BOSSのワイヤレス・ヘッドホンギターアンプ『WAZA-AIR』を購入して2年近く使い倒したので、正直な感想を書き綴ってみようと思います。結果的に買ってよかったのですが、イマイチな点もいくつかあるので、正直にレビューします。
BOSS ( ボス ) / WAZA-AIR ワイヤレス・ヘッドホンギターアンプ
価格は約45,000円(税込)と決して安いとは言えないため、購入をためらっている方も多いかと思います。試奏できるお店が少ないので、自分に合った機材か判断しづらく、二の足を踏んでいる方も多いのではないでしょうか。ぜひ購入の参考にしていただけると幸いです。


■ 『WAZA-AIR』の素晴らしいところ
○ 弾いていて気持ちがいい
『WAZA-AIR』を使ってみて最も良いと感じるのは、とにかく弾いていて気持ちがいい点です。クリーンでも歪みでも音に臨場感があるので、ジャラーンとコードを掻き鳴らすだけで気持ちよくなれます。スタジオにでも行かないとギターを爆音で鳴らす機会はないですが、自宅で、しかもヘッドホンで誰にも迷惑をかけずに爆音でギターを弾けるのは素晴らしいです。
○ 音漏れしないので賃貸マンションでも気にせず使える
密閉型(クローズド)ヘッドホンなので、基本的に外部に音漏れはしません。もちろんギターの生音は周囲に聴こえますが、よほど壁が薄い賃貸でない限りは周りに迷惑はかけないでしょう。夜中でもアンプを使った練習ができるので、ギターの練習時間が増えました。
○ Bluetoothで外部音源を流しながら演奏できる
BluetoothでPCやスマホと接続して音楽を流しながら演奏できるのはすごくいいですね。ヘッドホンで没入しながら演奏できるのは楽しいです。ヘッドホン本体にあるボタンで、6チャンネルあるエフェクト・パッチを切り替えられるのも便利。あらかじめアプリで音作りをしておけば、演奏しながら音色を変えられます。
○ パッとつないでパッと練習できる
『WAZA-AIR』の準備は、「①ギターのジャックにトランスミッターを挿す」「②ヘッドホンをオンにして装着する」、たったこれだけです。音作りするにはスマホアプリと連携する必要がありますが、それもさっとできます。パッとつないでパッと練習できるのはすごく便利です。アプリにチューナーが内蔵されているのでチューナーも準備も不要です。

○ シールドやケーブルの煩わしさがない
リアルなギターアンプだとシールドが煩わしいときがありますよね。アンプで有線のヘッドホンを使うときのケーブルも同様です。『WAZA-AIR』は完全ワイヤレスなのでケーブルの煩わしさがありません。ケーブルがないので、ギターを持ったまま家の中を好きなだけ移動できます。普段はリビングで弾いて、たまに気分を変えてキッチンで弾いたり。そんな自由なことができるのもワイヤレスだからこそ。
○ コンパクトなので収納場所を取らない
『WAZA-AIR』はヘッドホンとトランスミッターだけで使えるので収納場所を取りません。アンプやエフェクターは場所を取りますし、箱も捨てずに置いておきたい人は置き場所に困りますよね。その点、『WAZA AIR』はコンパクトなので、あまり物を置かないミニマルな生活を送りたい人には向いていると思います。引っ越しのときの荷物が減るのもメリットかもしれませんね。
○ 遅延がない
遅延があるかどうかは、ワイヤレスを使う上での大きな懸念です。『WAZA-AIR』は見た目がコンパクトであるがゆえに、少しくらい遅延があるのでは?と疑っていました。使ってみるとその心配は全く無用だったとわかります。厳密に言えば遅延はあるのでしょうけれど、体感として遅延は全くありません。これはすごいとしか言いようがないです。
○ ヘッドホンが軽い
ヘッドホンの質量は320g。ヘッドホンはアンプの機能を備えているので、重たそうという先入観があったのですが、実際に手にしてみるとその軽さに驚きます。長時間装着していても負担にならない重さです。ギター本体に装着するトランスミッターの質量は43gなので、そちらも重さは気になりません。
○ ワイヤレスとしての音質は良い
音質に関しては好みや用途によるので一概には言えないですが、ワイヤレスとしての音質は良いと思います。リアルなアンプと比べると音質は劣りますが、ヘッドホンとトランスミッターのみの機材としては、驚くべき音質です。軽量なアンプ一体型ヘッドホンでありながら高い音質を実現する、BOSSの技術力の高さを感じます。
■ イマイチな点
○ アプリがちょっと使いづらい
『WAZA-AIR』の音作りには、アプリの『BTS for WAZA-AIR』を使います。慣れればパッと操作できるのですが、使いやすいとは言い難いです。日本語化されておらず、全て英語なのも使いづらさを感じる原因かもしれません。

○ アプリのエフェクター機能が使いづらい
アプリの『BTS for WAZA-AIR』にエフェクター機能があり、歪み系、空間系、モジュレーション系、フィルター系といろいろ備わってはいるのですが、使いづらいです。下記画像がアプリの操作画面なのですが、操作が直感的にわかりづらく、エフェクターごとの細かい調整もできません。エフェクターの音質もあまり良くないので、個人的にイマイチかなと思います。

○ ジャイロ・センサーはあまり使わない
『WAZA-AIR』には、立体音響テクノロジーとジャイロ・センサーにより、演奏中の頭の動きに追従して音の定位が変わる機能が備わっています。最初は、ライブ会場で演奏しているかのような立体感に「おおっ!」となりますが、音の定位が変わると練習しづらいのであまり使っていません。体感的な驚きはありますが、正直、練習用にはいらない機能かなと…
○ 試奏できる店が少ない
これは製品の特性上、仕方がないのですが、試奏できる店が少ないです。私は近くに試奏できる店がなかったので、試奏せずに買いました。結果的に買って良かったのですが、45,000円(税込)の製品を試奏せずに買うのは勇気がいりますよね…。体験してみると「ほしい!」となる製品ですが、試奏の機会がないとなかなか手を出せないですね。
○ 外部出力の機能がないので録音できない
『WAZA-AIR』には外部出力の機能がありません。録音ができないのはちょっと残念な点です。ちょっといいフレーズを思いついてスマホに録音しようと思っても、外部出力できません。私は、ヘッドホンを外してスマホのスピーカーを近づけて録音しています…(もちろん、このやり方ではモニタリングしながら録音できません)
○ ヘッドホンを充電しながら使えない
公式のヘルプにも書いてありますが、ヘッドホンは充電しながらでは使えません。フル充電で約5時間使えるので、そこまで不満には感じていないですが、充電し忘れていた時に、充電しながら使えないのはちょっと不便です。
■ 『WAZA-AIR』はこんな人におすすめ
- 賃貸マンションなのでアンプで音を出して練習しにくい
- 家族と暮らしているのでアンプで音を出しにくい
- 部屋が狭くてアンプ(エフェクター)を置く場所がない
- スマホにオーディオインターフェイスを接続するのが面倒くさい
- 遅延のないワイヤレスで弾きたい
- ケーブルが煩わしいのでワイヤレスで練習したい
個人的にイマイチと感じる点がいくつかありますが、総合的に買って良かったと思っています。特に夜中に練習したいときに『WAZA-AIR』は重宝します。イマイチな点の改善は、今後の後継機やアプリのアップデートに期待したいです。
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