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Pioneer DJ DJM-A9 開発者インタビュー

DJM-A9 開発者インタビュー

次世代ミキサーにかけた開発者たちの思いと異次元の進化

2023年3月にAlphaTheta株式会社より発売された次世代のクラブスタンダードDJミキサー、Pioneer DJ「DJM-A9」。前身となる「DJM-900NXS2」からあらゆる面がブラッシュアップされ、圧倒的にクリアで明瞭な引き締まった音質、大幅に進化した演奏性、多様なデバイスとの親和性の高さなどから、既に多方面から高い評価を獲得しています。

DJプレイの可能性を新しい次元に引き上げる「DJM-A9」の開発コンセプトやものづくりに対する考え、継承されつつも進化した機能、開発に掛けた想いを開発者みずからの言葉で語っていただきました。

目次

1. 自己紹介

まずは自己紹介をお願いします。

古賀DJM-A9の企画担当、古賀と申します。入社して約11年が経ち、これまでにはCDJ-3000なども企画し、現在はクラブDJ機器全般の企画担当を務めています。今日はよろしくお願いいたします。

小泉ソフトウェア担当、小泉と申します。主にオーディオ処理に関する担当をしています。過去に設計したものとしては、DJM-800をはじめとする歴代の4chスタンダードミキサーやDJM-V10のような6chミキサー、DJM-S11を代表とする2chのスクラッチスタイルのミキサー、RMX-1000などのエフェクターも担当しました。

濱田オーディオ回路設計担当、濱田と申します。主にミキサーの音質担当しており、DJM-A9の前はDJM-V10の音質担当として開発に携わりました。

辻󠄀システム設計担当、辻󠄀と申します。濱田と同じチームとして、DJM-V10のシステム担当もしていました。

西之原メカニック開発担当、西之原と申します。入社して丸6年のなかで、DDJ-1000、DJM-V10、DJM-V10-LFなどの開発に関わりました。最近ではミキサーのメカ開発を担当しています。

2. DJM-A9 開発のきっかけ

最初にDJM-A9を開発したきっかけを教えてください。

古賀前身となるDJM-900NXS2が2016年頃にCDJ-2000NXS2と併せてリリースされまして、そこから約3年が経過した頃、次機種クラブスタンダードDJミキサーの企画立案を行っておりました。その後、企画途中の2020年にコロナ禍に突入。既に企画していたものがあったのですが、コロナ禍ということもあり、もともと考えていた私たちの経験やノウハウを活かしたものをゼロベースで考え直さなくてはいけない状況になりました。当時、市場的には巣ごもり需要やクラブ閉鎖の影響もあり、改めてニューノーマルにマッチした次世代ミキサーを導入することでクラブ市場を再活性化できればと思いDJM-A9を開発しました。
また、DJM-900NXS2からの踏襲も必要と考えつつ、その時代に合った新たな考えやニーズを把握して、よりお客様が喜ぶようなミキサーを考えた次第です。

AlphaTheta株式会社 企画担当 古賀さん

3. 「A9」というモデル名に込められた思いとは?

DJM-900NXS2やDJM-750MK2をはじめとするスタンダードスタイルのミキサーでは数字が、スクラッチスタイルのミキサーではS5、S7など「S」の文字が冠されたモデル名となっていました。従来機とは異なる「A9」というモデル名にはどのような意味が込められているのでしょうか。

「DJM」というカテゴリーの名前は踏襲しつつも、全く違う考え方を使って新しいミキサーを表現した結果「A9」というモデル名になりました。
「A」という文字には、Apex(頂点・頂上)やGrade A(A級)など、いわゆるトップのイメージを持っています。「9」にはDJM-900NXS2の系譜、意思を継いだハイエンドモデルミキサーとしてアピールしていきたいという思いを込めて名付けました。DJM-900NXS2のリプレイスモデルではありますが「DJM-900NXS3」などのアップデートモデルというよりは、新しい次元のスタンダードミキサーを作るという意気込みが企画段階からありました。筐体を見ていただくと、DJM-900NXS2と比較してあらゆる面で見直しをかけ、そういった我々の強い思いや意思を名前に反映させるとなると、今までのルールとは異なる新たなモデル名が相応しいと考え名付けました。

企画段階から「新しい次元のスタンダードミキサーを作る」という意気込みがあった中で、開発初期段階から「A9」にしようという思いがあったのでしょうか?あるいは、新モデルが形作られるなかで「A9」というモデル名になったのでしょうか?

最初は名前については考えがあったわけではありません。(モデルとしての)立ち位置などはもちろんありましたが、具体的な名前を決めるのはモノが出来上がってDJからのフィードバックを聴いてから、これだったら自信をもって全く新しい名前でもいけるというのを市場の反応も見ながら決めています。

4. DJM-900NXS2から継承したポイント

DJM-900NXS2の正式な後継モデルとして継承した点とブラッシュアップされた点について、まずは継承した点から教えてください。

ミキサー全体を大きく見ていただくと、左からマイクセクション、中央にチャンネル/フェーダーセクション、右側にBEAT FXセクションと大きく3つのセクションに分かれています。基本的にはこの並びは変えていません。クラブなどに置いていただくとなると、当然、初見で触っていただく必要もあるので、ベースの部分は従来モデルから踏襲しつつも各セクションの中でいろいろと新たな取り組みをして、ひとつひとつ刷新しています。

5. 従来モデルにはない新しいポイント

続いてはブラッシュアップされた点について、それぞれセクションごとに教えてください。
チャンネル/フェーダーセクションからお願いします。

CENTER LOCK

西之原まずはサウンドカラーFXノブですが、世界初となる「CENTER LOCK(センターロック)」という機能を搭載しました。従来モデルでは、ローからセンター、あるいはハイからセンターに素早く戻す際に、なかなかピッタリとセンターに止められなかったり、センターに止めることに意識が向いてしまいアクションが小さくなってしまったりすることがありました。DJM-A9はストレスなく、もっと気持ちよくプレイできるように、というところでCENTER LOCKを搭載しました。
CENTER LOCKをONにすると、素早くノブを操作しても必ずセンターで止まるという機能になっていますので、ダイナミックなアクションでも必ずセンターに安定して止められます。また、ロックされた後、手を離すとすぐに自動でロックが解除されてセンターを超えて回せるので、それによって誤動作や操作ミスをなくせたように感じます。
解除ボタンを搭載する方が構造的には簡単なのですが、操作ミスや操作の手間を減らすためにも手を離せば自動的にロックが解除される仕組みを採用しています。
また、CENTER LOCK機能自体にON/OFF機能を設けており、新しい機能なので従来モデルと同じ操作感のまま使いたいという方もいらっしゃるかと思いますので、ON/OFF機能を付けています。

高品位なチャンネルフェーダー

チャンネルフェーダーについては、本モデルではより高品位な感触、操作感を追求しました。今までのモデルでは、動かしている途中はスムーズだったりするのですが、最初の動かし始めはどうしても抵抗がかかってしまって、微調整をしにくいという課題がありました。今回は構造的に工夫して、スムーズに動かせるものになっています。
あとは、粘性をもたせたノブを採用しており、手になじむような感触のフェーダーとなっています。
また、内部にがたつきがあると、動かした時にどうしてもスムーズに動かずガタガタとなってしまいますので、内部のがたつきをできるだけ少なくした構造にしてムラなく一定の感触で操作できるようにしています。
また、フェーダー操作時の重さに関しても素早いカットイン、カットアウトがしやすいような適切な重さにしています。

MAGVEL FADER

クロスフェーダーには「第3世代MAGVEL FADER(マグベルフェーダー)」を採用しています。素早いスクラッチプレイとスムーズなミックスプレイができるように、できるだけ操作時に負荷がかからずスムーズに動かせる内部構造にしています。また、もっとスムーズなミックスができるようにフェーダーの位置検出精度を向上させて左右に操作した際の解像度を高めています。AからBに移る中での解像度を上げているので、それによって音量が変化する際の滑らかなカーブを実現しています。

EQセクション

全体的な配置に関してもそうですが、ノブやボタンの位置関係についても製品を作る前に実際にノブを並べて、誤操作なく気持ちよくプレイできるようにするにはどの位置が一番良いかを検証しています。例えば、本モデルのEQセクションではノブの間隔をミリ単位で見直し、DJM-900NXS2よりも間隔を広げています。これによって、操作している際に隣のノブに接触しにくいのと同時に、従来の操作性もキープしたまま快適に操作出来る間隔にしています。社内外で評価した際にも『この間隔が使いやすい』というフィードバックがあり、実際に製品へ反映させました。

AlphaTheta株式会社 メカニック開発担当 西之原さん

続いて、向かって右側のBEAT FXセクションについてお願いします。

ディスプレイ

小泉1番分かりやすいポイントとして、カラーディスプレイのクオリティが上がっています。エフェクトを選択すると画面のX-PAD表示の色が変わるのですが、これは空間系だったりループ系だったり、エフェクトの種類に応じて系統分けされたカラーを採用しています。従来までのディスプレイは白黒がメインでしたが、今回はカラー表示をうまく使っています。

X-PAD

DJM-900NXS2ではX-PADが上下2段に分かれていました。スライドしてパラメーターを変えていった際に、2段だとどうしても飛んでしまう部分が生じてしまうのですが、今回はそういった課題に対してデザインを見直しました。X-PADを1列にしてパラメーターをよりスムーズに、連続的に変化させることができるようになっています。

新エフェクト

DJM-A9には3つの新登場のエフェクトを搭載しています。

  • TRIPLET FILTER (トリプレットフィルター)

    Triplet(トリプレット)というのはいわゆる三連符の意味です。三連符をベースにしたフィルターとなっており、「タタタ/タタタ」というリズムを生み出すことができます。これまでは1/4、1/2、1拍、2拍、4拍といった分かりやすくてスタンダードな拍のエフェクトしかありませんでしたが、TRIPLET FILTERは使うことで少し変則的な拍で新たなグルーヴ感を作ることができるエフェクトになっています。シンセなどの音とも相性が良く、今までにないエフェクトプレイができるようになっています。

  • TRIPLET ROLL (トリプレットロール)

    こちらも三連符を基本としたロールエフェクトとなっています。ロールエフェクトとはいわゆるループエフェクトでありビートのリズムを変えてアクセントを入れるような使い方をすれば、展開を作ることができるようになっています。

  • MOBIUS (メビウス)

    MOBIUSはミキサーの中でシンセの音を発振することができるエフェクトです。発振した音の周波数が上昇、もしくは下降し続けるような音となっています。X-PADで波形を矩形波から、のこぎり波、三角波へとシームレスに切り替えることができます。楽曲などに合わせてシンセの音を出して曲の切り替えであったり、展開付けしたりする際の手助けとなるエフェクトとなっています。

こういった新しいエフェクトに関しては、市場の動向や現場DJからのニーズも踏まえつつ、さまざまなエフェクターなども参考にして作り出しています。
また、本モデルではX-PADが1列になったこともあり、従来からある定番のエフェクトについても今一度見直しました。ECHO(エコー)を例にすると、X-PADをタッチしただけであれば、これまで通り指定した拍のECHOがかかりますが、X-PADをスライドして拍を変化させるとテープエコーのようなアナログっぽい変化をするようにしています。新しい音の表現ができるようなところも今回はチャレンジしています。

エフェクトチャンネルのダイレクト選択ボタン

エフェクトチャンネルの選択方法ですが、今回はボタン式を採用しています。今まではノブを回してカチカチと切り替えるタイプで「1 / 2 / 3 / 4 / MASTER」という感じで切り替えていました。今回はボタンで直接チャンネルを選択できるため、とても分かりやすくなっています。さらに、自照式ボタンのためDJブースの中など暗い環境下でも、どこにエフェクトがかかっているかを視認しやすくなっています。

AlphaTheta株式会社 ソフトウェア担当 小泉さん

マイクセクションとその他にブラッシュアップされた部分についてお願いします。

配信ニーズに応えるマイクセクション

  • コンデンサーマイクに対応

    マイクセクションは配信に向けても使えるように機能を追加しました。今回、初めてファンタム電源を供給できるようになり、コンデンサーマイクも使えるようになりました。マイクセクション横の「+48V」と書かれた赤いボタンがファンタム電源になっているので、使用するマイクによって切替えていただけます。

  • マイク専用エフェクト

    マイク専用エフェクトを3種類を搭載しました。ECHO(エコー)、PITCH(ピッチ)、MEGAPHONE(メガホン)というそれぞれジャンルの異なる、それでいて名前からエフェクトの内容を想像できるものとなっています。パラメーターノブひとつでエフェクトをかけることができ、現場でも配信でもお使いいただけます。さらに、別系統で操作できるMIC REVERB(マイクリバーブ)を搭載しました。マイク専用エフェクトと組み合わせて、幅広い音声加工が可能です。

  • PUSH TO TALKボタン

    マイクON/OFFボタンを新たに搭載しており、このボタンは押している間だけマイクがONになり、離すとOFFになるPUSH TO TALK機能を採用しています。非常に直観的で分かりやすい機能だと感じています。

  • マイク設定

    マイクの設定を変更することにより、DJミックス配信時にRECの音にはマイク音声を載せないようにすることもできます。そういった点でも配信ニーズに応えられるよう、細やかな設定が可能です。

BOOTH EQ

辻󠄀DJM-A9のコンセプトに基本性能の進化というものがあります。その中のひとつの機能としてBOOTH EQについて紹介します。
場所的には中央のミキサー部分右側のセクションとなり、Master OUT(フロアの音)に対してBOOTH(DJブース内)の中に聞こえてくる音量や音質を調節することで、DJにとってよりプレイしやすくなるような機能を実現しています。この機能はDJM-V10でも搭載されていましたが、非常に好評だったことを受け、DJM-A9でも搭載しています。

Dual HP CUE

読んで字のごとくヘッドホンのCUEをすべて2系統ずつ搭載し、BtoB(back-to-back)などでプレイされるDJさんが交代のための準備に専念できるよう、それぞれのチャンネルをモニタリングできる機能です。従来ですと一人がCUEモニターしている時に、もう一人が次の曲をCUEできない課題がありましたがこれを解決し、スムーズなDJ交代ができる機能となっています。

AlphaTheta株式会社 システム設計担当 辻󠄀さん

ロック式電源ケーブル

現場ではプレイ中に電源ケーブルを引っ掛けてしまい、電源が落ちて音が止まってしまうといったトラブルがあるそうです。基本性能の進化というコンセプトのもと、電源ケーブルに関しても見直しました。電源ケーブルにロック機能がついており、ケーブルに引っ張る力がかかってもストッパーによって抜けない仕組みになっています。こちらもDJM-900NXS2からの進化したポイントですね。

多彩なデバイス入力

DJM-900NXS2から大きく進化したポイントとして、多彩なデバイス入力に対応した点があります。最近のデバイスとしてUSB Type-C端子を搭載したPCが多く、DJM-A9では初めてUSB Type-C端子を搭載しました。さらに、普段DJM-900NXS2でプレイされていたDJさんが、常設されたミキサーがDJM-A9に置き換わったことを当日現場で知ったとしても、慌てることなくスムーズにプレイできるよう対応しました。このような従来の環境と同じように、それでいて新しいデバイスやPCともシームレスに接続できる、そんな設計を目指しました。

Bluetooth入力

DJM-A9にはWi-FiとBluetooth機能を搭載しています。
例えばDJさんが新たに楽曲を購入した際など、Bluetoothのインプットを活用すれば簡単にCDJや他のデバイスとミックスすることができます。ご自分のデバイスのライブラリーと新しく購入した楽曲をかけてみて相性を確認したりするのはもちろん、DJ BARなどの店舗でスマホと接続してBGMを再生したりとか。直接的にDJプレイとは関わらない要素ではありますが、このような機能を持たせることでも使い勝手を向上させています。

6. DJM-A9が追い求めたサウンドとは

解説いただいたように機能面ではまさに、ありとあらゆる見直しがなされているんですね。
音質についてもDJM-900NXS2と比較して変化があったように感じます。DJM-A9ではどのような音を目指したのでしょうか?また、実際にどのような改良が加えられているのでしょうか?

濱田DJM-A9の音質はDJM-900NXS2に対して、方向性は同じまま正統進化させた音質にしました。具体的には、音の色付けが少なく、どんなジャンルの音楽でも綺麗に卒なく鳴らすことを目指しました。もう少し分かりやすく言うと、いわゆるクリアでキラキラと明るくて、低域に関してはパンチがあって踊りやすい、メリハリがあってくっきりとした音質にしています。

DJM-900NXS2はDJM-A9同様、いわゆるクリアでパワフルな音質なのですが、結構クリアすぎると言いますか…。音量を上げていくと高域のキラキラが耳についてきて、『これ以上音量を上げていくとキツイ…』という感覚がありました。低域についてもパワフルですが、音の出方としてはモコッとしたブーミーな低音が鳴る感じになっているので、それらに対し音質的な対策をしました。高域に対しては音量を上げても耳につかない程度にちょっと控えめにして、低域に関してはややブーミーだったところを、輪郭感を出してゴリッとタイトな方向に調整しました。その結果、キレが良く、メリハリのある音質になり、クラブミュージックがより楽しく聞こえ、より踊れる音質になったと思います。

AlphaTheta株式会社 オーディオ回路設計担当 濱田さん

DJM-A9ではシリーズ初となる管理/遠隔操作アプリが登場したと伺いました。

古賀DJM-A9の発売に合わせて、弊社でiPadアプリ「Stagehand(ステージハンド)」をリリースさせていただきました。このアプリはDJ向けでなく、裏方のクラブエンジニアやスタッフに向けた、PRO DJ LINKに関わる情報を手元で把握できるアプリケーションとなっています。
DJM-A9がWi-Fiアンテナを搭載し、DJM-A9と現場にあるルーターを無線又は有線接続していただくと、iPad上でDJM-A9やCDJ-3000の動作内容を閲覧することができます。STATUS画面では、DJM-A9のハードウェアの操作情報をiPad上で視覚的に表現したものを確認できます。DJM-A9本体側のフェーダーを操作すると、それに合わせて画面上のフェーダー位置も最新の状態に反映されます。DJさんの方で音量を上げ過ぎてしまうこともあるかと思いますが、そのような場合に手元の画面で素早く把握して、現場のDJさんに対して注意を促すなどのトラブルシューティングを素早く手助けできるアプリになっています。
WAVEFORM画面に切り替えると、(DJM-A9にPRO DJ LINK接続している)CDJ-3000でプレイしている楽曲の波形も確認できるだけでなく、アートワーク、楽曲名、アーティスト名なども表示できます。これによりエンジニアさんだけじゃなく、そのほかにいるLJ / VJさんも次に流す楽曲を事前に把握して、それに合わせて映像照明の準備に役立てられます。
最後にDEVICE CONTROL画面では、その名の通りデバイスをコントロールできる機能となっています。クラブでフロアの事前準備の際などCDJの音出しをする場面がありますが、今までは楽曲の再生/停止をするたびにブースに入りCDJのPLAY/CUEを押したりしていました。このアプリを使えば手元のiPadから遠隔でCDJを操作したりして、事前準備をより効率化できる機能になっています。

7. 新しい要素を盛り込む際の基準、また選定について

CENTER LOCKやBluetooth機能、配信ニーズに応える機能など、DJM-A9では新機能となる要素が多くあるように感じます。
こういった新しい要素は、それらを選定する基準のようなものはあったりするのでしょうか?

まずはお客様が喜ぶかというのを第一に考えています。そのうえで時流に合っているか、他社と比較して優れているか否か比較して、最終的にはQCD(Quality:品質、Cost:コスト、Delivery:納期)のバランスを取って決めるようにしています。

ノブの間隔やX-PADの仕様変更などデザイン的な側面でも変化があったように思います。DJM-900NXS2から「A9」への変化の中で、プレイ体験にもこだわっているように感じられました。開発にあたって現場DJの声やフィードバックをどのように集め、製品に反映しているのでしょうか?

弊社としてはお客様の声を直接聞いて、その場で試作品の評価をしていただいたりするようにしています。国内はもちろんそうですが、機会があれば海外に行って、現地のプロDJに実際のものを触ってもらいフィードバックを集めたり、クラブに行って音質評価をしたり、実際にエンジニアや企画担当がお客様やDJさんに会って生のフィードバックをいただいて製品に反映するサイクルで動いています。それに加えて、もちろんアンケートやフォーラムなど定量的なお客様の声も参考にして商品作りするようにしています。

8. ライフサイクルの長いDJ機器における慎重さ

DJ機器全般、製品のライフサイクルは比較的長いものかと思います。開発にあたりハードウェア面はもちろん、ソフトウェア面での互換性も考えたりと慎重にならざるを得ない部分も多いことかと思いますが、そのあたりを詳しくお伺いできますでしょうか?

今回のようなクラブスタンダードモデルに関しては、ハードウェアの変化やGUIの仕様変更もかなり時間を取って社内の有識者や、現場のお客様の声に耳を傾けて、何が優れているのか議論しました。最終的に、本当に良い物であれば、過去機種に縛られることなく新たな仕様に変える事もあります。

9. 最後に:制作側としてDJM-A9がDJシーンやカルチャーに与える今後の希望や展望

開発側としてDJM-A9がDJシーンやカルチャーに与える今後の希望や展望を訊かせてください。

恐らく、今までお客様はDJM-900NXS2や900シリーズを長い間使っていただいていたと思います。今回新たに出たDJM-A9は今までの900シリーズやハイエンドミキサーと一線を画す、我々としても新たな次元の次世代クラブスタンダードDJミキサーという意気込みでリリースさせていただきました。もちろん販売店で触っていただいても良いですし、ご自宅やクラブに買っていただいても良いですし、本当に楽器のような、慣れ親しんだスタイルで触っていただいて、クラブ市場を一緒に盛り上げていければと思っています。

Pioneer DJ DJM-A9 - 4ch DJミキサー(DJM-900NXS2後継モデル)

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