2019年末、楽器業界の話題をさらった新商品といえば、YAMAHAポータブルキーボードPSS-A50でしょう。
現在、入手困難な状況が続いている本機ですが、その魅力を紹介します。
YAMAHA ( ヤマハ ) / PSS-A50 ポータブルキーボード
◯ タッチレスポンス&内蔵スピーカー
この価格帯(1万円前半)でタッチレスポンス機能がついています。鍵盤をたたく強さに応じて音の強弱を変化させることができ、5万円前後のキーボードに付随する機能です。 (※一般に、ベロシティと呼ばれているものです)
内蔵スピーカーなんて当たり前?!そんなことはありません。これから詳しくご紹介しますが、PSS-A50はキーボードジャンルの製品ながら、個人的な感想としてはMIDIキーボードとしてもハイクオリティです。 MIDIキーボードは内蔵スピーカーを必要としないため、コンパクトで軽量なこの筐体に内蔵スピーカーを埋め込んだというのは驚愕の一言です。
◯ 録音機能
1フレーズ最大700音符まで録音できます。ただし、モーションエフェクトをかけると、録音可能音符数は減ります。それにしても、伴奏を鳴らした上から思いついたメロディを弾いて気軽に録音できる上に、録音はMIDIデータとして記録されています。
外出先などで浮かんだ曲を録音しておけば、自宅でMIDIデータとしてPCにUSBケーブルで送ることができます。演奏を楽しむだけじゃなく、間違いなくDTMのためのMIDIキーボードとしても活躍する1台です。
◯ 42音色+2ドラムキット
音色は、ボタンが10個(ピアノ、オルガン、ギター、ベース、ストリングス、木管、金管、シンセリード、シンセパッド、ドラム/パーカッション)です。それぞれのボタンに4、5種類の音色があらかじめ設定されているので、イメージにぴったりの音色で遊ぶことができます。
◯ アルペジエーター
なんといってもPSS-A50最大のウリは「アルペジオ機能」です! 138のパターンがあり、和音を弾けば音色に合わせた最適なアルペジオパターンを適用し、自動で演奏してくれます。もちろん、±ボタンで任意のパターンに切り替えることも可能です。初心者でも簡単に伴奏を作れるので、ピアノが両手弾きできない、ギターが弾けたらなぁなどと悩む必要はありません。
さらに、アルペジエーターは楽器ごとにパターンが設定されていて、PSS-A50は他の楽器のアルペジオパターンを、別の楽器に適用することもできます。これによって、楽器によっては超絶技巧といわれる難易度の高い演奏も、自動で作ることができます。
◯ USBバスパワー
重たいACアダプターが付属していません。電源は単3電池4本もしくは、USBケーブルで取ります。そう、USBで給電できるんです!つまりスマホを充電するモバイルバッテリーでも動きます。MacbookもSurfaceもUSBモバイルバッテリーで充電できる時代なので不思議ではありませんが、キーボードがACアダプターから解放されたこと、すごくないですか? 本体重量は驚異の1.2kg。ノートパソコン1台分の感覚で、気軽にどこでも作曲をすることができます。
もう書ききれないくらい凄い機能をこの価格帯で詰め込んできた、「YAMAHAの本気」を感じられる1台、それがPSS-A50です。 何か1つの機能が突出しているわけではなく、キーボードカテゴリで考えれば、例えばオクターブシフト(±4)だったり、トランスポーズ(半音移調)だったりと、1つ1つは珍しい機能ではありません。
ただし!それは5万円前後の価格帯だったら、の話。それがこの価格帯で実現したことが凄いんです。
◯ MIDIキーボードとして
PSS-A50をMIDIキーボードとして評価してみます。内蔵スピーカーが装備されてモーションエフェクトが充実しているだけでも凄いですが、「SHIFT+LOCAL CONTROL」でアルペジエーターが使えます。
ちょっと踏み込んだ話まですると、アルペジエーターの演奏情報は、ちゃんとMIDIノートとして出力されるので、DAWなどへの打ち込みにそのまま使えます。 つまり、アルペジエーターがついたMIDIキーボードなんです。これは、MIDIキーボードカテゴリで考えても、ちょっと異質というか、かなりの高機能です。
◯ 動画配信サービスで使うオリジナルテーマソングの作曲
Youtubeの投稿動画にテーマソングを設定すると便利です。個性が出ますし、オープニング、エンディングどちらにも使いやすいです。 ただフリー音源だとある日突然使えなくなる、もしくはその曲を使った動画で得た収益の取り分を主張されてしまうことは、動画投稿による収益のみで生活をしている人にとって大きなダメージになります。
効果音はフリー素材を使うとしても、PSS-A50を使えば思いのままに作曲が可能なので、動画もオリジナリティの強いものにできるのではないでしょうか。 魅力あふれるこの1台。気軽にキーボードを演奏したい人も、DTMの機材としても大変おすすめです。是非、試してみてください。