
最高品質のコンポーネントを使用したハンドメイド、ハンドワイヤードの英国ペダルブランドのユニークなファズを試させていただきました。
Flattley Guitar Pedals ( フラットリーギターペダルズ ) / Solaris Pro
「手間のかからないファズ(fuzz without fuss)」という言葉がなにを指すのか?
歪みペダルには必須の歪みノブが無いとはどういう事なのか?
期待と疑問を持ちながら弾き始めてみました。
このペダルは基本的にファズです。
通常のファズと違うところは「ゲインが最大にプリセットされている」という部分。
ギター本体のボリューム、トーンのコントロールでのサウンドメイクをすることを念頭に設計されています。
また、ブーストスイッチを搭載(これがまさか驚きのスイッチでした)し実践的な機能を備えています。
まず、さっと触った第一印象は「良いファズだな」でした。
潰しても存在は潰されず、濁しても遠くに澄んだ煌めきを感じるような、そんな良質なファズです。
Volumeノブは単純なOUTPUTとして動作しているように感じます。
音色やゲインにそこまで影響を与えていないのでセッティングの中で純粋な音量のマッチングとして使用出来ます。
Toneノブもゲインに影響を与える類ではなく、ギター本体の同様のトーンカーブを描く体感です。
なので今回はこの2つは使用ギターとアンプに対して適切な値で固定し試奏しました。
3つのノブの中央にあるSustainノブが音色に大きな変化を与えます。
前述の通り「ゲインが最大にプリセットされている」のでこのノブは歪み量を変化させるものではありません。
左から時計回りにLoFiからHiFiに、暗いから明るいに、ヴィンテージから現代に。
語弊を恐れずに書くならば、左のFUZZFACEから右のBIGMUFFやRATに変化していく、ファズの種類を変化させていく。
Sustainはそんな印象のノブです。
今回の試奏はまずこのSustainノブを回しながら、各位置でのギター本体のボリュームを絞った状態と合わせて録音しました。

■ 録音環境
- ギター: Fenderストラトキャスター(センターPU)
- アンプ: MesaBoogie ST22 CLEAN ch
- マイク: SENNHEISERMD 421-II
- オーディオインターフェース: RME Babyface Pro FS
- DAW: Logic Pro
■ BYPASS
■ SUSTAIN 0
■ SUSTAIN 5
■ SUSTAIN 10
今回使用したアンプがMesaBoogie ST22 CLEAN chでFender系の音色でしたので、Marshall系アンプに接続した場合、さらにジミヘンドリックス的な音色を期待できるでしょう。
続いてBOOSTスイッチを試してみます。
今回、このスイッチを踏んだ瞬間が個人的には一番驚きました。
通常歪みペダルのBOOSTスイッチは、前段で歪み量を増幅させる / 後段で歪んだ音をさらに大きくプッシュする のどちらかに作用します。
しかしSolaris Proでは初めての体験をしました。
音量が上がり歪みが減るのです。
単純な音量プッシュではなく、ヘッドルームがぐんと上がり解像度が増す、その為にクリップしてた天井も高く上がる、追随して音量も上がるも、あまりのヘッドルームの広がりにクリップは減る。そんな印象です。
とても独特かつ音楽的なスイッチだと思いました。
原則的に歪みというのは音量の大きい部分を叩いてグチャっと潰すことで歪んだ音になります。
とがったものをトンカチで叩くイメージです。エッジの立った部分は丸く平たくなっていきます。
曲中は歌の邪魔をしないで歪んでほしい。ソロははっきりと前に出てきてほしい。
その場合
曲中は歌の邪魔をしないでエッジの立った部分を丸く平たくしたい。ソロはエッジの立った部分を潰さない。
とも言い換えられるのです。
一見、歪み量が減ることはソロのプッシュに向かないような気もしてしまいますが、このヘッドルームの解像度の上がり方は逆に上記の音楽的な時系列にとてもマッチします。
いくつかのフレーズをBOOSTスイッチのON/OFFで比較してみました。
■ SUSTAIN 7+ BOOST
中には「ソロで歪みは減らしたく無いんだ!」というロックな方もいると思いますが、その場合は本来の趣旨に立ち返ることでこのペダルは良く作用します。
「ゲインが最大にプリセットされている」のでギター本体のボリューム、トーンのコントロールでのサウンドメイクをする。という事です。
曲中の場面に合わせて手元で歪み量をコントロールするのです。
■ DemoPlay
SUSTAINとBOOSTこの2つの機能が絡み合うことで多くのギタリストや多くのシチュエーションにちょうどよくハマるファズです。
なによりもまず手に取ってSUSTAINノブを左から右に回してみてください。
きっと何台かのFUZZが一台になったそんな利便性すら感じるかもしれません。
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