかりやすく解説していきます。これを読めばCDJ-3000Xを安心して導入できるほか、進化した機能をフル活用いただけること間違いなしです!
1. 本体ハード面の進化とポイント

※左から最新機「CDJ-3000X」、従来機「CDJ-3000」を並べて比較
パッとみて気づくのは表示画面がサイズアップしているところです。
具体的には CDJ-3000 の画面は9インチ、CDJ-3000X の画面は10.1インチと大型化しています。
画面が大型化したことにより、波形やBPM情報が見やすくなったほか、楽曲リストの最大表示曲数が12曲から16曲に増えており、選曲のスムーズさが向上しています。
また、画面上でできる操作もやりやすくなった印象です。具体的には(質問3/TOUCH CUE機能の認識確認[更新内容の確認])楽曲再生中に先の展開を確認しながらHOT CUEが打てるPREVIEW HOT CUE機能であったり、プレイリストの編集/楽曲並び替えであったり、さらには楽曲のBPMが倍速/半分で読み込まれた際の対処「Doubled / Halved」機能ができたりと、ブラウジングからプレイ中に至るまで操作性が良くなっています。

※大型化したディスプレイにより操作性も向上
本体のサイズ感は画面が大型化したことでスペック上は奥行きが3cmほどサイズアップしていますが、リアパネル部分までを比較すると同サイズです。横幅は1cmほどサイズアップしています。(質問4/サイズ確認)そのため、従来通りDJミキサーと並べてもきれいに収まります。


ハードウェア面でのほか変更点としては、CDJ-3000にあったSDカードの差込口は無くなり、CDJ-3000XではUSB Type-Cデバイス差込口が搭載されています。SDカードユーザーは要注意です。一方で、ボタンやツマミ類のレイアウトについてはほぼ変更がありません。CDJ-3000に慣れ親しんだDJのかたなら、プレイ中に「あのボタンどこいった?」と困ることはほぼないと思います。
そのほか細かいビジュアル面での細かい変化としては、トップパネルがCDJ-3000ではヘアライン仕上げのような細かい縦線が入っていましたが、CDJ-3000Xではややマットな質感になりました。また、ディスプレイ周りのふち部分もトップパネルと同じメタリックな質感になり、より一層シックかつ統一感のある印象を受けました。

※CDJ-3000Xの背面。PC接続端子はUSB Type-Cに
PCの接続口もType-Cに変更されているため、HID(Human Interface Device)接続でPCとCDJ/DJMを接続する場合は、USB Type-Cのケーブルを準備しておきましょう。
2. 接続方法の進化(インターネット接続が可能にしたDJプレイ)
CDJ-3000で利用できた接続方法はすべて対応できますが、特にクラウドまわりの接続方法が強化されています。
Wi-Fi接続の対応、NFC接続の追加により、うまく活用することでDJ同士の転換における時短とトラブル回避が可能なうえ、オンラインメディアへの接続がよりスマートかつスピーディになりますのでぜひお試しください。
本体のWi-Fi接続方法(簡単4ステップ)
まずは本体をインターネットに接続します。有線LAN接続も可能ですが、ここでは新しく搭載されたWi-Fi接続を紹介します。
- ① 電源をONにし、MENUボタンを長押し
- ② Networkカテゴリーを選択して[Wi-Fi Setting]を選択
- ③ 以下の2をオンにした後、接続したいSSIDを3の一覧から選んでパスワード入力
- ④ [CONNECT]をタッチして接続完了(1が表示される)

楽曲へのアクセスがしやすくなった rekordbox CloudDirectPlay
CDJ-3000同様rekordbox CloudDirectPlayを利用すると、クラウドストレージにアップロードした楽曲ファイルを本機にロードして再生することができます。
クラウドストレージはDropbox / Google Driveが利用可能で、無料利用枠も最大で1,000曲ほどがアップ可能。普段USBメモリを利用している方でも、その中に入りきれなかった時の楽曲保存や、メモリ紛失時もバックアップとしても使える便利な機能です。
また、今回特に注目したい理由はアクセス面の進化によってより現場で使いやすくなったことです。
必要な準備は以下の通り。
< rekordboxの設定 >
- ① [Cloud Library Sync]の[他のデバイスとライブラリを同期する]をオンにする
※プランによってはCloud Library Syncをご利用いただく全てのコンピューター/モバイルデバイスをアクティベートしてください。 - ② 楽曲ファイルを同期するクラウドストレージサービス(Dropbox / Google Drive)を連携してデータをアップロード
ストレージへのデータアップロードは手動でもできるほか、[Auto Upload]等を使って自動的にアップロードすることも可能です。 - ③ [rekordbox CloudDirectPlayを利用する]をオンにする
このあたりは画面操作だけでさくっと設定できるかと思います。
< CDJ-3000Xの設定 >
- ① インターネット接続をする

- ② 認証デバイス、QRコード、NFCいずれかの方法でログイン
※QRコードログイン、NFCログインを利用する場合は、[Cloud Log In]を選択して、[LOG IN]をタッチしましょう。

- スマホのカメラでQRコードを読み込み、スマホの画面でID・パスワードを入力することでログインができます。

- NFC本体のフロント部分にNFCログインタッチエリアが搭載されています。スマホをかざすことでスムーズにログインが可能です。

PRO DJ LINK接続利用時のポイント
USBデバイス接続
USBデバイス(フラッシュメモリー、ハードディスクなど)を使って、rekordboxの楽曲ファイルやデータを本機と受け渡しができるPRO DJ LINKですが、rekordboxであらかじめ設定しておいたプレイリスト、キュー、ループ、ホットキューなどの情報を呼び出すためには、One Libraryの設定を行う必要があるため要注意です。従来のDevice Libraryからの形式変換も可能なため、あらかじめrekordbox for Mac/Windowsの画面でUSBデバイスを接続して設定を行いましょう。
- ① 画面に以下のダイアログが表示されたら「はい」を選択する

- ② メディアブラウザから対象デバイスを選択し、[デバイスライブラリから変換]をクリック

3. 選曲の進化
選曲時の便利機能その1(コピー&ペースト機能を使った検索)
これまでは画面上でキーワードを入力する必要があったのですが、CDJ-3000Xからはトラック名などを長押してコピーし、キーボードの[paste]をタッチして文字入力表示部にペーストして検索することもできるようになりました。
ライブラリの中から同じ楽曲を探したいときや、同じ曲のREMIXバージョンを探したい時などの検索を効率化できます。
選曲時の便利機能その2(ストリーミング楽曲でも事前に読み込み可能なTAG LIST)
CDJ-3000でも利用できましたが、こちらはCloud Direct playの利用時の強い味方となる機能です。
事前にクラウド上の楽曲をTAG LISTに追加しておくことでCDJ-3000X本体にダウンロードすることができるため、インターネット環境に不安がある場所でもあらかじめプレイリストを組んでおくことで安心してプレイできるようになります。クラウド上からダウンロードした楽曲でも、ピッチやキーの調整、CUEポイントの設定などUSBデバイスから読み込んでいる楽曲と同じくDJプレイができるため選曲の幅も広がります。なお、ロードできる楽曲数は限りがありますが事前に読み込んでおくことが可能です。
TAG LISTに曲を読み込む方法は、(質問6/TAG LISTへの楽曲読み込み手順確認)PCとCDJ-3000Xを接続した状態でソースから任意のソースを選択、そのうえでリストにしたい楽曲を選択して[TAG TRACK/REMOVE]ボタンを押すだけ。操作は簡単です。
また、複数ソースを使ってプレイする人は、[GLOBAL]をオンにすることでソースの切り替え短縮が可能です。

作成したタグリストは本体画面上のタッチで曲の並び替えができます。さらには、作成したタグリストをプレイリストへ変換することも可能です。
選曲時の便利機能その3(PLAY LIST BANK)
簡単に説明するとプレイリストを複数登録することで、瞬時にリストを表示して選曲することができる機能です。
こちらも次に流す曲をみつけるのに時間短縮できる機能ですね。

4. プレイ面の進化
演奏時の便利機能その1(サンプラー的な使い方もできるGATE CUE)
キューが設定されているHOT CUEのいずれかのボタンをGATE CUEにすることで、ボタンを押している間だけ再生できるようになります。
ドラムヒットやボイスサンプルなどをリズムに合わせて手動でトリガーするような使い方をしたり、サンプラー的な使い方ができたりするためライブ感のある演出ができます。
再生画面の[GATE CUE]でもオンにできるので、設定も素早くできます。

演奏時の便利機能その2(CUE設定がよりダイレクトにできるSMART CUE)
SMART CUEは、HOT CUEに設定したポイントが即座にCUEボタンに割り当てられる機能です。さらにHOTCUEに準じた色に変化して視認性も抜群です。ミックス中に瞬時にCUEポイントを切り替えたいときや、より即興性を高めたい場面で活躍します。波形表示上とディスプレイ下部のCUEボタンの色で、どのHOTCUEがどこに設定されているか確認できるため、思い切ったミックスでも自信を持ってプレイできる機能です。



演奏時の便利機能その3(PREVIEW HOT CUEで演奏直前でも事前準備可能)
これまでのPREVIEW機能がさらにパワーアップ。PRO DJ LINKを利用して、事前に楽曲をCUE側で確認しながら、任意の場所にHOT CUEを打てるようになりました。
普段あまり聴きこんでいない楽曲だとどうしても曲の準備が足りていない状況になるかと思いますが、この機能を使うとプレイの直前でも音を聴きながらHOTCUEを打てます。あまり聞き込めていない曲や配信上の楽曲をその場の空気感でプレイするといったことも含め、これまでよりも柔軟に選曲できるようになるかと思います。

ミキサー側にヘッドホンを指し、LINK CUEをオンにする。

確認したい曲の波形部分をタッチして音を確認。タッチした状態でHOTCUEボタンを押す。
5. まとめ
いかがでしたでしょうか。
今回はCDJ-3000Xを使ってプレイするにあたりポイントとなる機能を中心に説明しました。
このほかにも音質の進化やJOGの重み調整の変化など、これまでのフラグシップモデルCDJ-3000の良い特長を継承しつつ、これからの時代に合わせた最新機能も加わりさらなるパワーアップを遂げたモデルとなっています。操作面や機能面で心配を感じていた方も、きっと安心して使うことができるプレーヤーとなっています。2台まとめてとなると決して安価な買い物ではありませんが、長きに亘って使い続けることのできるCDJ-3000Xの導入をぜひご検討ください。







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