

素晴らしい音楽を残したミュージシャンは素晴らしい言葉を残しています。そのお題を素敵に解釈。日々の生活に無理やりでも役立ててしまおうというコーナーです。
さて、今日のお題は?
人名:ルー・リード
名言:ずっと望んできたのは、
できるかぎりシンプルなものを
作っていきたいということだったんだ。
ラジオでそれを聴いた人間が
「俺にも出来そうだな」ってつい口から
出てくるようなものを作りたいと思ってきた。
そういったことこそ、本当に大切なことだと思わないか?

1970年代中盤、イギリスから湧き出たパンク・ムーブメントの衝撃は、音楽シーンにおいて事件となる出来事でした。その根底にあったのは「これなら俺にも出来そう!」だったのではないでしょうか?音楽は自由なものです。その10年以上も前に、それを実現していたバンドがありました。ザ・ヴェルヴェット・アンダーグラウンドです。その主な楽曲をクリエイトしていたのがルー・リード。来たるパンク・ムーブメントと一線を画すのは、彼がボブ・ディランやニール・ヤングと並んで評されるほど、詩人としてずば抜けた才能を持っていたことでした。そして、アンディ・ウォーホルに見出されて、ニューヨークのアート・シーンのひとつとしてザ・ヴェルヴェット・アンダーグラウンドが活躍することになったのも、パンクとは違った立ち位置となった出来事でした。一方でミュージシャンズ・ミュージシャンとしてデヴィッド・ボウイやパティ・スミスなどから名が挙がるアーティストでもあります。グループを脱退し、ソロ活動が活発になると、よりメッセージ性の強い歌詞や、アンダーグラウンドを舞台とした楽曲を制作。独自のコード進行なども多く、「EからAの、ロックンロールのコード進行がピタッと決まった時は異常なほどの快感を覚える。その上にメロディをかぶせるのって、素敵だと思わないか?そして歌詞にも何らかの実体があって、あのコード進行並みに、シンプルでエレガントだとしたら、実に素晴らしいとは思わないか?」常に一貫したシンプルな美しさが彼の作品にはちりばめられていました。パティ・スミスが言い放った「あんたみたいな嫌な人間がどうしてあんなに美しい音楽を書けるの?」という言葉は、違う意味で名言となっています。

誰にでも愛されるものは、「あ、これなら出来そうかも」というシンプルなきっかけで誕生するのかもしれません。ソウルメイトのローリー・アンダーソンとの90年代の馴れ初め、そしてルーが亡くなる5年前に結婚に至る話も実にストレートでシンプルなドラマです。
わかりやすいものを作るのは決して簡単ではありませんが、誰かが「それいいかも」と思えるものや言葉で発信することは意識をすれば、誰にでもできるかも。それはきっと素敵なことなのです。ルー・リードもそう言ってます。
あっぱれ!座布団一枚!