趣味でピアノを弾く方、以前習っていたピアノを再開する方、ピアノのレッスンに通うお子様のご家族などで、電子ピアノを検討される方も多くいらっしゃると思います。
各メーカーからたくさんの機種が出ていますが、その中から自分にピッタリの一台を見つけるためにチェックしたいポイントをご紹介します。
電子ピアノのメリット・デメリット
まずは、電子ピアノという選択肢が本当に合っているのか?というところから考えていきたいと思います。電子ピアノの利点・欠点としては、このようなものが挙げられます。
主なメリット
● 生ピアノより安い/動かすのが楽
この気軽さが、生ピアノにはない電子ピアノ最大のメリットです。
● 騒音を気にする必要がない
音量調整や、ヘッドホン接続ができるモデルがほとんどですので、夜でも、アパート住まいの方でも使用可能!
● 音色を切り替えて楽しめる
アンサンブルをするときも、演奏の幅が広がります。
● メンテナンス不要
生ピアノは定期的に調律をする必要があり、その金額も決して安くありません。電子ピアノは音程が狂う心配がないので、維持費を考慮したうえでもコスパが良いです。
主なデメリット
● 生ピアノではない
当然といえば当然なのですが、電子ピアノのタッチやサウンドは生ピアノと全く同じではありません。特に、ずっと生ピアノを弾いてきたが電子ピアノはあまり触ったことがないという方が、このギャップにぶつかりやすいかと思います。逆に、初めての鍵盤が電子ピアノという場合も、生ピアノを触ったときに違和感を覚えてうまく弾けないということが十分起こり得ます。
生ピアノの音→弦を叩いて振動させて音を出す。
電子ピアノの音→生ピアノの音を録音したものをスピーカーから出している。
という根本的な違いがあり、鍵盤の機構や素材も異なるため、それが弾き心地の違いとして現れます。
生ピアノと電子ピアノは別の楽器と考えたほうが、良い選択ができるはずです。
ただし、高級モデルはタッチ感・サウンドともに生ピアノにかなり近づいています。
● 寿命
生ピアノはメンテナンスしながら使うことで、数十年にわたって使うことができます。電子ピアノはメンテナンス不要ですが、部品の経年劣化によって音や鍵盤の動きに不具合が起こってきます。また、ご使用のモデルの生産が終了するとパーツ交換が困難に。つまり「メンテナンスしようにもできない」という時期が訪れます。そうなるまでの期間(電子ピアノの寿命)はおよそ10年と言われています。その期間が過ぎたらまた一つ進化した電子ピアノにアップデートできると考えれば、逆にメリットともいえるかもしれません。
いかがでしょうか?電子ピアノの特徴がなんとなくわかりましたでしょうか。
次は、電子ピアノを選ぶ際にチェックしたい点について、要点を絞ってご紹介します。
選ぶ際にチェックしたいポイント
電子ピアノも生ピアノも、楽器として核となる部分は「音と鍵盤」です。ぜひ妥協せずに選んでください。まずは鍵盤からお話しします。
■ 鍵盤の選び方
機種によって鍵盤の重さ、返りの速さ、沈みこみの深さなど千差万別のため、実際に触って吟味するのがベスト。スペック上はよく見えても、実際弾いてみたらどうもしっくりこないこともよくあります。
趣味で使うなら、実際に触ってみて「好みかどうか」で選ぶのが一番。
ピアノレッスンに通う方なら生ピアノがベストなのは大前提ですが、もし電子ピアノを選ぶなら、教室のピアノとタッチ感が近いものがおすすめです。楽に弾けるからと軽い鍵盤を選ぶのは、指の力がつかなくなるのでやめておきましょう。
また、試弾が難しい場合、スペックを見て、ある程度あたりを付けることもできます。
できるだけミスマッチをなくすために見ておきたいスペックをお伝えします。
■ 鍵盤の素材
● 木製鍵盤
20万円以上のモデルになると、生ピアノと同じく鍵盤が木でできているものが多くなります。生ピアノに近い重さのあるタッチが得られる傾向があります。レッスン用なら木製鍵盤を選びましょう。また、ROLANDからは木と樹脂を組み合わせてタッチ感と耐久性を両立した「ハイブリッド鍵盤」搭載モデルが出ています。
● 樹脂鍵盤
低価格モデルはプラスチック製の鍵盤が多いです。鍵盤表面がツルツルしていて、タッチ感が軽い傾向があります。
● 象牙調・黒檀調仕上げ
ピアノの白鍵は象牙、黒鍵は黒檀という木材が最高級とされています。その風合いを再現した表面仕上げです。表面がザラザラしているため指が滑りにくく、触り心地もプラスチック仕上げとはかなり異なります。
■ 鍵盤のアクション
鍵盤を押した際の内部の機構の動きも機種によって大きく異なり、タッチ感に影響をもたらします。
● 音域により重さが変化する鍵盤
グランドピアノのように、高音にいくにつれて軽くなる鍵盤を再現したもの。3~4万円台のエントリーモデルにもよく搭載されているため、電子ピアノの標準的なスペックと言えます。
● 鍵盤の重さ調整
鍵盤の重さを調整できる機能です。思ったより軽かった・重かったというミスマッチを防ぎやすく、複数人で使う場合にもおすすめ。低価格モデルでも5段階ほど調整できるものも結構あるので要チェックです。
● シーソー式
電子ピアノの鍵盤にはばねを内蔵したものも多いのですが、「シーソー式」はばねを使わず、生ピアノと同じく「てこの原理」を利用した機構です。鍵盤の手前側ほど軽く、奥側ほど重い、ピアノ特有のタッチが得られます。
各メーカーの鍵盤に関しては、こちらにまとめていますのでチェックしてみてください。
関連記事『キーボード・ピアノ初心者講座 各メーカーの鍵盤比較』
■ ペダルの見分け方
ペダルの踏み心地や効き具合も、見逃しやすいですが重要なポイント。入門の段階はさておき、ペダルはいずれ誰でも使うことになります。
ペダルのスペックとして「ハーフペダル対応」または「連続検出」と書かれたものを見たことはありませんか?
これは、ペダルを踏んでる(ON)/踏んでない(OFF)だけでなく、ペダルの踏み具合(フルに踏んでいるか、ちょっとだけ踏んでいるか)まで検知するペダルを指します。実際の演奏時は、
音を豊かに響かせたいとき→ペダルをいっぱいに踏む。
音の響きを伸ばしつつ、音の輪郭も保ちたい→ハーフペダル。
というような使い分けをします。微細な表現まで追求したい方は、搭載されているものをお使いください。
他にも大切なチェックポイントがたくさんありますが、長くなりそうなので今回はこの辺で。
次回は、もう一つの外せない要素、「音」についてお話します。