マンドリン用のピックとして、様々なプラスチック素材のピックが登場していますが、やっぱり鼈甲(べっこう)素材のピックが好きなマンドリニスト(もちろん、マンドラやマンドロンチェロ奏者も)は多いのではないでしょうか?私もその1人です。
鼈甲ピックには、
- 粒がはっきりしていながらも、あたたかみのある音色
- 指に吸い付くようにフィットして滑りにくい
といった、プラスチック製ピックとは異なる魅力があります。
その一方で、
- 貴重な天然素材のため値段が高い
- サイズや厚みに個体差があり、なかなかお気に入りの1枚に出会えない
といったデメリットもあります。
そこでおすすめしたいのがウルテムピックです!ウルテムは人工の樹脂ですが、鼈甲にとてもよく似ています。指に吸い付く感覚、しなり具合、音色、どれをとっても鼈甲ピックと区別が難しいくらいです。
残念ながら、マンドリン用の形をしたウルテムピックが売られているのは見たことがありませんが、売っていないなら自分で作ろう!ということで、今回はギター用のウルテムピックを使って、マンドリンピックを自作する方法をご紹介します。
■ 用意するもの
● 型として使うピック
今回はこちらの鼈甲ピックを使いました。
・名城商会 / 本鼈甲ピック マンドリン
● ウルテムピック
大きくて型を写しやすい、トライアングル型がおすすめです。マンドリン用サイズを作るのであれば、ティアドロップ型でも大丈夫でした。厚すぎると切るのが難しいため、1.0mm以内のものをおすすめします。
→ ウルテムピック一覧
黄みがかった透明のものが多いですが、中にはカラフルで可愛らしいものもあります。
・FERNANDES / P-100UT 0.80mm
・ESP / PD-PSU08 O
・ESP / PT-PSU10 GR
● 油性ペン
正確に形を写せるよう、なるべく細いものがおすすめです。
● はさみ
一般的な文房具のはさみで大丈夫です。今回試した中で1番厚いピックは0.94mmでしたが、問題なく切ることができました。
● 紙やすり
粗さが異なるものが2,3種類あるとよいと思います。今回は、粒度#120(中目に分類される)と、仕上げ用にもう1種類細かいもの(粒度不明ですが、おそらく細目#280~#800のどれか)を使用しました。
■ 作り方
1. ピックの型を写す
ウルテムピックの上に型となるピックを置いて、油性ペンで形を写しとります。先端の尖った部分をはさみで切り抜くのは難しいため、ピックの先端同士を揃えることをおすすめします。

2. はさみで切る
線に沿って切り抜きます。刃がピックの面に垂直になるように注意して、少しずつゆっくり切ると綺麗に切れます。少しくらい切り口がガタガタしたり線が残ってしまったりしても大丈夫です。
写真の1番左が、型として使った鼈甲ピックです。

3. 紙やすりで磨く
- 机の上に粗めの紙やすりを置き、ピックの断面を垂直にあてて形を整える
- ピックを少し斜めにあて、切り口の角をとって曲面にする
- 目の細かい紙やすりでなめらかに整える
という手順がおすすめです。
これで完成です!2枚だけのつもりで作り始めましたが、つい没頭して5枚も作ってしまいました。所要時間は5枚で1時間くらいでした。

私が思うウルテムピックを自作するメリットは、3つあります。
メリット1 コスパがよい!
鼈甲ピックは一般的に1枚700円~1,000円ほどですが、ウルテムピックは1枚100円前後。圧倒的に安いです。
メリット2 簡単に作れて楽しい!
特別な工具を用意しなくても作れますし、単純な作業なので没頭できます。また、自分で作ったピックとなると愛着もわきます。
メリット3 お気に入りピックのクローンを作れる!
ウルテムは人工樹脂のため個体差がなく、安定した品質のピックを使い続けられる安心感があります。普段使っているピックを型にして、同じくらいの厚みのウルテムピックを使って作れば、お気に入りのピックに限りなく近いピックを大量生産することも可能です。
自作ウルテムピック、興味を持っていただけたでしょうか?鼈甲ピック派の方にぜひ試していただきたいです。
「やっぱり本命は鼈甲ピックで譲れない!」という方でも、弦を張り替えたばかりでピックがすり減りやすい時期に使うピックとして1枚持っておくと便利です。
→ マンドリン用ピックはこちら
「マンドリンアクセサリー」カテゴリーに含まれています。マンドリン、マンドラ、マンドロンチェロ用の鼈甲ピックもあります!