これまで数々の国のメタルバンドを紹介してきたこのシリーズ。改めて「日本らしいメタルってなんだろう」と考えると意外と一言では言い表せないもの。そんなわけで今回は、日本にしかない活動形態である同人メタルバンドを取り上げようと思います!
同人ってどういう活動形態なの?っていうのを強引に言うなら、自費プレスで盤を制作し、同人即売会や店舗委託で販売を行う形態、ということになると思います。音楽スタイルはバンド(サークル)によって様々で、ゲーム音楽のアレンジや、アニメや漫画から主題をとったオリジナル楽曲など多岐に及びます。
■ Unlucky Morpheus / Knight of Sword
「あんきも」の通称で同人メタル好き以外にも知られるメロディック・スピード・メタルバンド。LIGHT BRINGERのボーカルFuki(あんきもでは天外冬黄)と、ギタリスト紫煉(ex.妖精帝國)によって2008年に結成。初期の頃は、音源ではすべての楽器を紫煉が担当し、ライブではサポートミュージシャンを迎えるという活動形式でしたが、次第にメンバーが固定され、現在のバンド形態となりました。東方Project楽曲のメタルアレンジからスタートし、2014年以降はオリジナル楽曲も積極的にリリース。Fukiのパワフルなハイトーンを活かしつつモダンな要素も取り込んだ、メロスピ好きなら必聴のバンドです。
■ Imperial Circus Dead Decadence / 腐蝕ルサンチマン、不死欲の猿楽座。
※ドラム・プレイスルー
ボーカリスト(兼エロマンガ家)のリブユウキと、ベーシスト兼アレンジャーのHullによって結成。2009年に女性ボーカリストkylieを加え1stアルバムを制作。その後、各楽器陣の加入、女性ボーカルの変遷を経て現在に至ります。シンフォニック/ブラック/デスといったメタルの要素に、ヴィジュアル系からの影響を加え、ストーリー仕立ての歌詞で歌うハマれば唯一無二の音楽性。Cradle of Filth、Dimmu Borgirあたりが好きな人は一聴の価値ありです。
■ IRON ATTACK! / Heaven’s Sword
LIGHTNINGのギタリストであるIRON-CHINOと、女性ボーカリストまいなすいょんによって結成された、曰く「真実のヘビーメタル同人サークル」。東方Projectをはじめとするゲーム音楽のアレンジを中心に国内外を問わず活動。その後、男性ボーカリストを含むメンバーが加入し、2016年にはオリジナル楽曲を収録したアルバム『鉄撃三國志』をリリースするに至っています。今回は、主に海外公演でサポートとして登場するYAMA-B(ボーカル/ ex-GALNERYUS、GUNBRIDGE)をフィーチャーした東方アレンジ楽曲を紹介!
■ THOUSAND EYES / Day Of Salvation
最後に、正確には同人バンドではありませんが、同人出身と言えるバンドを1組。THOUSAND LEAVES名義で東方Projectのメロディック・デスメタル・アレンジを行っていたギタリストKOUTAと、UNDEAD CORPORATION(あんこう)などで活動していたボーカリストDOUGENによって結成。メンバーの加入・交代を経て今年2019年に現在のメンバーとなりました。音楽性は黎明期のメロディック・デスメタルの影響が色濃い、アグレッションと叙情性を兼ね備えたもの。今回はTHOUSAND LEAVESの「Immortal Vengeance」を彷彿とさせるギターソロが盛り込まれたこちらの曲を紹介します。
そんなわけで、同人メタルに絞って4組紹介しました。 このジャンル(?)には活動形態のおかげか、音楽性やサポートメンバーなど非常に自由度の高い活動をしているバンドが多い印象を受けます。リリース物はアルバム1枚が1,000円から1,500円程度と割安で手に取りやすい反面、在庫が切れてしまうと再プレスされない限り恐ろしく入手困難になります。筆者のような収集欲こじらせメタラーは、少しでも気になったら委託販売を行っている店舗をチェックするのが吉です!