昨今、数々のメーカーから多彩な音源がリリースされている中で、今も多数の作曲家、アーティストから愛され続けるソフトウェア音源……その名も「Omnisphere 2」。
SPECTRASONICS ( スペクトラソニックス ) / Omnisphere 2 (USB Drive) SP
初代Omnishpere(オムニスフィア)が世に出てから気付けば20年近くの年月が経つというのに、果たして、いったいなぜそんなに魅力的なのか。なぜ未だに世界中のアーティストに愛用されているのか。今回はその魅力にスポットをあてます。
とはいえシンプルに答えは、たったの1つ。
その1つとは…
膨大なサウンドライブラリー(音色)の数
……おそらく、Omnisphereを触れたことがある方なら、頷いてくれる方も多いはず。そうです、純粋に搭載されているサウンドライブラリーの数が凄まじいのです。この記事のタイトルにて「一生モノのシンセ音源」と書いたのは、そのライブラリーの数故に”一生掛かっても使いきれないほどの音源”だから。その数、合計でなんと14,000種類を超える膨大なサウンドが搭載されています。
さて、ここで単純に考えてみましょう。仮に14,000種類を全て使い切るとして、これはあくまで例えですが、1曲作るのにOmnisphereの音色を5つ使ったとしましょう。14,000÷5 = 2,800。つまり2,800曲作るまで、Omnisphereのライブラリーが尽きることはありません。ただ、これはあくまで純粋にプリセットをそのまま使った場合に限ります。ここにプラスして追加のサウンドパッチ、搭載されているウェーブテーブルで波形パターンや各種エフェクトで独自に音色を変えたりしてみましょう。もう、お分かりいただけたかもしれませんが……まず全てを使い切るのは無理です。でも、この数えきれない程のバリエーション豊かなサウンドライブラリーが、Omnisphere最大の魅力。そしてそんな最大の魅力にさらに迫るべく、私なりに今回ご紹介したいのが……
\ 気に入った音色10選 /
最大の魅力と言われても、やはりどんな音色があるか気になるのが本音。
ということで、さっそく見ていきましょう↓
1. Coffee Can Kalimba Felt Ambient

まずはこちら。ライブラリーのカテゴリー「Kalimbascope」の中にあります。Omnisphere2はカリンバの音色が沢山あるのですが、その中でもこちらが一番響きが心地よくて好き。軽くリバーブやディレイを掛けてポロポロとメロディを鳴らすのがおすすめです。
2. Boys Choir and Solos Wheel

コーラス音源よりチョイス。適当にコードを抑えるだけで、透き通ったクオリティの高い音が出せてしまいます。個人的にはベロシティの掛かり具合によって繊細に音が変わるので、そこもお気に入り。ちなみに、コーラスもかなりのライブラリーが搭載されているので、色々聴いているだけでも楽しいと思います。
3. Cleansing

お次はパッドのような音色から。ジリジリと鳴るノイズと空間を漂う音色がステキ。アンビエントやチルアウトのような雰囲気たっぷりの曲に漂わせると、きっと心地いいはず。私は音色からイメージを得て曲を作ることが多々あるのですが、こちらは遠く、モノクロの景色をぼんやりと眺めているイメージ。
4. Music Box Guitaret

どこか懐かしい、時を刻むような音色が特徴的。傾向としては先に紹介したカリンバに似ていますが、より追憶的な感じや雰囲気が私にどストライク。ふわっとした曲や明るいトイミュージックにもきっと合う。使い方によってガラリと雰囲気を変えることもできるでしょう。とりあえずもう、純粋に好き。
5. In a Trance-like State

トランシーな音色から抜粋。あらかじめアルペジオが組まれているのでコードを押さえるだけであらステキ。フィルターの掛かり方もいい感じ。ちょっとしたメロディに絡ませて鳴らすだけでカッコいいと思います。ここでは音色だけですが、リズムと組み合わせて作るとより映えるでしょう。
6. Digitalized Square Pluck

音の輪郭がはっきりした、さまざまなジャンルに多彩に使えそうなプラック。先ほど紹介したトランシーな感じやシンセな音色と相性が良いかも知れません。こちらも使い方次第で楽曲の重要なエッセンスとなり得ますが、クラブミュージックはもちろん、チルアウトやアンビエントにリバーブ強めでひっそり使うのもおすすめ。
7. PRS Lead Guitar a

色々とライブラリーに触れていく中で、個人的に好きだったギターのリード。使い方によってハードなロックにも、哀愁漂うインストゥルメントな曲にも心地よく馴染むでしょう。Omnisphere2も含め、最近のギター音源はどれもクオリティが高くなっているため、調整の仕方次第で実際に演奏して録音したものか打ち込んだものか分からないレベルになります。DTMにおいて、技術の進歩はすさまじいですね。
8. Twinkling Sea Tides

みずみずしく、煌びやかな音色。こういう音を聞いているとさまざまな情景を思い浮かべるのですが、音色名を直訳するとTwinkling Sea Tides(煌めく海潮)だそうです。なんてステキなイメージ。名付けた方と無言で頷きながら全力で握手を交わしたい。
9. Dusting the Enigma

さきほどに続き、幻想的な音色を。とてもアルペジオが美しい。しかしここまでいろいろと聴いてきましたが、Omnisphere2は全体的に空間が広くて感情豊かな音色が多くて。「一生かかっても使いきれないほど~」というのは純粋に数だけではなく、一つ一つのクオリティの高さから、飽きることのない一生モノの音源であるというところに繋がっていると強く感じます。
10. Pipe Organ Cathedral

最後はこちら。パイプオルガンを実際に弾いたことはないのですが、鳴らしているだけで弾いていると思わされるほどに、音の持つ重厚な空間や荘厳な雰囲気が印象的。触れながら、どんな曲に使ってみようかなと考える時間がとても楽しかったです。神々しい音色に触れたい方は、ぜひとも。
いかがだったでしょうか。本当はまだまだご紹介したい音色がたくさんあって、どれも素敵なのですが、今回はここまで。気になった方はぜひ実際に触れてみて自分なりのお気に入りを見つけてみてくださいね。